DJLastChristmasさんの映画レビュー・感想・評価

DJLastChristmas

DJLastChristmas

泥の河(1981年製作の映画)

4.0

子どもの視点でストーリーを展開するジュブナイルもの。水都大阪としての文化や戦後10年の街並み、今も色濃い遊郭文化(ここでは廓舟)など垣間見れて史料価値が非常に高い。
まだ幼い弟と、大人びた銀子ちゃん。
>>続きを読む

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

3.8

色が良い88年製のホンダアコード乗りの無一文女と犬のロードムービー。犬が消え、見つかったけど車が壊れてエンジン総とっかえ2000ドルの見積を支払えるわけもなく、犬も引き取れず、キセル乗車。お金は必要だ>>続きを読む

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

3.7

原作未読。3.11後のアニメーション。コロナっぽい描写も。ロケーションが素晴らしく、特に井の頭線沿線の風景描写が精緻。地球外生命によるディザスターもの。ドラえもん、サザエさんのブラックパロディ要素あり>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.9

8割が小気味良い会話劇なのに飽きない3時間。音の映画。爆発実験のカタルシス。無音演出と思いきや20秒後くらいに爆音やってきてそれまでの無音は無音でなかったことに気付かされて憎らしい。才能と政治。

ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

3.9

映画がメディアとして優れている点の一つに「行ったことのない土地を知れる」、つまり旅行や観光に近い側面があるけれども、この映画を観てから土地土地の美味しく安全な面だけをかいつまんで短期滞在する「観光」の>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.7

前作のバイオミミクリックな描写や映画的発明はあまり発展しておらず、超大作になったな〜、後半盛り上がるな〜、と途中眠気に襲われた。前作の驚きは越えられず。

長い。茶色と茶色が茶色を舞台に戦うのでどっち
>>続きを読む

Here(2023年製作の映画)

3.9

ベルギー発・植物版『かもめ食堂』みたいな健康的な映画だった。インディペンデント・ドメスティック日本映画的繊細さを大事にする豊かな映像と美しい緑色。ベルギーの植生は日本に似ているのかな。

豊かな森や山
>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.0

長いけどエンタメ映画だけあって飽きずに観られる。ずっと現代版グリム童話を眺めているようなマザコンナイトメアムービー。思えば『ミッド・サマー』で懲りて居たのに話題というだけで何故観てしまったのか。アリ・>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.0

長い長い法廷会話劇。将来こんな家庭は築きたくないと強く思える映画だった。犬がただただ素晴らしい。

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.2

イッヌがかわいい映画に外れなし。おそらくこのペースだと遺作になるだろう、エリセの31年ぶりの新作。
「ドライヤー亡き後は映画には奇跡はおこらん!」みたいに映画技師のチャーミングな友人がぼやいてて、それ
>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.3

冒頭30分くらい寝てしまった。
手編みの手袋つくりたくなりました。日常の身近な人に対するさりげない接し方や対話についてやさしさや踏み込みすぎない節度に満ちていて、しあわせな気分になりました。これで良い
>>続きを読む

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

3.0

評判が良く今度こそ、って思って映画の日だしって軽い気持ちで観てしまってまたこの手の原作アニメ実写に騙されてしまった。9:1でひたすらVFX/CGゴリゴリで戦ってるので半分寝てしまった。完結もせず(そも>>続きを読む

みなに幸あれ(2023年製作の映画)

3.5

古川琴音さんのまぶたがのびるのびる。
物理的な痛描写を意図的に痛く描く、一番苦手なタイプの作品でした。。
『ミッド・サマー』的アニミズムや田舎の奇怪な風習に倣うとみなが幸せになる映画。個人的に薪割りで
>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.3

初カウリスマキ作品、アル中その日ぐらし男となかなか笑わない年増のパート女によるカウリスマキなりのかわいい喜劇。
『デッド・ドント・ダイ』を観終えて出てきた女が「今までで一番笑ったわ」なんて真顔で言って
>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

原題『POOR THINGS』
予告の不思議な音楽が頭に残っていて、観ました。音楽、良かった。
CMみたいなズームを多用する独特なカメラワークが癖になる。チョビヒゲ再婚相手の服といい、どんどんおしゃれ
>>続きを読む

もののけ姫(1997年製作の映画)

5.0

ああ、これはアシタカとヤックルのロードムービーなんだ、と気づいた(ありがとう、俺たちの吉祥寺プラザ!)。

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

3.7

美大生が課題に追われつつ、窓から鳩落としたのに鳩が拾われてきて鳩を飼うことになり鳩に愛情が芽生えて鳩が飛んでくだけの映画。

ケリー・ライカールト2作目。『ファースト・カウ』と共通して映画にすらならな
>>続きを読む

彼方のうた(2023年製作の映画)

