サイトーさんの映画レビュー・感想・評価

サイトー

サイトー

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.5

慧眼にして盲目な男の物語

思っていたのと違った。オッペンハイマーの伝記なのにストローズ視点のシーンが多すぎる。オッペンハイマーだけでなくストローズに関しても予習しておかないと内容が理解しにくい。また
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.5

Filmed for IMAX(迫真)

VFXの1つの到達点を見た。これほどシームレスに実写とCGがつながった作品は見たことがない。

私は、デューンの魅力は詳細な世界観設定だと考えている。生態学S
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

3.9

下劣だが高尚な映画 

3つのジャンルが1つの映画の中に入ったような作品だった。前半はSF、中盤はダークなコメディ、後半はメッセージ性の強い人間ドラマになっている。

ベラの成長は興味深かった。途中ま
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

邦画史に残る傑作

VFXとカメラワークが素晴らしい。邦画にありがちな安っぽさがない。テンポ感と脚本の内容もいい。シンプルな話でありながら、メッセージ性もある。

敷島が無事生還したのは良かったが…正
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.6

息を呑むビジュアル
鳥肌が立つサウンドトラック
言葉を失う脚本のクソさ
それが、ザ・クリエイター

興味深い映画である。素晴らしい要素とひどすぎる要素が同居している。
まず世界観設定は素晴らしい。AI
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.8

史実に忠実な映画

淡白な映画だった。カタルシスはないしエモーショナルな展開もない。スコセッシ映画らしく抑制が効いた作風になっている。

もしアーネストが賢く、最後まで叔父に忠実だったら、ゴッドファー
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ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.0

アクション映画史に残る大傑作

エンディングはいい意味で期待を裏切った。シリーズの完璧な幕引きだった。振り返れば、ジョン・ウィックシリーズは1で完結した話を引き伸ばし、ストーリーは新作が出るごとに陳腐
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ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

4.0

血の匂いがする映画
 
素晴らしい。ここまで激情を煽る映画はなかなかない。現代の北欧文化はお洒落で先進的なイメージがある。しかし、原点にあるのは、こういった血なまぐさい文化なのだろう。泥にまみれ、獣の
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ユナイテッド93(2006年製作の映画)

3.9

緊張感あふれる映画

テンポが良く、中だるみがない。開始直後から、最後の運命の瞬間まで、猛スピードで話が展開していく。93便の内部の話がメインかと思ったが、管制センターや防空司令センターでのやりとりが
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アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)

3.8

理不尽な現実を突きつけられる映画

鑑賞して驚いたのは映像、音響のクオリティだ。ビッグバジェットにも劣らない。フィルムで撮影されたのかと思ったが、調べてみるとソニーのVenice(カメラの名前)で撮影
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未知との遭遇 ファイナル・カット版(2002年製作の映画)

3.9

運命に導かれた男の物語

予想より地味な作品だった。今まで観たスピルバーグ作品の中で、一番ヴィルヌーヴ作品に近い雰囲気を感じた。BGMが控えめなのに見入ってしまうのは、ビジュアルの完成度が高いからだろ
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.8

繊細な映画

「11歳のとき将来は何をしてると思ってた?」
娘からそう質問されたカラムは言葉に詰まってしまう。なぜ彼が質問に答えられなかったか、なんとなくわかる気がする。あくまで推察だが、彼はずっと希
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.9

新世代のミッション・インポッシブル

テンポ感が素晴らしかった。163分があっという間だった。

内容が思いのほか複雑で驚いた。人間の敵と違い「それ」には姿形が無いし、「それ」の先を読む能力は人間を凌
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ゴッドファーザー(最終章):マイケル・コルレオーネの最期(2020年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

続編としては違和感があるが、映画としては良作
 
冒頭シーンでショックを受けた。マイケルの性格が変わっていたからだ。今作のマイケルは以前ほど言葉を慎重に選ばないし、感情表現も豊かになっている。トムがい
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夕陽のガンマン(1965年製作の映画)

3.8

名作西部劇

他のレオーネ映画よりテンポが良く、見やすかった。どのシーンを切り取っても絵画のように美しかった。

欠点は格闘シーンだ。動きが妙に固いのが気になった。

バラカ(1993年製作の映画)

4.2

考えず、感じる映画

見入ってしまった。ストーリーがないのに。セリフもないのに。

敢えて言葉で説明しないことで、観客に直感的に解釈してもらうという狙いなのか。

全編通して素晴らしいが、特に印象的な
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13人の命(2022年製作の映画)

3.9

人類の偉業を映像化した傑作

派手な演出は控え、ドキュメンタリーのような仕上がりになっているのが素晴らしい。

国境を超えた連帯が、不可能を可能にする物語に感動した。

セント・オブ・ウーマン/夢の香り(1992年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

「足が絡まっても踊り続けて」

人生の教訓になる名作…と言いたいところだが、時代錯誤だと感じてしまった。中佐の女好きが過ぎるのだ。どこにいっても話すことといえば女、女、女…。それがこの映画の爽やかさを
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バビロン(2021年製作の映画)

