てねけさんの映画レビュー・感想・評価

てねけ

てねけ

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.0

IMAXの大スクリーンと音響設備を、キャラクターの内面描写や感情表現のために全振りするという、時代は新たな演出のフェーズに入った模様。

前作が「テネット」だったことを考えると、この間にノーランの身に
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続・夕陽のガンマン/地獄の決斗 4K復元版(1966年製作の映画)

4.5

終わってみれば、「どこがthe good やねん!」という突っ込み待ちのタイトルだと理解した。

とにかくまあ、全員がbadでugly、しかし何故か全員超絶クールなのだ。

特にクライマックスの三人の
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ヒート(1995年製作の映画)

3.5

仕事中毒のマッチョなおっさんたちにひたすら振り回されて、ただただ酷い目に遭う女性たちの話。

「他の生き方を知らないから」と、自分の規範だけに従って生きるのは、本人的には気持ち良さそうだけど、周りの人
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.5

ある意味ホアキン力だけで強引に押し切られる怒涛の3時間。

クセ強マシマシの私小説なので、体調と観るタイミングを選ぶ。自分は正直中盤の森の演劇のくだりで若干意識が飛んだ。

が、やはりそこはアリ・アス
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ゲーム(1997年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

あの「セブン」の次のフィンチャー監督作ということで、公開当時期待値MAXで劇場へ向かい、あまりに酷いオチに怒り狂いながら劇場を後にしたのが今となっては良い思い出。

何十年振りに見返してみるとあら不思
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うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年製作の映画)

3.5

一応世代的にはど真ん中のはずなんだけど、なぜかこれまで一度も観たことがなかったため、今回初見。

今となってはタイムループもののクラシック的な位置付けなのも納得で、「うる星やつら」の映画版でこんなアバ
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.0

あまりにもシリアスなルックにすっかり騙されて、恥ずかしながら観ている間は全然気付かなかったけど、BLACKHOLEの解説を聞いて初めて気付いた。

そうか、これはコメディだったのか!!

これは一体ど
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ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

5.0

これはもはやフィットネスビデオ。恐らく一緒にエアロビしながら観るのが正しい観賞の作法ではないかと思われ、座席に座っているのがもどかしい。

IMAX 4K は音も映像も想像以上で、完全にライヴ体験。そ
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スライ:スタローンの物語(2023年製作の映画)

3.0

スタローンの半生を駆け足で振り返るダイジェスト版と言った趣きなので、一応スタローンガチ勢を自認する自分のような人間には正直やや物足りないものの、若い世代向けの入門編としては全然アリではないかと。

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スピード(1994年製作の映画)

4.0

久し振りに観たけどやっぱり面白い!

携帯もネットもSNSも無い時代の、ほぼ最後のアクション映画。TVの生中継を観て電話しながら「未来のインタラクティブメディアだな!」とか叫ぶデニス・ホッパーが、今見
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

裏バービー。

エマ・ストーンがとにかく性的に解放されまくるわけだが、プロデューサーも兼任してすべてをコントロールできる彼女がスタントマンなしのアクションシーン、いや、ボディダブルなしのセックスシーン
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

2.5

「原作オマージュ」「リスペクト」と言えば一瞬良きことに聞こえるけど、要はオタクの二次創作であり、時代に合わせてアップデートされないただの懐古趣味なのであれば、こういうリメイク?リブート?の存在意義って>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.0

芸術と現実社会の間で引き裂かれて葛藤しながらも、「それでもおれには映画しか無いんだよ!」と突き抜ける青年スピルバーグが感動的。その後の彼の歴史的成功を思うと、更に胸熱。

などと感動に浸っていたら、ラ
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ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.5

いわゆる「こういうのでいいんだよ、こういうので」映画。

特に斬新さも無ければ、展開も読める。が、ジャンル映画としてのツボはしっかり押さえつつ、何気に全体的なクオリティは高い。結果、普通に面白い。
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エレファント(2003年製作の映画)

3.5

吉田大八監督本人が「桐島、部活やめるってよ」のインスパイア元として挙げていたので観賞。

学校という閉鎖空間の中で、異なる視点からなるそれぞれの日常のエピソードが繰り返され、カタルシスとも呼べないあま
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.5

ピアノの彼が自身の壁を乗り越えて覚醒するライブシーンが個人的ハイライト。

ゼロ状態からの成長スピードで言えば実はドラマーが一番凄いんじゃないか説。

桐島、部活やめるってよ(2012年製作の映画)

4.5

公開当時はかなり話題になっていた記憶。このタイミングで今更初鑑賞、で、深い所で眠っていたはずの感情を見事にえぐられた。

ゴドーを待ちながら
台風クラブ
羅生門
現金に体を張れ
などなど…

序盤、作
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羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

4.0

久しぶりに名優同士の超近接顔面組手演技を堪能。

名作。

アリスの恋(1974年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

スコセッシの初期作品。

夫を亡くしたシングルマザーが11歳の息子を連れて新しい生活を求めて奮闘するのだけど、歌手の夢を諦められない、しかも恋愛体質の母親なので、見ていて非常に危なっかしい。

