無理しゅぎさんの映画レビュー・感想・評価

無理しゅぎ

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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.0

劇場を出た時は、うーん、不条理だとポカンとしていたが、鹿殺しというのが劇中に出てきたギリシャ神話から取られていると判って得心がいった。

ギリシャ人監督によるこの映画はギリシャ神話そのもので、となれば
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彼女がその名を知らない鳥たち(2017年製作の映画)

4.0

冒頭から蒼井優によるモラハラ他責人間のリアルな活写に戦慄。
口先男にホイホイ引っかかる〝空虚な中心〟としての女でしかない蒼井優に、理不尽なくらい献身する阿部サダヲ。関係の中で愛を育む能力のない蒼井優の
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月と雷(2017年製作の映画)

4.0

〝生活者〟と〝風来坊〟の話。
生活者は田舎のスーパー店員である主人公泰子。風来坊は、恋愛の上澄みだけを吸い、飽きれば捨てて次を探す根無し草・直子と、その本質を受け継ぐ息子の智。(「生活」と「風来坊」は
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サーミの血(2016年製作の映画)

5.0

主人公とその妹は本当のサーミ人姉妹とのこと。姉のエキゾチックな横顔は鼻筋が美しくて、いつまでも見ていたくなる。

遊牧生活をするサーミ人を近代スウェーデンは教育しシヴィライズする。同時に彼らは測定され
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エル ELLE(2016年製作の映画)

4.0

見た直後は、どいつもこいつもプシコパット(サイコパス)だった…という印象だが、しばらくして思い返すと、コイツの考えていることだけは意味不明、という人物はいない。強姦犯の「これじゃなきゃ興奮できない」と>>続きを読む

昼顔(2017年製作の映画)

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ドラマは見たことがなく期待を込めて見たものの、90分を過ぎたあたりから尿意のことしか頭になかった。メロドラマなら90分でいい。

ただ、外国人に日本が未だ近代化を遂げないまま衰退を迎えているという事実
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ガタカ(1997年製作の映画)

5.0

遺伝学の発達で人間がすべて統計的に測られる世界。自由であること、人間であることは可能なのか。わかりやすくも、時代の本質を捉えている。
統計的人間観は自分がなぜ自分でしかないのかという苦しみをより尖鋭化
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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

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せっかくの最果タヒなのに、これはだめ。監督はメンヘラでもなければ、本気でさみしいとも自分は誰でもないとも、死にたいとも思ったことはないんじゃないかな。無理して作ったように見える。あの「頑張れ」の歌のヒ>>続きを読む

たかが世界の終わり(2016年製作の映画)

5.0

ドランは世界と折り合えない自己の中で悶々とするお洒落メンヘラ以上の存在ではある。ドラン映画にはいつも自己問答を超えて、他者の変わらなさ、自分の変われなさ、関係への隷属が描かれている。だから普遍的。今回>>続きを読む

イディオッツ(1998年製作の映画)

5.0

メンヘラ、不倫といった社会不適合者が作る濃密なコミュニティー。「みんなでセックス」。イディオットセックスはたぶん最高。だがイディオッツ(白痴)として社会の奴隷の境遇から逃げ切るのは容易ではない。奴隷根>>続きを読む

神のゆらぎ(2014年製作の映画)

4.0

交錯する人物らがどう噛み合うのか考えさせられた末に、全てに意味はなかったという天啓が訪れる。世界の曝露。だから原題は奇蹟。邦題はよくない。