犬さんの映画レビュー・感想・評価

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奇跡の海(1996年製作の映画)

4.3

私はかなりベス寄りの人間なので、共感すると共に嫌悪感もある。『ダンサー・イン・ザ・ダーク』もそうだった。ヒロインは2人とも自己犠牲を美徳と考える。ただの思い上がりなのにね。

私も「この試練に耐えれば
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ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

今作は鬱映画ではない。セルマは自分勝手だ。優しい手を払いのけ、1人で抱え込む。私みたい。私みたいだから、嫌いだけど愛おしい。

私は常に「これ以上幸せを望んではいけない」と考えているし、エクストラで幸
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オオカミの家(2018年製作の映画)

3.6

序盤3分で「これは宗教コミュニティの話だ」と理解できるかが肝だと思う。

他の方のレビューを見て「史実に基づいてるのか!」とさらに作品の評価が上がった。だからドイツ!

ハチミツ効果は不明だし、「我々
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ゴーストワールド(2001年製作の映画)

3.6

青春のかさぶたを引っかかれる映画。 5年ぶりの鑑賞。

主人公には「働け!」と思うけど、私も四捨五入したら主人公側の人間だからなおさら刺さる。社会不適合者同盟組もうぜ。

劣等感と優越感がブラックジョ
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スーパーバッド 童貞ウォーズ(2007年製作の映画)

3.8

主人公3人がとてもピュアでお馬鹿で可愛かった!
お酒を飲むのもキスするのも特別だった頃には戻れないよな〜となり切ない……(いや遊んでるわけじゃないけどね)

ありきたりなおバカムービーかと思ったら最後
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ビデオドローム 4K ディレクターズカット版(1982年製作の映画)

3.4

40年近く前の作品なので、映像に古さを感じるものの味があっておもしろかった。

なのでグロ描写はそんなに気分悪くならなかった。

ビデオ脳になる発想は現代のSNS依存に通じるものがあるし、映像の奇天烈
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.0

絢爛な不道徳、透明な不純。最高だった。

監督作品の中では割と「設定」がわかりやすい今作。ベラの出生秘話のみでOK。しかし、ランティモス節炸裂ギャグも多い。

『ラ・ラ・ランド』のイメージが強かったエ
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スープとイデオロギー(2021年製作の映画)

4.0

済州島での虐殺も、在日コリアンの歴史も、何も知らなかった。

「悲しいことは忘れてもいいよね。悪いことをした人は覚えていないといけないけど」と語るヨンヒさんが優しい。

「認知症の人は自分が人生で1番
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ドライヴ(2011年製作の映画)

3.2

前半の空気感が好きだったので、後半突然B級ゴア映画になってびっくりした。

ヒロインとのドライブや子供と遊ぶ場面がとても可愛らしく、主人公を応援したくなる。そう、架空の人物だけど「自分と同じ人間」って
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母なる証明(2009年製作の映画)

3.6

父親の影が一切ないのが怖いね。

登場人物全員に後ろめたい過去があるの、人間らしい。

愛情を正当化したい人の話だったな。

誰が幸せになったんだろう?

枯れ葉(2023年製作の映画)

3.9

「現代はラブストーリーに不向きだ。すれ違いが少ない」と大学の教授が言ってたけど、今作はことごとくすれ違う。

起こる出来事はドラマチック。でも人物が物静かで物語も淡々としているから「いやいやありえん!
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.2

クールでソリッドな殺し屋劇だけど、主人公が「自分のミスを物理で解決する」脳筋なんだよね。

「かっこいいけどお前が悪いやろ! かっこいいけど!」ってシーンの連続。

でも、よく考えると名無しの主人公が
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ロブスター(2015年製作の映画)

3.5

倫理観をゆっくり逆撫でしていく作品。

常に不快感が漂い、整頓された違和感が鎮座してる。

私自身恋愛は交通事故、天変地異だと考えているので、いつ来るかわからず、訪れた時には巻き込まれるしかないんだよ
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CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

3.5

保健体育で見せるべき。人間辞めたヒトしか出てこない。ポスタービジュアルがサングリアみたい。

もっと映像効果を使ってキマり方を演出するのかと思いきや、カメラはほとんどが長回し。役者の身体能力と演技に感
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グロリア(1980年製作の映画)

4.0

ミュールで仁王立ちしながら銃をぶっ放すグロリアがカッコ良すぎる。これなら我が子を託せるな。

階段でタバコを吸う仕草、足でタクシーのドアを開ける角度、全てが色っぽくて憧れる。

でも、だんだん表情が優
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バッファロー’66(1998年製作の映画)

3.7

史上最もロマンチックなストックホルム症候群。

突然の誘拐、奇妙な食卓、ボウリング場でのタップダンス……フィクションだらけの世界で、2人の感情だけがリアル。

あんなにプラトニックで可愛いベッドの使い
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劇場版ごん GON, THE LITTLE FOX(2019年製作の映画)

4.2

ポロポロ涙がこぼれてしまった。これ書いてる今もうるうるしてる。

映像は本当に綺麗。繊細で、ストップモーションアニメってこんなに表現できるんだ! とびっくりした。

そして、キャラクターの愛らしさが物
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(2023年製作の映画)