設定自
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D.O.A.(1980年製作の映画)

2.5

基本、ゲリラ撮影で切り取られるロンドンパンクス黎明期の熱狂的雰囲気が大変興味深い。現場にいたら相当なカオスだったんだろうな。

D.O.A. = 到着時すでに死亡、というのはパンクムーヴメントを語る上
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駅馬車(1939年製作の映画)

4.0

行って、帰って来る話。

「マッドマックス 怒りのデスロード」の元ネタのひとつと聞いて以来ずっと気になっていたけど、観てみたら想像以上にマッドマックスだった。

古い映画を観る時は、その時代のテンポと
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(2023年製作の映画)

4.0

観る前の想像通り戦国版「アウトレイジ」という趣きではあるものの、時代が時代なだけにやっていることは数十倍えげつない。

「NHKの大河ドラマなんかで、人格者の英雄として描かれる戦国武将に対してずっと違
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ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

2.0

前作で好ましく感じた要素がすべてことごとくズレていて、残念ながら自分にはまったく合わなかった。

前作では殺陣シーンとのコントラストとして機能していた日常系駄話のくだりも、今作ではただ無駄に長いだけの
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シェルタリング・スカイ(1990年製作の映画)

4.0

倦怠期夫婦モノはどうしてこうも名作揃いなのか。

公開当時は高校生だったので当然スルー。しかし自分も結婚してしばらく経った今、これがやけに心に染みる。

異国を旅行中に熱病にかかるっていうのは、割と一
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

「良いところ」と「悪いところ」がこれほど両極端の振れ幅で混在している作品もなかなかめずらしい。良いところは超最高で、悪いところは見るに耐えない。結果、かなり評価に困る。プラス100点とマイナス101点>>続きを読む

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.5

ジョンウィックからの流れで、伊澤彩織を見にきた。

日本映画でここまで「残念じゃない」アクション映画が作れるということに素直に感動した。「ファブル」を観たときも似たような感想を覚えたけど、こちらの方は
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ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.0

一作ごとに中二スピリットが加速していく胸熱シリーズがついに完結。

日本刀、手裏剣、弓矢、ヌンチャク、さらには犬、走行中の一般車… 考え得る限りのありとあらゆるアイテムをぶち込んだメガ盛りアクションが
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ハーダー・ゼイ・カム(1973年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

レゲエ版「スカーフェイス」

もっと泥臭い感じを勝手に想像していたら、編集や演出は結構洗練されていて驚いた。ヌーヴェルヴァーグの影響とかが強いのかな? 知らんけど。

この界隈はあまり詳しくないけど、
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その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

4.0

今観ても、と言うか今だからこそよく分かる、監督・北野武の異常な才能。

既存の企画にも関わらず、初監督作品でここまで明確に自身の作家性が出てしまうのは本当にもう天才としか言いようがない。まさに「映画に
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キル・ビル Vol.2(2004年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

Vol.1 が最高だったので、当時そのテンションのまま期待値MAXで映画館へ行き、終わったあとかなり微妙な感情で出てきたのは良い思い出。

前作と比べると明らかにテンションが落ちて、物語のドライブ感も
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キル・ビル Vol.1(2003年製作の映画)

4.5

久しぶりの再鑑賞。やっぱりおもしろい。

公開当時は斬新すぎて所々で置いてけぼりを喰らった怒涛のサンプリングの嵐も、今改めて見るとようやく時代が追いついた感。

いきなり梶芽衣子の主題歌が流れはじめた
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オアシス 4K レストア(2002年製作の映画)

4.0

イ・チャンドン・レトロスペクティヴの5本目。

本当に何を食べて育ったらこんなエグい脚本が書けるのだろうかというくらい、核心へ迫る踏み込みがえげつない。

「社会の中に居場所のない二人が出会い、お互い
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ペパーミント・キャンディー 4Kレストア(1999年製作の映画)

4.0

イ・チャンドンマラソンの4本目。

韓国の現代史についてよく知らなかったのだけど、88年のソウル五輪直前まではまだ軍事政権下だったこと、激しい民主化運動で市民と軍が衝突して死者も出た光州事件のことを、
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シークレット・サンシャイン 4K レストア(2007年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

レトロスペクティヴ上映にて。今回のイ・チャンドンマラソンの個人的ハイライト。ずっと評判だけ聞いていたけど、ようやく観れた。

なるほど確かに、これは衝撃。

「信仰による魂の救済」、あるいは「信仰を持
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バーニング 劇場版 4K(2018年製作の映画)

4.0

一応はミステリーなんだろうけど、とにかく最初から最後まで何とも言えなく居心地の悪い、不穏な空気がずっと続く。

そして最後まで何も回収されない。

ある意味とても寓話的で、散りばめられたメタファーに対
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