Tomさんの映画レビュー・感想・評価

Tom

Tom

渇愛の果て、(2023年製作の映画)

3.4

#渇愛の果て、
存在は知ってたが,出生前診断について詳しく知らなかった。実際,同じ状況になったら命の決断が出来るだろうか。自分の選択を想像して考えさせられた。知る事で,選択肢が僅かでも広がるし,他者へ
>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.6

変わらない自然と人間を見つめ,対話の可能性を探る至福の映画体験。上下左右の動きに緊張感と緩和の緩急と…異次元の没入感。そこに面白さと想像力を広げる濱口竜介の神がかった会話劇。善か悪かなんて,誰かに判断>>続きを読む

アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.4

嘘だと言ってくれ!!って程の家族の実話。泣く事も逃げる事も許されない。しっかりした妻の存在も母親も,運も全てが悪い意味でボタンを掛け違え不幸へ向かう感覚…。呪いと言いたくもなるよ。愛が根底にあるから辛>>続きを読む

クチビルのはしっこ(2024年製作の映画)

3.8

いじめの加害者が目撃する,被害者の自殺のタイムループ。"相手の気持ちになって"って簡単な様で難しい。何度も何度もループしてやっと本質に気づく…それが現実。その時にはもう遅い。実際はそれにすら気づけずな>>続きを読む

ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)

1.5

君達,復讐する人間違ってない?!緊張感も一切なく,設定も物語もガバガバ過ぎるて破綻していて,頭が???状態。冒頭のバスの件から思わず笑ってしまった。皆本当に棒立ちが過ぎてびっくりしてしまった。あの上か>>続きを読む

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)(2024年製作の映画)

2.0

終わった後のこのザワザワ感,いいねぇ。コナン観たって感じ。こんなとんでも発表が映画で許されるのもコナンの特権よね。相変わらずミステリーはやる気ないし物理も法律も無視してやりたい放題でアニメの延長線上感>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.7

紅だーー!!!こんな歌詞だったんだね。2人の絡みと徐々に心が惹かれ合っていく様が実に微笑ましく永遠と会話を見ていたかった。強豪校としての合唱大会の描き方や合唱部としての話の落とし所は中途半端で勿体ない>>続きを読む

リンダはチキンがたべたい!(2023年製作の映画)

2.0

開いた輪郭線や色彩,抽象的で自由なヨーロッパの目が覚める様なアニメーションは大好き。団地の魅せ方や車の夜景や追走シーンは心に焼き付く程素晴らしい。一方で全キャラクターが軽々と一線を越えて暴走していく様>>続きを読む

人間の境界(2023年製作の映画)

3.6

ベラルーシとポーランドの国境でこんな事が起きていたのか…。監督の怒りの鬼気迫る告発に言葉を失う。どうすればいいんだろう。考えても答えは見つからない。歯痒い。かといってその重い腰は上げられず,上げても砕>>続きを読む

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間(2023年製作の映画)

4.5

🇷🇺の🇺🇦侵攻から崩壊迄を撮ったドキュメンタリー。破壊される街,積み上がる死体の山…これが戦争なんだ…。ふざけるなと怒りで体が強張っていた。辛い映像なのは間違いない。でもこの現実からは目を背けてはいけ>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

4.2

これは凄い。ゲイの方々が人生で抱える孤独や不安,後悔が繊細かつ生々しく,感触まで伝わってくる映像表現に圧倒された。これ程彼らと真剣に向き合い,寄り添うからこそ,感覚と波長の機微がこんなに細かく伝わるん>>続きを読む

大人のためのグリム童話 手をなくした少女(2016年製作の映画)

3.9

『がぐや姫の物語』を彷彿とさせるアニメーションに惚れ惚れ。水墨画の様なタッチで色も形も変わりつつも絵から感情のうなりが伝わってくる。透過度を巧みに使った遠近感の表現が素晴らしい。少女の生命力と想いが伝>>続きを読む

マーダー・ムバラク(2024年製作の映画)

2.0

登場人物が次から次へと出てくるWho done it?なインドミステリー。インド映画らしさもミステリーとしての強度も弱いが,無限に出てくる人の中から誰が犯人か探偵と共に追っていくのがシンプルに楽しい。>>続きを読む

俺らのマブダチ リッキー・スタニッキー(2024年製作の映画)

3.0

"全部リッキーのせい"と架空の彼を盾に嘘をつきまくって…そんな彼を実際に創って…。飛行機鑑賞には丁度いい,下ネタとジョンシナの魅力がたっぷり詰まった楽しい作品。アカデミー賞の彼,リッキーだったのでは?>>続きを読む

美と殺戮のすべて(2022年製作の映画)

3.5

編集やべぇ。一見繋がらなそうなオピロイド中毒問題と写真家ナンの人生を見事に繋げて魅せるドキュメンタリー。写真を堪能しつつも史実の背景まで見えてくる,まるで美術館の展示をまるっと観たような満足感。其々の>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.0

センスが良すぎる…。キャスティングと独特な世界観,物語の仕掛けとその持っていき方も凄い。ドライかつ冷静な視点で世界を見つめ乍らも気づけば愛おしい彼女らの感情に寄り添いながら無関心への危機感と自信の無力>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

3.7

輪廻の概念は信じてないが反復やモチーフで繰り返し魅せて感じさせる演出が凄い。終盤あの人に寄り添う瞬間からほろ苦さと現実味がグッと増して持っていかれた。そして来世を想う,ラストショットの表情にグッときた>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.3

うーん。乗れず。無駄に分かり辛い。原爆と向き合うというより一人間として彼の人生をなぞる本作。物理の概念と現象を映像化し魅せるのは流石。本作は一国の視点から見たほんの一面に過ぎない。世界中でこの悲惨な歴>>続きを読む

