Shunさんの映画レビュー・感想・評価

Shun

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テーラー 人生の仕立て屋(2020年製作の映画)

3.8

この映画は「もし時代遅れのテーラーが自分探しの当てのない旅に出たら?」という立脚点で書かれているのだろうか。


特別盛り上がるわけではないけれども、しっとりとした作りになっていて、そこそこおもしろい
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ザ・ゲーム ~赤裸々な宴~(2018年製作の映画)

3.9

雨降って地固まるというストーリーと、すべてを知る必要はないという裏ストーリーが展開されるワンシチュエーションもの。表のストーリーだけを追ってると、笑える話なんだけど、裏ストーリーは、静かに大どんでん返>>続きを読む

アイ・アム・マザー(2019年製作の映画)

4.0

すべてドロイドの手のひらで踊らされている物語

ドロイドの目的は、すべてを生かす友愛の心を持ち、聡明で倫理的な全人類の母を創ることにある。それを達成するために手の込んだ脚本をドロイドは用意した。

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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

4.5

世界観、映像などが注目されがちだが、重層的なメッセージが込められている。また、世界観の肉付けや伏線など次回作以降を膨らます準備ともなっている。そのため、やや大味のストーリー展開や前作よりもスケールダウ>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

5.0

この映画には、文学的なハイライトと映画的なハイライトがある。


文学的なハイライトは、高槻の「結局のところ僕らがやらなくちゃあならないのは、自分の心と上手に正直に折り合いをつけていくことじゃないでし
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思い出のマーニー(2014年製作の映画)

4.5

家族やコミュニティの輪から外れた子供が、自分を見出し、もう一度他人とのつながりのなかに戻っていく物語。

ゴッドファーザーPART II(1974年製作の映画)

4.2

社会と反社会
ヤクザやマフィアたちにとって、現代の社会は、非常に辛いものとなり、幸せになることが難しい。

彼らの起源は、自警団の一種であり、抑圧された人々が自らを守るためにもう一つの社会を作った。そ
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MOTHER マザー(2020年製作の映画)

1.0

映画にすべきではなかった作品と思うが、まあ仕方ない。

この件に関しては、児童虐待のケースが参考になる。

日本には、家庭の不可侵のためであるため、欧米と比較して最悪な状況になる前に介入することがむず
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シリアにて(2017年製作の映画)

4.0

彼らはそのあと車庫に隠してあったBMWで逃げていく。

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

5.0

義理人情という関係を維持できなくなる時、人はどうなるか?


極道という名を捨て、麻薬斡旋という実を取る。


義理人情という甘えの構造から生まれる、甘えたいけれどもはや甘えられない屈折した心「うらみ
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メメント(2000年製作の映画)

4.5

現代人の限界は何か?
そう問いかけてくる映画だった。


記録は記憶より勝ると言いつつ、そのときの記憶によって記録を作ったり消したりする。そして、そのことについては忘れ、記録が正しいと信じ込む、自分が
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.2

西川美和監督の映画は「嘘」がキーワードだとよく知られている。

問題は、「嘘はどのような時につき、どのような意味があるのか?」というところにある。


一つの答えとして、「役割を超えていくために嘘をつ
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彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)

4.0

アスガーファルハディ監督は嫌な罠を仕掛けていましたね。

「永遠の最悪より最悪の最後の方がマシ」

だから、望まない婚約をして生きるよりも、死んだ方がマシだと。

ここで、思考が止まる人は、男性目線で
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或る終焉(2015年製作の映画)

4.0

終末患者を主に介護する看護師が持つ特有の原題chronic(慢性的な)な何か。

彼は死を望む息子とそれ知って死を望む患者を安楽死させる。それは倫理的に問題のある行為なのかもしれない。慢性的な何かを持
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テルアビブ・オン・ファイア(2018年製作の映画)

4.5

芸術/娯楽映画の垣根を越える

娯楽映画と決めつけて、そのなかに潜む芸術性を見落としてはならない。たとえそれが娯楽映画だったとしても。


カンヌやヴェネツィア、ベルリンなどの映画祭で芸術映画として認
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バンクシー・ダズ・ニューヨーク(2014年製作の映画)

5.0

バンクシーの持つダイナミズム

バンクシーの評価されるべきポイント以下三つある。そして、その組み合わせによって生まれるダイナミズムこそがバンクシーの魅力でもあり、限界でもある。


一つ目は、政治的で
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アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン(2015年製作の映画)

4.0

「プロジェクト•インセンティブ」について話をしよう。

プロジェクト•インセンティブはようするに、補助金制度である。映画を作るうえで、この補助金制度はもっとも重要なものの一つである。良質で使い勝手のい
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ウインド・リバー(2017年製作の映画)

4.5

この映画を「人は聖者にならずに最も憎い人間さえも受け入れることができるのか」という切り口で考えてみる。

これはノンフィクションである原田正治『弟を殺した彼、と僕。』やフィクションである窪美澄『よるの
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午後8時の訪問者(2016年製作の映画)

5.0

「下級労働者」の群像劇



この映画のテーマはやはり「下級労働者」だ。だが、この作品がダルデンヌ兄弟の作品のうちで異色なものになっている。理由は二点だ。まず、一人ではなく複数の「下級労働者」に焦点を
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ある子供(2005年製作の映画)

4.5

反復というすばらしい演出


反復と増殖は芸術の基本であり、反復はダルデンヌ兄弟もよく使う。この映画でも反復は大いに役立っている。

『ある子供』とは赤子と少年の両方だ。ある子供である赤子にした仕打ち
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グリーンブック(2018年製作の映画)

4.7

現実そのものを映画化することは可能か。


たしかに、差別の表層しか描かれていない。しかし、現実そのものを描くことは無理だ。なぜなら、現実そのものは現実にしかない。したがって、すべてを映像に写す/移す
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.8

匂いという差別的表現


たしかに、「匂い」は文字通りの意味として捉えることができる。作中でさえ、言及されていた。つまり、どんなに着飾っても経歴を華やかにしても染み付いた「匂い」は取れない、と。しかし
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誰もがそれを知っている(2018年製作の映画)

4.0

真実は告発されたか?

ラストシーンで夫婦間で真実は明るみになったが、それは公の場で告発され、法の正義によって裁かれたか。

私は告発されたと考えている。なぜなら、タイトルは『Everybody kn
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別離(2011年製作の映画)

4.5

宗教や格差、罪と罰という広いテーマから、夫婦や介護、キャリア、自尊心などの個人的テーマをうまく調合し、どうしようもない泥沼を描いています。非常にリアリティのある映画です。

いったいこの映画でどんな問
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幸福なラザロ(2018年製作の映画)

4.0

この映画には、たしかに「宗教を下地に搾取と差別が蔓延する現代を風刺する寓話」という視点がある。しかし、もっとも重要な視点はコミュニタリアニズムという視点だ。理由は以下。

① 本作で語っているのは、〈
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息子のまなざし(2002年製作の映画)

5.0

この映画のテーマは「人は聖者にならずに最も憎い人間さえも受け入れることができるのか」である。重要な点は、「赦し」てはいないという点である。

これは、原田正治『弟を殺した彼、と僕。』や窪美澄『よるのふ
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