ココさんの映画レビュー・感想・評価

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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

3.8

東京の空を覆う母艦、日常を侵す偵察機

巨大で圧倒的力を持つ得体の知れない何かが、いつか全てを粉々に破壊する日が来るかもしれない。そんな漠然とした不安や恐怖を客席の私達も感じている。

大きな流れの前
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ロッタちゃん はじめてのおつかい 2Kリマスター版(1993年製作の映画)

4.2

家出をして仮住まいにいるロッタちゃんに「クリスマスになったら帰っておいで」と言いその場を後にするお母さん。

「クリスマスじゃなくて今かえるの!」と泣くロッタちゃんを優しく抱きかかえるお父さん。

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(1985年製作の映画)

4.0

ずっと見たかった黒澤明のカラー映画作品。
仲代達矢の怪演が注目株かと思いきや根津甚八の男のエロさと原田美枝子の妖狐に見紛えし妖艶さに全て持って行かれた。

まず「黒澤明 乱 根津甚八」と検索してみよ。
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.9

家族愛という呪いから解かれない母親、その母親から歪んだ愛と憎悪を押し付けられる息子の連鎖の物語。

傷ついた幼い母と向き合い和解の道を拓こうとした押見修造の血の轍に対して、今作は息子に内省の余地を与え
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さらば、わが愛/覇王別姫 4K(1993年製作の映画)

4.0

男と女の美を併せ持つ人間の愛憎。京劇に愛され呪われた少年の物語。

虜姫を演じる蝶衣扮するレスリー•チャンの美しさ。
相手方の覇王 小樓に化粧する筆先に満ちた慈愛、その男を奪った女への燃える憎悪と煩慮
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.4

初めて目の当たりにした死をどう捉え何を思うのか、夜の精霊と交信する少女の物語。

フランケンシュタインが死ぬ顛末に「どうして殺されちゃったの?」と姉に問いかけるアン。
活発な女の子が心優しい怪物を通し
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過去のない男(2002年製作の映画)

4.3

「運が良かったな。普通なら咬み殺されるところだったぞ」

〜きゃわいい犬〜

「犬の名前は?」
「ハンニバル(食人鬼)だ」


カウリスマキの作品では決して裕福な暮らしはしておらず影を落としたような人
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.5

Good👇
作中の建築美はさることながら、エマ•シーンの纏うファッションに魅入られた。
大きなバルーンスリーブや胸元のフリルが彼女の純粋さや好奇心、自尊心の高さを表現している。生まれた時から君臨せしク
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グッドフェローズ(1990年製作の映画)

3.7

こいつらビンタが速すぎる。残像が見えない弾丸か?

死体が生ゴミと一緒にゴミ収集車の中で回転するシーンが綺麗と思った。
そこから始まるヘンリーが逮捕されるまでの音楽とテンポがよい。人をバコバコ殺しなが
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ソナチネ(1993年製作の映画)

4.0

「死ぬのが怖いから死にたくなるんだよ。」

このたけしも戦メリの時のような凶暴さと純粋さの二面性を併せ持つ男だった。

少年のように浜辺を走り花火を撃ちあう、ひと夏の思い出はその先の暗い結末を予想させ
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地獄の黙示録 ファイナル・カット(2019年製作の映画)

4.7

名作だからという理由で観に行ったのだが足を運んで正解だった。あれは絶対巨大スクリーンと音響で見るべき作品……

私はこの作品でウィラード大尉演じるマーティン•シーンに惚れ込んでしまった。当時の年齢で今
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アキラ AKIRA(1988年製作の映画)

4.7

AKIRAリマスター版を見た!!
ヨタヨタのジャンキーどもになめられてたまるかよ 俺達ァ健康優良不良少年だぜ!!

AKIRAを小さい液晶画面で見るのは原作の漫画を単行本サイズに縮小して読むのと同じだ
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東京の女(1933年製作の映画)

3.7

神保町シアターにて。

サイレント映画+ピアノ生伴奏での鑑賞は初めての体験でとても贅沢なものだった。
物語に漂う不穏さや演者の揺れる感情が伴奏によって増幅されていく。生演奏で浮いてしまうかと思いきやす
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アアルト(2020年製作の映画)

3.5

ーフィンランド人は常に森を夢見ている。
アルヴァはその夢を建築で形にした人物だー

北欧を代表する建築家アルヴァ•アアルトの生涯を彼の築いた建築と共に描いたドキュメンタリー。

私は木材や自然をベース
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枯れ葉(2023年製作の映画)

3.6

カウリスマキ3作目視聴。
変わらずの哀愁と優しさが滲み出ていた。

近代のテクノロジーが極力排除された70年代あたりの映画ポスターや古びたインテリアを見ていると、今はなき懐かしい温かみを感じられる。
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(2023年製作の映画)

3.9

「お前との絆なんかより天下というものはよほど重いものなんだよ。」

名声という生首を競って裏切り合う侍共の軽薄さと浅ましさを見せつけられた。

家族を惨殺されても重荷が外れたと嗤い、和睦のため自らを犠
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

4.3

イーニドと10代の頃の自分が重なった。

ずっと一緒にいたレベッカ、ずっと廃線したバスを待つおじいさん、ずっと同じ場所に落ちたジーンズ… 変わらないと思っていたものも変化していき、自分も変わらなければ
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窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

3.7

このご時世だからこそ見るべき作品だと思った。

食券がないと食べられないラーメン屋の前。お腹が空いたので「よく噛めよ」とトモエ学園で教わった歌をトットちゃん達が歌っていたら背後から突然「コラッ‼︎」と
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戦場のメリークリスマス 4K 修復版(1983年製作の映画)