3.8

惜しい映画

この映画は傑作になりそこねた。映像、音響、出演者の演技力は素晴らしい。でも傑作ではない。これは脚本の問題だ。色んな要素を詰め込みすぎている。

本作はジャック、ネリー、マニーのストーリー
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モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

4.3

完璧なドキュメンタリー

マエストロの才能に圧倒され、目が離せなかった。

モリコーネの手掛けた曲は少ししか知らないと思っていた。しかし、作中で自分の知っている曲が何曲も出てきた。例えば、「アバウト・
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神々の山嶺(2021年製作の映画)

3.9

クオリティの高いフランス産アニメ

かなり完成度が高かった。日本の風景の描写が正確だった。洋画にありがちな、変な日本語の表記がほとんどなかった。

アニメでありながら躍動感があったし、演出もうまいと感
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アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)

4.0

"I see you"

短い、しかし含蓄のある言葉が何度も繰り返され、観客の潜在意識の中に刷り込まれていく。数日も経てば、観客は映画の内容の多くを忘れてしまう。しかし、繰り返されたフレーズと、美しい
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アバター(2009年製作の映画)

3.8

ビジュアルにこだわり抜いた映画

開始早々から驚かされた。これが2009年の映画とは思えなかった。ところどころ古臭さを感じる部分はあったが、全体的には素晴らしいビジュアルだった。

ストーリーに関して
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ニューオーダー(2020年製作の映画)

3.9

「身代金が支払われたから、帰ってもいいぞ」

短いが衝撃的な映画

映像が少し独特だと感じた。輝度が高いというのだろうか。普通の映画より鮮明に見える。

本編の内容を見て、ある歴史上の出来事を思い出し
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RRR(2022年製作の映画)

4.2

圧倒的な熱量がこもった映画

あらゆるエンタメの要素が詰め込まれた濃い映画だった。

この映画にはインド人の夢が詰まっているのではないだろうか。これはインドで愛される神話(マハーバーラタとラーマーヤナ
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ウエスタン(1968年製作の映画)

3.8

ギャングたちの終焉を描いた物語

とにかく「間」が長い映画だった。普通に撮れば2時間以内に収まる内容を3時間近くかけて描いている。しかしこのスローなテンポが重厚な雰囲気を生んでいると感じた。

個人的
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ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.7

「なんちゃって日本」の美学を極めた映画

娯楽映画としては十分な内容だった。
日本のことを詳細に研究した上で、あえて現実の日本とは違う世界観を作り上げているように感じた。新幹線の車内というワンシチュエ
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わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.7

想像していたよりもずっと変な映画だった

映像表現に関しては目を見張る部分があるものの、何故か好きになれない作品だった。文化の違いのせいだろうか。

レイジング・ブル(1980年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

器の小さい男の物語

編集のセンス、テンポ感が素晴らしい。白黒映画だが、編集のおかげでスタイリッシュで観易い作品になっている。

ジェイク・ラモッタの性格は、歴史上の人物で例えるならスターリンに近いも
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.8

多幸感あふれる映画

ストーリーが興味深かった。一貫性のある物語というよりは、青春の断片をそのまま映像化したような内容だと感じた。オープニングのナンパも唐突だったがエンディングもまた唐突で、初めから終
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エルヴィス(2022年製作の映画)

3.8

終わりよければすべて良し

評価に困る映画だった。前半は非常にテンポが早く、くどい演出の連発だったので観ていて疲れた。特に大佐が初めて舞台裏で待機するエルヴィスを見るシーンは疲れた。あまりにも回想シー
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

3.7

異彩を放つ映画

最後は感動してしまった。なぜ感動したのか、言葉で説明するのが難しい。人間の本能に訴える「何か」があったとしか言えない。

この映画は現代社会が失ってしまった「身体性」をうまく表現して
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

3.8

クオリティの高い娯楽映画

観終えたあと最高に爽やかな余韻が残る映画だった。今作は前作よりアクションシーンが多めな印象を受けた。終盤はミッション・インポッシブル並に怒涛の展開の連続だった。

前作から
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トップガン(1986年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

「自分で判断するのがパイロットだ。できるはずだ。飛んだら命を懸ける。それがパイロットだ。君の道を決めるのは君だ。」

テンポがいい映画だった。登場人物は少ないし、話も複雑ではない。そして当時としては最
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

3.9

エモーショナルな青春の物語

歌も、手話も、言葉も全て心を伝えるための手段なのだと感じた。

家族がルビーとマイルズが歌っているのを聞いているときの静寂が素晴らしかった。

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