サルサさんの映画レビュー・感想・評価

サルサ

サルサ

ノーカントリー(2007年製作の映画)

4.1

ようやく見られた……!ディーキンス撮影の荒野とジョシュ・ブローリンの存在感もあり、(あちらの方が後の作品だが)『ボーダーライン』を連想。死を撒き散らすよあなシガーの暴力性とハビエル・バルデムの怪演がす>>続きを読む

異人たち(2023年製作の映画)

4.3

号泣した。素晴らしかった……

大林版と大筋は同じ話でありながら、アンドリュー・ヘイ的には『ウィークエンド』をなぞる作品になってるのがすごい。ただし、大林版にあった怪奇映画的側面が薄くなった代わり、ク
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マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作の映画)

3.8

劇場で見るべきだったかもしれない……確かにすごいんだけどノれない感じがずっと続いてテンション上がりきらずという感じ。いい環境で再挑戦したら印象変わるかもしれないが、という感じ。テーマは良い。

トレインスポッティング(1996年製作の映画)

4.2

どこを取ってもちゃんと名作だ……と思った。全体的に90年代的な空虚な狂騒感とそこに少しだけ垣間見える青春の鈍い輝きが美しく、ちょっと『ブギーナイツ』を連想したりも。
トリップシーンや凝ったショットもい
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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年製作の映画)

4.2

凄まじい。まさしくアメリカ映画的な映画だと感じた。ダニエル・デイ・ルイスとポール・ダノの猛烈な演技合戦に圧倒される。
撮影・編集も抜群にいい。中盤の見せ場の爆発場面の鮮烈さ。
石油をめぐる欲望の交差に
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クレアのカメラ(2017年製作の映画)

4.1

本当にどうということもない話なのだけど、ちゃんとめちゃくちゃいいのがホンサンス映画のすごさ。
映画監督のキャラクターへのいっそ清々しい自己投影ぶりにも好感さえ持てる。ユペール様の役回りも良い。2度のフ
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アメリカン・スリープオーバー(2010年製作の映画)

4.0

イット・フォローズはほとんどこの変奏だったのだな、と思うなど。ティーンの瑞々しさが満ち満ちていてよかった。

(ハル)(1996年製作の映画)

4.1

ずっと見たかった映画!90年代のいかにもネット黎明期的やりとりとそのバックに映し出される東京の風景が魅力的なだった。
マッチングアプリを介したやり取りが行われる映画も増えてきているけれど、それらの先駆
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.1

良かった。いい意味で抑制的で品があった。ギリギリまで溜めに溜めた感情がクライマックスであくまで密やかに溢れ出るところがよかった。
撮影がかなり良い。雨のNYにはソール・ライターの写真を連想。
劇中でキ
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WEEKEND ウィークエンド(2011年製作の映画)

3.9

人生のうちで一瞬だけ重なり合う深い愛の瞬間を描いた、率直に美しい映画だと思ったし、一方でゲイカップルのおかれた当時の状況に対する怒りも強く感じる作品でもあった。カムアウトの問題についての異なる観点を描>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.4

たいへん素晴らしかったと思う。
伝記映画であり、サイエンス映画でありながら法廷劇映画でもある。この題材に対するアプローチが良い。
時系列の混乱は多少あったものの個人的には心地よかったし、ちゃんと最後気
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.3

素晴らしかった。様々な面で超大作に相応しい格を備えた作品になっていて、満足度が高い。
前作の夜襲シーンも圧巻だったが、やはりIMAXフルサイズを活かした画的な満足度は凄まじいものがある。サンドワームの
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すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

4.1

多摩ニュータウンの切り取り方がひたすらによかった。団地とそこに染みついた郊外の街記憶を強く感じる作品。舞台となっている永山周辺には一度だけ行ったことがあったのでなんとなく見覚えのある景色もあったりして>>続きを読む

π〈パイ〉 デジタルリマスター(1998年製作の映画)

4.0

劇場で見られて良かった。隠す気がない『鉄男』インスパイア感が清々しい。とはいえ数学の宗教との接続が独自要素として効いていて十分今作ならではの狂気を味わえたりもした。いい意味で90年代の時代性を強く感じ>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.1

結構好き。ちょっと長すぎる感はあれど、思いの外ストレートにグッとくる作品であってよかった。法廷ミステリーというよりはある種の機能不全の夫婦の関係性とそこへの子供の視点の話にうまくスライドしていくのが良>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.2

率直に美しい映画だと思った。
ショット自体とフィルムの質感、Hispecの劇伴が作る空気感が完璧。
なんと言っても主役二人の恋愛関係ではない心の交流がすばらしい。ふとしたシーンの美しさに涙があふれそう
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.0

まさに悪夢的な映画。解釈は正直しきれていないし尺も長いので辛い部分もあったのだが、何故か嫌いな気持ちにはならないのが流石の手腕というべきか。冒頭から最後まで嫌度がたっぷり。じわじわとゾッとさせられるシ>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.0

