エヌオーさんの映画レビュー・感想・評価

エヌオー

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イサドラの子どもたち(2019年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

事故で子どもを失ったダンサーが残した振り付け。登場人物たちは、それぞれの立場や場所で、「母」と題されたそのダンス=不在の人間の身体の動きを模倣し、反復する。それらのアクション(だけ)を通じて複数である>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

2.1

このレビューはネタバレを含みます

再会のショットに過去のソウルの公園でのショットが挿入された時点でやっちゃったなあと思ったけど、別れのシークエンスの中に、再度過去の(夜に改変された)別れのショットが入れ込まれて、一気に萎えました。A2>>続きを読む

誘惑者(1989年製作の映画)

3.9

診察中の秋吉久美子のクローズアップがどんどん影が増してきて、黒くなっていくショットを見て、そうか、黒沢清はこれをやりたくて岸辺の旅を取ったのかもなぁ、などと思いながら見てたら、ほんとに黒沢清がちょい役>>続きを読む

PARKS パークス(2016年製作の映画)

4.0

橋本愛と永野芽郁。 2人の生き物としての振舞いや表情が焼き付けられたドキュメンタリー。 橋本愛が乗る自転車の移動撮影の緩やかなリズムの心地よさ。 永野芽郁の躓きそうなスキップと屈託のない笑顔。 物語や>>続きを読む

清作の妻(1965年製作の映画)

-

刑務所の異様な光景はなんなのだろうか。 鎖に繋がれた若尾文子の奥を、ゾンビのような受刑者がゆっくり移動している。 いきなりのなんというホラー。

風に濡れた女(2016年製作の映画)

3.8

期待せずに見たら、意外なほどよかった。 ひょっとしたら塩田明彦の中で1番好きかもしれない。 長回しの舞台となるバラックのある風景。 背景となる木々がまた素晴らしい。 主演の間宮夕貴の自由を感じさせる動>>続きを読む

ネオン・デーモン(2016年製作の映画)

3.8

NWRはのめり込めないが嫌いにもなれない、微妙な関係でここまできたが、今回もまさにそんな感じで、フィックスショットが素晴らしいなあと思う反面、で何?とも感じる。 今回はエル・ファニング自体にそんなに魅>>続きを読む

第9地区(2009年製作の映画)

4.9

何遍見ても映画を見たという満足感に浸らせてくれる映画というのが何本もあるが、それもそんな一本。 なによりヨハネスブルグの空に浮かぶ宇宙船の造形が素晴らしい。逆光が強調された青空や明け方の靄の中にいつま>>続きを読む

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

5.0

身震いするほどの傑作。 こんな映画が21世紀にもなって撮られていることに感謝するしかない。 それ以上に何が言える? あ、あと唯一言えるのはサーシャ・ローナンの美しさですかね。「明治侠客伝 三代目襲名」>>続きを読む

ピートと秘密の友達(2016年製作の映画)

4.0

冒頭の事故シーンの後、ピートとエリオット(ドラゴン)が山や川を駆け回るシークエンスのただ事ではない開放感。 ほとんど子供目線と言ってもいい低いカメラ+ドローン撮影での見おろすショットのコントラスト。低>>続きを読む

花様年華(2000年製作の映画)

4.5

狭さの映画。 画面をひたすら縦に切り分ける壁や扉に、行き場のない動き=感情を持て余すふたりの右往左往ぶり。タクシーの異様な天井の低さ。何しろ息苦しく、酸素が足りない。 食事を詰めてもらう地下の食堂の建>>続きを読む

ル・アーヴルの靴みがき(2011年製作の映画)

4.5

冒頭の主人公たちふたりが直立不動で佇むショットから、ああとため息をつく暇もなく、手錠をしたリーゼントの男が現れて、靴磨きを中断しカメラからアウトした後、銃撃音と叫び声だけで事の次第を告げる。本編の緩や>>続きを読む

みな殺しの霊歌(1968年製作の映画)

3.8

タイトルが表示されるまでの一人目の殺人の窒息しそうなシークエンスの陰惨さに震える。シネスコで撮られたローアングルの画面は必ずなにかに遮られていて全景を映し出すことはなく、薄闇の中で殴られる音と女の呻き>>続きを読む

インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)

3.8

悪くはない。悪くはないんだけど。 ハッパを求めてシャスタと駆け回った過去の回想のくだりとか。 長回しとクローズアップの食い合わせの悪さか。 シャスタが戻ってきた時の相当時間の長回しも、なんとなく小綺麗>>続きを読む

ダゲレオタイプの女(2016年製作の映画)

3.7

言いたい事があり過ぎて、何をどう言ったらいいのかよくわかりません。 ただ、何が恐ろしいって、フランスまでわざわざ出張ったにも関わらず、小津の階段落ちを平然と、しかも恐ろしい精度で撮ってしまう黒沢清の人>>続きを読む

暗殺のオペラ(1970年製作の映画)

5.0

ベルトリッチとヴィットリオ・ストラーロの最高傑作。 鐘楼の上でゆっくりと影になっていく主人公。 吊るされたハムと同じ色の壁の部屋。 咲き乱れる花と自転車。 朝方の青い光。 物語と表象の幸福なバランスの>>続きを読む

アウトレイジ 最終章(2017年製作の映画)

4.0

冒頭の海に向かう坂道を捉えるクレーンの移動撮影の緩やかなリズム。 ネオンを反射する車窓ごしのサングラス。 死を招く海と停止した車。 無言無表情の塩見三省と止まってしまいそうな岸部一徳と異次元の金田時男>>続きを読む

残穢 住んではいけない部屋(2016年製作の映画)

3.8

ロングショットにハッとするものがある。確かにあるが、非常にスタティックで、映画的なエモーションがきれいに欠けてる。なんだろねこれ。 物語の意味を辿るこの発想が表象に影響してるんだろうか。 そうか、足り>>続きを読む

クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)

4.1

物語のほんとうらしさなんて歯牙にも掛けない黒沢清の真骨頂。 大学でのシーンが身悶えする素晴らしさ。 話を聞いてる最中に暗転していく画面。

突破口!(1973年製作の映画)

4.2

夜明け前のヘッドライトが迫って来るショットの美しさ。 これが文句なしに面白いこの映画の中にそっと忍び込んでいることの喜び。

車夫遊侠伝 喧嘩辰(1964年製作の映画)

4.5

親分と子分四天王が見つめ合う間をグルグルと回るカメラ。 強い雨が降る。

裏切りのサーカス(2011年製作の映画)

4.8

予備知識も何もなくいきなりとんでもない映画に出くわすことはたまにあるけど、これはまさにそんな1本でした。 リフレインするパーティの夢幻的なシークエンスは通奏低音として流れているようで、どこか決定的に断>>続きを読む

クローズ・アップ(1990年製作の映画)

5.0

序盤の車のシークエンスと終わりのバイクのシークエンスが息を飲む素晴らしさ。