4.5

先逝くセディアスに敬礼しその髪を生涯離さずいたヨノイ大尉、ロレンスを祝福するハラ軍曹。暴力や支配を通して男同士の友情と形容できぬ愛を見た。

思いやりや柔和さなどの女性性が一切排除され、力や序列暴力な
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CASSHERN(2004年製作の映画)

3.8

研究所に落下した稲妻状の構造物、水中から現れるブライキングボスの瞬き一つしない刮目の瞳、モノクロの映像で流れる人物たちのかつて幸せだった過去、起こり得た違う未来… 視聴して半年経った今でも記憶に残る映>>続きを読む

バグダッド・カフェ(1987年製作の映画)

4.4

さびれたモーテルにやってくる謎のドイツ人ヤスミンと怒れる主人ブレンダの女の友情。

はじめは無口なヤスミン、
何考えてるか分からなくて不穏だったがブレンダの赤ちゃんを見て聖母のように慈しむ様子、善意か
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オオカミの家(2018年製作の映画)

4.0

私の苦手なホラー映画だと思っていたので勧められなければ見ることはなかっただろう。

しかし実際に鑑賞してみて
部屋の内部をキャンバスにして、油絵を塗りつぶし上書きするように進むアニメーション。途方もな
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真実(2019年製作の映画)

4.2

フランスの大御所女優カトリーヌ•ドヌーヴが作中で彼女と似た大女優を演じ、娘との埋まらない距離感とその中で撮影する物語を通した彼女の過去の対峙を描く。

冒頭何の説明もなく進むので「この人誰?」とか「な
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.2

父との「離別」前の時間を振り返る物語。

冒頭で父親のカラム(ポール•メスカル)が暗闇の中で酔いながら ゆらり と踊る様子を見て、この人は「ここじゃないどこか」へ行こうとしてる人だとすぐ分かった。
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ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)

4.0

北アイルランドの学校で子ども達に哲学を教える教室。
子ども達のドキュメンタリーが好きで、彼らのありのままの姿を見て、微笑ましい気持ちになったり悲しい気持ちになったりする。

怒りや悲しみを制御する方法
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パンとスープとネコ日和(2013年製作の映画)

4.5

かもめ食堂をきっかけに、食をテーマにした小林聡美さんの作品は必ず見るようにしている。
一番好きなのはこの作品。食事もストーリーも雰囲気もキャストも全てが完璧。


本の編集をしてたけどあることをキッカ
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バベットの晩餐会(1987年製作の映画)

4.7

食をテーマにした映画が好きでよく見るのだが、この作品が群を抜いていると思う。
素晴らしい食を通じて人が幸せになる様子を垣間見られる。

敬虔なクリスチャンの姉妹に従事する家政婦バベットは実は元凄腕のフ
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彼が愛したケーキ職人(2017年製作の映画)

4.0

事故で夫を亡くした女性と、その夫と不倫関係にあったケーキ職人の青年との物語。
距離の縮め方がとても丁寧でよい。
何より随所に出てくるスイーツがとても美味しそう。黒い森のケーキが食べたい🍒

サーミの血(2016年製作の映画)

4.1

スウェーデン語も堪能で聡明なエレ•マリャはサーミと言うだけで動物のような標本写真を無理やり撮影させられてしまう。

けれど民族衣装を脱いでワンピースを着れば誰も彼女がサーミだと気付かない。みんなが私を
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天はすべて許し給う/天が許し給うすべて(1955年製作の映画)

3.6

この時代の映画はストーリーよりも内装やファッションなどの周辺情報の方が楽しめる。

この映画で印象に残ったのは窓を使った演出。大きな窓を通して冬の張り付いた霜など季節の細かいディテールだけでなく人物の
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浮き雲(1996年製作の映画)

3.6

カウリスマキ鑑賞2作目。
ル•アーヴルは話の軸が2つあったのに対しこれは1つの軸で進むので少し展開が遅く感じられた。

しかし随所に見られる北欧のカラフルなキッチンや内装ファッションに心踊るので最後ま
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ストックホルムでワルツを(2013年製作の映画)

4.0

スウェーデン人ジャズシンガーの半生を描いた話。

作中スウェーデン語に訳されたヒットナンバーがいくつも流れる。どの曲も好きになったのでサントラを買ってしまった。

愛する夫と手を繋いで回転するシーン、
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めまい(1958年製作の映画)

3.7

主人公の視点でガラスコップで薬?を飲むシーンがあるのだが
それが私たちがコップで飲む時によく見る、透明なガラスの内側からコップの底を見るという視点なのである。

その視点を利用して、薬を飲むことでコッ
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風と共に去りぬ(1939年製作の映画)

3.9

3 時間以上に及ぶ大作だが休憩挟まずに走り抜いたことを覚えている。

強く逞しい女スカーレットが戦争中家に忍び込んだ男を撃ち殺すシーンがあるのだが、それを友人のメラニーに目撃される。
スカーが嫉妬する
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2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

3.9

人工知能HAL9000のことは今でもよく覚えている。

HALが反乱を起こして人間を殺害したためボーマンに回路を断ち切られていく、いわば殺されるシーン。

最初は論理的に話せていたのに回路をパチンハ
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白い恋人たち/グルノーブルの13日(1968年製作の映画)

3.5

フランスのグルノーブルで行われた冬季オリンピックの公式記録映画。
オリンピック期間中の市政の人々を淡々と撮り続けている。小さい男の子が小さなブルドーザーに乗って雪かきをしているシーンを覚えている。
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