ロードハウス/孤独の街(2024年製作の映画)

3.4

皆ムキムキかつ脱ぎまくりでカルシウムが足りて無い街。治安を守るジェイク。一周回ったこのシンプルさとオフビート感が実に心地よい。真面目にやるところとはっちゃける所の振り幅が好き。サイコパス&マラカスおじ>>続きを読む

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

3.0

正しく"ドッグマン"な犬小屋で育ち,犬だけを信じ犬と共に生きるダークヒーロー爆誕の物語。男の壮絶な過去に思わず同情してしまう。ケイレブ・ランドリー・ジョーンズの色んな顔が拝める上に,彼の為に頑張るワン>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.9

痛快。メタメタな構造で多様性に乗っかる偏見を強烈に皮肉る。本当に本質を分かってる?と数々の仕掛けに翻弄させられながらもそれにリンクしていく等身大な家族の物語が面白いし染みる。自分の本当にやりたい事と世>>続きを読む

映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)(2024年製作の映画)

3.3

こんな攻め方があったか。物語は歪で中弛みしてるが,らしさを活かしつつ魅せたい事,伝えたい事が直球で伝わってきた。"音楽の楽しさ"を音響設計を極限まで追求して聴覚的にもアニメーションで視覚的にも表現する>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.1

求められるものを,信じたいものを想像し,演じて…裁判って舞台だよな。本来真実を明らかにする筈の裁判だが,気づけば目の前の不確かさに何をもって何を信じればいいのか迷宮入りし,我々の心理まで解剖されている>>続きを読む

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.0

常に一歩先を行くテンポの良いハラハラドキドキなサスペンス。ある程度物語の筋を分からせた上での振り回してくる心理戦展開が実に巧い。年齢設定も秀逸で青春を巧く絡めながら感情移入させつつ,話もしっかり整理さ>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

3.0

杉咲花無双。絶望と諦めと,光と…瞳と表情が雄弁に訴えてくる。壮絶過ぎる彼女の人生は辛過ぎて自分だったらなんて到底考えられず,受け止めきれなかった。傍観するしかない自分が只々辛い。流石に最後のは正直同情>>続きを読む

コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

3.9

熱い!熱過ぎる!!圧巻の2部構成と2人の恩義と信頼が導く絆を超越した関係が大好き。『モスル』以来の戦禍の没入,臨場感を支える銃撃戦の空間と音,主観を魅せる演出が現実とも繋ぐ素晴らしさ。終盤緊張が解ける>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.6

映像技術も遂にここまで来たか。お腹に響く重低音と美しい映像は体験として記憶に残りそう。シャラメもめちゃくちゃ良かった。1より断然面白いし,凄いもん見た感も半端ない。でもこの乗り切れない感じは何だろう。>>続きを読む

Here(2023年製作の映画)

4.0

なんて美しくて心地良い作品だ。日常を優しい眼差しで丁寧に切り取り,ささやかな幸せを余白たっぷりに魅せる。移民を描くのにこんなアプローチがあったなんて。静寂に木霊する鳥の声,風,水の音…。忘れられない程>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

5.0

優しい映画だ。其々が別の軌道を回り,時にそれが重なって,時に重ならなくても太陽の様に光だけ差す瞬間もあって…。他者を想う尊さと,その積み重ねで輝きを取り戻していく姿に涙。2人のありのままの取り繕わない>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.0

疲れた。今の狂った社会の縮図を不安症のボーの脳内と重ね,現実と妄想の狭間を体感し続ける3時間。正直尖り過ぎてて笑っていいのかよく分からなかった。このボーと一緒に感じる'分からない'感覚も,説明がつかな>>続きを読む

ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男(2023年製作の映画)

3.0

人種差別撤廃デモ運動の主導者を描く本年度アカデミー賞ノミネート作。彼の恋愛面はリアルを描いたのかもしれないが描き方が軽すぎなのは気になった。それでも歴史的に知れて良かったし,権利を主張しなければならな>>続きを読む

黄龍の村(2021年製作の映画)

1.5

何も知らずに見た方が楽しめるのは間違いない。ただ相変わらず録音が最悪で台詞を聞くには耳が痛いしギャップを狙うのは分かるが序盤の寒いノリも過剰な演技も苦手。何で銃撃たんの?他の人どこ行った?…インディー>>続きを読む

オリオンと暗闇(2024年製作の映画)

4.4

魂消た。子供時代に誰もが感じる不安や恐怖の概念を優しく紐解く傑作。巧みな構成で間口をグッと広げ,克服を超えてその一歩も二歩も先を描く深さ。光と闇,楽しい事と恐怖,孤独…全てが人生に於いて必要で大切な事>>続きを読む

緑の夜(2023年製作の映画)

1.8

惹かれ合う孤独な二人の逃避行。汲み取りきれない所もあるが,息苦しくて寒くて不安定な心情を揺れるカメラが映し出す。抑圧から何とか逃れようと運命に抗う姿が虚しくて悲しい。最後の選択はどうしようもない状況で>>続きを読む

ジャンヌと七面鳥(2023年製作の映画)

2.0

不安定な少女の内面の変化を不思議な世界観で描く。イマジナリーフレンドとも少し違う,保守的な自分。変わりたい。でも怖い。そんな想いをぎゅっと詰め込んだ短編映画。僕が子供の時も,変わる時ってこんな気持ちだ>>続きを読む

私に触れた手(2022年製作の映画)

2.8

絵本のような可愛らしいタッチで家族を描く短編アニメーション。マトリョーシカと重ねて過去を振り返っていく魅せ方が面白い。予想の斜め上の着地で驚いた。触るという表現が,アニメーションだからこそ生々しくも感>>続きを読む

>|