このレビューはネタバレを含みます
映像としては折々気持ちよいが話が雑すぎて途中の高揚感ふくめて損した気持ちになった。世界と適度に折り合いつつあくまで個の意志を完徹する、という話とキャラ作りがやや現代風。
最後は秩序が勝つみたいな話が連続するのが苦手だった。しかし笑い男の造形と彼に関連するエピソードは面白い。そして当時の微妙なアナログ感。
身寄りも趣味もないが自活する能力がDIY精神と行動力へ、無口さが質実な寡黙へ、とカブに乗ることを通じて小熊自身が旅の過程のように逞しく変化してゆく様が終始抑制的に描写されていた。
継承が前景に現れて終わりの予感が流れていた。新しい始まりの予感と共に。
街を散歩する描写、不思議な事象に巻き込まれる描写がとても好きだった。