前半めちゃくちゃ眠くなったが総合的には満足。後半話が動き出してからはしっかりと面白みも感じられた。本筋と関係ないシーンの良さがむしろ印象に残っていたりもする。タイトル通り顔へのクローズアップのショット>>続きを読む

劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦(2024年製作の映画)

4.2

TVアニメハイキューの凄みをそのままちゃんと劇場に持ってきたぜ!という感じの傑作。
テンポ良いカットワークと異次元のカメラワーク、スピード感溢れるネット越しの攻防を惜しむことなく見せてくれる、間違いな
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.2

かなり良かった。ヨルゴス・ランティモスという監督の強烈な作家性(変態性ともいう)を紛れもなく残しながらきちんとメジャー路線をやり切ってるのがすごい。性描写はハードだが話はわかりやすいので見やすい映画と>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.1

否応なしにテンション上がる最高のライブムービーという言葉に尽きる。劇場で声が出せないのがもどかしいくらいの体験。野外上映とかでも見てみたい感じ。

ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

4.2

すごかった。話はタルコフスキーの背景をきちんと知ってないと理解できないんだろうな〜とも思ったし正直退屈だったのだが、あまりにも美しすぎる完璧なショットの連続に否応なしに目が引きつけられる特異な映画体験>>続きを読む

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

4.3

Hereと連続して鑑賞。こちらも傑作!
終電を寝過ごした一夜のショートトリップという筋書きが既にもう良いうえに、夜の切り取り方がひたすらに美しく魅了された。
一夜の中で出会う様々な人間や犬との交流模様
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Here(2023年製作の映画)

4.3

メチャクチャよかった。今作と同時公開のやつでゴースト・トロピックの2作品ともいずれ劣らぬ素晴らしさで衝撃を受けた。バス・ドゥヴォス追っていかねば……となる出来。
とりわけ今作における心の交歓というべき
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ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.0

難しかったが画の美しさと子供たちの芝居の素晴らしさだけでも見た甲斐があった。
最後までショット力に誘引され続ける映画だった。線路のシーンとか荒野のシーンとか。
序盤ちょっと寝てしまったのもあって隠喩的
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エレファント(2003年製作の映画)

4.2

年明け早々すごい映画を見た。
ほとんどのシーンが学校の中でドキュメンタリックに撮られており箱庭感が強く、作品の主題との結びつきを強く感じる。
長回しのバックショットを多用する技巧的なカメラワークがきっ
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ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

4.2

ままならない日常の切り取り方が本当に素晴らしい。2023年の映画納めが今作で良かったと思った。
登場する複数のキャラクターが収束せずにうっすらと絡むだけのシーンが多いのもいい。
ミシェル・ウィリアムズ
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ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.2

ひたすらスローに展開される西部劇。とにかく映画として豊かでニヤニヤしてしまった。
時間の使い方、ショットの切れ味も抜群。
牛がめちゃくちゃ可愛く愛を持って撮られてるのも良かった。
スローでありながらス
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彼方のうた(2023年製作の映画)

3.6

間違いなく凄い映画ではあるのだが難しすぎた……徹底的に説明を廃した作り自体は全然嫌いではないのだけど、流石に分からなすぎて辛い感じもあった。 一方でそうした中でもグッと印象に残るシーンが複数あるのは演>>続きを読む

傷物語-こよみヴァンプ-(2024年製作の映画)

4.2

尾石達也という稀代の演出家が10年以上の時間を掛けて成し遂げたものの凄みが焼き付けられた2時間。圧倒的にアバンギャルド!
こんなアニメは他にないし見たことないのだが、一方で紛れもなくアニメーションだか
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

映画としての質は決して低くないし美点もあると思う、というのは前提の上で自分はかなり苦手な映画だった。
大きく整理すると①企画自体の瑕疵②作品としての描写の嫌さの2点に別れる。
①に関して言うと、アート
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ほかげ(2023年製作の映画)

4.0

戦後を通して語られる戦争の記憶の凄まじさ。森山未來パートが好みだった。何かが起こる不穏な雰囲気と普通の人間が狂気に陥る戦争の恐怖を強く感じさせられた。
終盤に感じられるひとすじの希望が良かった。

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.2

文句なし。めちゃくちゃ豊かな81分。
ブルーカラーの労働者にフォーカスを当てて
作られた恋愛映画は非常に貴重だなと見ながら考えていた。
ふとしたシーンに感じられるユーモアの数々が絶妙に笑いを誘い、退屈
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ミステリー・トレイン(1989年製作の映画)

4.0

ラストカットが良い。そしてブシェミ最高。ジャームッシュはいい意味で雑に見てても楽しめる感じで良い。

ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

4.0

1夜のオムニバス。各編がそれぞれ全然違う味わいで面白かった。 1編1編が長くないので見やすいのもポイント高い。
続けて見たミステリー・トレインとの構造的な近さも良い。

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