4.0

1/5に一度ポレポレ中野にて鑑賞したのですが、寝てしまいました。その理由が年末年始疲れと、劇中の水の音が心地よかったからだと、今日になって分かりました。



杉田作品に共通していることではあります
>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.0

好きです。カウボーイものかと思いきや字面通り、1匹の牝牛を巡るオレゴン州の片田舎で起こる、美しくも静かなブロマンスでありつつ、きちんとアメリカ的な富と欲望を巡る物語になっていて驚いた。逃避行という意味>>続きを読む

ミツバチと私(2023年製作の映画)

3.6

性自認に揺れる8歳の子を巡るクィア映画。
タイトルとスペインという舞台から、どうしてもビクトル・エリセ『ミツバチのささやき』を思い出すけれども、描くテーマは全く異なる。
(昨日観た『正欲』のように、)
>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

1.0

自動車教習所でももうちょっと面白い動画を流していると思う。一回りして不自然さをごった煮にした批評・皮肉映画として世に出したのであればメタメタ評価ができるのかもしれないけれど、堂々と真正面からこの映画を>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

4.0

杉咲花がすごすぎた。
芥川龍之介『藪の中』的な第三者の視点からの市子描写は『怪物』も想起させる。それは時間軸を行き来しながらの市子描写なので、『ちょっと思い出しただけ』の手法にも似る。

城定イハさん
>>続きを読む

ゴーストワールド(2001年製作の映画)

3.7

やっと観られた。洋服かわいい
特に日本映画でさんざん扱われるテーマ、拗らせて周囲に馴染めない生きづらさや自分と向き合う系映画の先駆けなのかな、2001年。表現方法は違えど一番近いと思ったのは『こちらあ
>>続きを読む

GIFT(2023年製作の映画)

5.0

夏の終わりに鹿に出くわしたことを思い出した。

TOKYO FILMeX、有楽町朝日ホールでのジャパンプレミア。映像に合わせ石橋英子さんがライブパフォーマンスをする、2度とない至高の体験。感無量でした
>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.6

シリアスとコミカルが地続きなのは良いんだけどコミカルがコント寄り。これを映画と呼んでしまって良いのだろうか。北野映画にしては、肩透かし。

もちろんそこらの大衆映画と同じレベルで語っていないことはご理
>>続きを読む

しどろもどろ(2022年製作の映画)

3.8

西荻フェイクドキュメンタリー映画祭にて。大学の課題で点ちゃんに密着することになり、カメラを向けられる違和感を吐露する点ちゃん。その違和感、暴力性が知らぬ間に日常へ変わり、点ちゃんの素を写しているかのよ>>続きを読む

あっけない(2021年製作の映画)

3.7

インサートされるススキ、箱根かなあ。
人はあっけなく居なくなる。そんなことを久々に思い出させてくれてありがたかったです。
なんかとっても悲しくなりつつ、周りの人を大事にしようと思えるハートフルな一
>>続きを読む

サヴァイヴァル5+3(2017年製作の映画)

3.8

どこまでが現実でどこからがフェイクなのか、境目が分からなくなるほどのテーマ設定と衝撃的な映像。
外科手術中に腹の中から8ミリフィルムがにゅるにゅる飛び出してきたかと思えば、イームズを思わせる自然描写の
>>続きを読む

あいするひとよ(2022年製作の映画)

3.6

「あと50年彼氏と一緒にいる」という一見純朴な、なんてことない(ように見える)主人公に対してマッチングアプリや動画撮影など、現代的な視線を通して浮かび上げる人間の暴力性。

PAKKKKKKKIS(パッキス)(2016年製作の映画)

3.5

聾者のラッパーによるフェイクドキュメンタリー。「振動探し」素晴らしい。生き方や哲学が自由で元気でる。
どうでもいいけどルイス・ボルヘスが引用されていて、なんで自分、文学に疎いのにボルヘスの名前覚えてい
>>続きを読む

ベジタブル・バスケット(2020年製作の映画)

3.5

フェイクドキュメンタリーはややもすると批評的だったり、メッセージ性が強くなりがちですが、こんなやさしい気持ちになれるフェイクドキュメンタリーがあったんだ、とフェイクドキュメンタリーの射程の深さに恐れ入>>続きを読む

消えた祭(2018年製作の映画)

3.5

ねぶたの消えた世界でねぶたのインタビューを初っ端からワラッセで撮るという矛盾がにくらしい。手持ちカメラとフェイクであることに開き直ったインタビューはどこか岩切一空チック、と思いきや最後のおばちゃん2人>>続きを読む

>|