4.2

丁寧に作られた一作だった。今年ベストかもしれない。

本音と嘘、天才と凡人、健常者と障害者、月と鎌と回転寿司のレーン、卵と子ども、全ての対比が素晴らしかった。2時間半でダレが全くない。

矛盾だらけの
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裏切りのサーカス(2011年製作の映画)

2.6

どうしよう!!! 全然わかんない!!! ってハチワレになりました

多分全員日本人キャストだったらわかる。ゲイリーオールドマンは水谷豊でどうですかね。

面白さの3%しか掴めていない気がして悔しい。T
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プリシラ(1994年製作の映画)

4.0

いつか劇場で見たかった作品。希望が叶って嬉しい。勧めてくれた母も感動していた。

砂漠に舞うドレス、冷たい人の目、煌びやかなショー、暖かなハグ、全部が噛み合って、最後は泣きそうになりながら、最高にハッ
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イノセンツ(2021年製作の映画)

3.6

子供の残酷さ、無邪気さが淡々と描かれていてかなりホラーでした……肩が凝る系の映画。

みんな孤独で、闇を抱えているのが端的に表されてた。子供が抱えるには大きすぎる事件ばかり起きるよね。子どもたちが泣い
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ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ(1998年製作の映画)

3.9

爆笑しながらも伏線が回収されていく様には恐れ入った!!

群像劇でもあるので、登場人物の紹介パートはほ〜ん、と見ていたけど、大麻の栽培あたりからクスクスし、最後は大笑いしちゃった。

どうなるの?? 
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お嬢さん(2016年製作の映画)

3.4

パクチャヌク監督の「俺のクソデカ感情を喰らえ!」が大好きなので、今回も美味しくいただきました。

搾取される女性が手を取り合い、全てを超える作品だった。

男に抑圧され、騙された2人が、物理的にも心理
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RRR(2022年製作の映画)

4.2

とにかくいろんな人を「ご存知」にさせたくなる映画。私も父を「ご存知」にさせました。

ストーリーは単純明快。そして勧善懲悪。しかし予想を遥かに超えるスライダー的展開が続く。

最近ありがちな「実はいい
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お葬式(1984年製作の映画)

3.9

THE 古き良き邦画でした。

画面で語る、推して図るべしの言葉なき会話、女の強かさと男の情けなさ。それらが葬式の三日間だけで丁寧に描かれていた。

とにかくカメラワーク上手い。饗宴する男たちの居間と
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ステージ・マザー(2020年製作の映画)

3.4

かるーい気持ちでかるーく見られました。

映画というより2時間ドラマを見ているような感覚。展開は読めるし、笑いはありきたりだし、でもそこが良かったりもする。

登場人物も個性的で基本いい人なのもほっと
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オールド(2021年製作の映画)

3.0

そこそこ楽しめました。

ビーチの発想は面白いし、歳のとり方が三者三様で面白かった。中盤までが1番ドキドキしたかな。

ちゃんとオチはあるし「あれはなんだったの!?」みたいな不完全燃焼さはない。しかし
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.7

日本でイマイチヒットしなかった理由も、アカデミー賞受賞に賛否両論あったのも頷ける作品。

下品で突飛でおバカ。私は大好き。

どんな世界線でも、どんな姿になっても、娘に寄り添おうとする主人公の姿になぜ
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別れる決心(2022年製作の映画)

3.6

気持ち悪い表現になるけど、同監督の過去作が絡み合う裸体だとするならば、今作は浴衣から覗くうなじの様。  

会話の端々から、指先から、視線から、2人の関係が見えてくる。じれったい。けど美しい。

被疑
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東京ゴッドファーザーズ(2003年製作の映画)

4.0

久々の鑑賞でした。やっぱりくすくす笑ってしまった。

オープニングから一切の無駄がないし、タイトルクレジットから引き込まれる。

ご都合主義すぎる展開もアニメのコミカルさに包まれて嫌味なく受け取れるし
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パプリカ(2006年製作の映画)

3.5

おそらく4回目の鑑賞。やはりわからない。
でも、わからないのがいいのかもしれない。

映像美や奇抜な演出に翻弄されるのを楽しむ映画なんだと思う。

監督の豪速才能に置いてけぼりになる感は否めないものの
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千年女優(2001年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

おそらく7回目の鑑賞。奇しくも本日は14日目の月の晩でした。

今作はオールタイムベストなので、評論かぶれの拙文を置いておきます。

大学四年時、映画評論の課題で書いたものです。今見返すと無駄もあるし
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パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

4.3

4回目の鑑賞でした。やはり、心臓が痛くなる傑作。

サイコスリラーだけど、テーマは「アイデンティティ」なんだろうな。

アイドルという偶像も、女優という虚像も、勝手に崇められ、歪められていく。未麻自身
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TAR/ター(2022年製作の映画)

3.8

「天才は何やっても許される時代」に終焉を告げる映画だった。

クラシックと今作の予備知識は全くなく鑑賞したため、序盤の主人公との会話がやや退屈に思えてしまった。

しかし、全部伏線だった。複数回鑑賞す
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