ゆうひんさんの映画レビュー・感想・評価

ゆうひん

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ヤン・シュワンクマイエル短篇集(1965年製作の映画)

4.5

すごく楽しかった。映像をただ見るという感覚を本源的に味わえる気がする。
比較的わかりやすいもの、知識がないとわかりづらいものとあるが、寓意や政治性を理解するということの手前に、わけのわからない風景がと
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音楽(2019年製作の映画)

4.5

笑えるところもありつつ、しみじみとよい。ただただ音を出す、原始的な喜び。ロトスコープってアニメ『惡の華』ぶりに観たけど、アニメーションの味わいがとてもよかった。音楽と最高の相性は抜群である。

ナショナル・シアター・ライヴ 2018 「フォリーズ」(2017年製作の映画)

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2022年最初の映画、付き合いで観たんですが、高校の時にロンドンで何かの舞台を観に行ったことを思い出しました。英語がまったく聴き取れなくて。演劇ってやっぱり空間をすべて箱の中で立ち上げるのがいいですね>>続きを読む

下妻物語(2004年製作の映画)

4.2

「タイムマシンにおねがい」がエンディングで流れると友達から聞いて、それで観た。この曲は大好き。カバーされることも多いが原曲は色褪せない。この映画も、不思議と僕のコンプレックスを爪楊枝で触られながらも、>>続きを読む

コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

4.2

ゆるっとしたユーモアを楽しむ時間。喫茶店ではついつい隣の会話が気になってしまう。特に「cousins」「cousins?」は人間のどうしようもない負の感情を短い時間で切れよく描いていて、印象に残った。>>続きを読む

魚座どうし(2020年製作の映画)

4.3

『あみこ』と連続上映で鑑賞。こちらもすごくよかった。

上映後の短いトークイベントで、山中監督が私の作品はいつも誰かを傷つけてしまう(本作であれば母親)と話していて、演者のカトウシンスケさんの応答も含
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あみこ(2017年製作の映画)

4.6

清々しく痛々しい。いといとおしい。

しゃべりたいことがたくさんあると思っていたけど、しゃべらなくていいや。でも観た人がいたらおしゃべりしたいや。観るようにおしゃべりしたいや。

いとどいとおし。

私は隠れてしまいたかった(2020年製作の映画)

4.0

街並みと自然の風景がとても綺麗。自分にはわからなかったが、教授によれば言語の違いに着目すると面白いとのこと。彫刻作品を抱えて殺風景な一本道を歩いていくシーンが印象的。画家の一生とはまさにそのようなもの>>続きを読む

海辺の彼女たち(2020年製作の映画)

4.5

GW最終日に鑑賞。徹底して外ではなく内から迫りながら、背景にある法制度やグローバル資本主義の歪みを思わずにはいられない。翻って、自分は限りある出会う人々にどう接しているか、邪険に扱ったことはなかったか>>続きを読む

花とアリス(2004年製作の映画)

4.2

リリィシュシュにどハマりした自分からすると、リリィシュシュの陽バージョン、という印象。何が共通しているというのは難しいけれど、シーンの「意味」から離れたところに漂う、ぬらっとした感じ、どこか飄々とした>>続きを読む

フィールド・オブ・ドリームス(1989年製作の映画)

4.0

ただただ、野球愛。ひたすら、野球愛。野球好きにとってはそのことを確認できるだけで幸福な二時間。

最高殊勲夫人(1959年製作の映画)

4.3

面白かった! とにかくテンポが良くて、人物たちのセリフも心なしかみんな早口に聞こえた。語彙の種類も今とはやっぱり違くて、平均的な教養レベルが高い気がしたけど、これは時代による差でしかないのかな。湿っぽ>>続きを読む

Love Letter(1995年製作の映画)

4.2

これぞ岩井美学。映像も音楽も美しく、シンプルに綺麗な作品。身に迫ってくるものはないが(それゆえに非常にリラックスして)、プロットも面白く時間芸術を楽しめる。

Lifers ライファーズ 終身刑を超えて(2004年製作の映画)

4.0

『プリズン・サークル』でメガホンをとった坂上香監督の第一作。双方を観ることでアメリカと日本の社会における刑務所の立ち位置がわかる。

あのこは貴族(2021年製作の映画)

4.1

現代社会に横たわる見えない社会階層を、特定の視点に偏らず丹念に描いた作品。生まれ・育ちとその人を安易に結びつけて語ることはタブーな部分もあるが、個人と社会の分離は格差を隠蔽しかねない。一人の人生への過>>続きを読む

トラス・オス・モンテス(1976年製作の映画)

4.0

連続講義「現代アートハウス入門 ネオクラシックをめぐる七夜」という特別企画にて鑑賞。イベリア半島の国境付近に位置する山村の貴重な記録映像に見えるが、カメラを持った時点で純然たるドキュメンタリー(事実を>>続きを読む

ばるぼら(2019年製作の映画)

3.8

手塚治虫の息子が、父の漫画を映画化。キザな文士と奔放で妖しげな女の俗物的なロマンスを、手塚治虫らしい(というイメージの)幻想、怪奇が食い荒らす。
台詞回しはやや浅薄に感じられ、たびたび口誦されるヴェル
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プリズン・サークル(2019年製作の映画)

4.5

先輩に教えてもらっていて、ようやく卒論を提出して軽くなった心身で観に行ったのだが、そうしてよかった。
ドキュメンタリーとしてまずはありのままを映し出すことに努めながら、チャプターを細かく区切ったり、幼
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絞殺(1979年製作の映画)

3.9

主人公の部屋にマグリットの『大家族』が架けられていたのが気になった。大家族。あとは雪原での性行為、エロマンティックですね。

行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

4.2

監督自らも仲間として出演する方式のドキュメンタリーで、よく作り込まれていた。昔の映像と今を交差させながら、「この街」で生まれ育つということがよく表現されていた。

「黒人は毎日見返すことができるんだ」
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佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

無名の者たちへの讃歌、だと思った。

人が生きるとは、あるいは「生きた」とは、どういうことか。『佐々木、イン、マイマイン』を振り返っていて、その一部を知れた気がした。

それは、忘れていない人がいる、
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カランコエの花(2016年製作の映画)

3.7

ホットなテーマであることに安住せず、丁寧に作られているな、という印象を受けた。それ以上のことはあまり感じなかった。

家族ゲーム(1983年製作の映画)

4.2

見田宗介の本で、親密圏の変容という文脈で「家族が横一列に並んで食事するシーン」への言及があったので、興味を持って観た。櫻井翔の吉本荒野ほど過激ではなかったが、どこかやばい奴というオーラが輝いていて、引>>続きを読む

さようならCP(1972年製作の映画)

4.0

脳性麻痺(CP)を抱える彼らの言葉は聴き取りづらい。彼らが現前しているのであれば、私は真摯に耳を傾けたのかもしれない。ただ画面越しの彼らの言葉を、私はほとんど断片的にしか理解しなかった。できなかったわ>>続きを読む

映画ドラえもん のび太の新恐竜(2020年製作の映画)

4.2

数年ぶりに劇場でドラえもんを観たが、ああ映画ドラえもんだな、と感じた。もちろんよい意味で、である。映画館は空いていたが、何組かの親子連れが来ていて、綿々と受け継がれていってほしいかぎり。

太陽の塔(2018年製作の映画)

4.5

すごく面白かった。曼陀羅のようにスケールの大きい作品で、自分の矮小さを突き付けられ、身体から何かが迸っていくのを感じた。おそらく、紛れもない鮮血だろう。
陳腐な感想になってしまうが、それにも関わらず敢
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PicNic(1996年製作の映画)

4.2

初めてオールナイト上映を観た。池袋東口の新文芸坐、「岩井俊二 蒼く気高い魂たちへ」と題され。生活リズムが整っていたため眠くなってしまい、終盤にかけて微睡みつつだったので、もう一度配信サービスで観ようと>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

4.7

素直に素晴らしい映画だった。コロナ禍で3月以来久々の映画館だったので、その補正もあるかもしれないが、本来映画とは映画館で観るために作られているのであって、補正でもなんでもなく自然なこと。
教育学徒とし
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ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)

4.2

文学や美術が好きなので、20世紀初頭の文化人たちが次々登場してくるのは胸が高まった。パリの街並みは美しくカロリーも少ない映画なので、寝る前とかに繰り返し観るのに向いてそう。主人公にも親近感が湧く。

ここは退屈迎えに来て(2018年製作の映画)

3.8

最近卒論の行く末などを考えてナーバスになることが多く、映画を観る気力もなく、カロリーの少なそうな作品を選んで久々に観た。山内マリコの原作は好きだったが、そんなにはまらず、途中からはやや退屈だった。『茜>>続きを読む

時をかける少女(1983年製作の映画)

4.2

アニメ版とか最近の実写版にはおそらく興味がないが、この時代と地域に惹かれてしまう。80年代の家庭や学校、街並みを観ているだけでノスタルジーに浸れる。昔の映画ならではのチープさにこそ、味があってよい。洗>>続きを読む

モテキ(2011年製作の映画)

4.3

ついに観てしまった。音楽の選曲がいい感じ。今夜はブギー・バックをえらい勢いで歌いたくなった。一緒にフェスに行ける彼女ができたら他のことはもういいかなってくらいその存在にもうずっと憧れていますね。ライブ>>続きを読む

サード(1978年製作の映画)

4.5

寺山修司らしさが節々に伺えた。「ホーム」すなわち故郷というテーマはまさにそうだし、「観念的叙情」とでもいうべきセリフ、カットが昭和らしい(というのは事後的な物言いだが)映像世界に綺麗に溶け込んでいた。>>続きを読む

少女ムシェット(1967年製作の映画)

3.6

いまいち入り込めなかった。自分は映像単体からシーンの意味を理解するのが不得手なのか、注意散漫だったのかはわからないが、あまり興味を持てなかったことがすべてだろう。たまにこういう映画に出会うが、自分の鑑>>続きを読む

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