トノモトショウさんの映画レビュー・感想・評価

トノモトショウ

トノモトショウ

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

3.0

JKあがりの殺し屋二人のキャラクターが可愛いし、特に伊澤彩織の体術が良い。映画的なケレン味は少ないが、嘘っぽさのないステゴロ感は、新しいアクションの形を示した。小賢しいオフビートな雰囲気についていけな>>続きを読む

6才のボクが、大人になるまで。(2014年製作の映画)

3.0

12年の歳月をかけて丁寧に物語を紡いでいるおかげで、少年が青年に成長するまでをリアリティをもって描けている。環境や人間関係は色々と変化するが、子供の成長は思っている以上に早い。イーサン・ホークの破天荒>>続きを読む

みなに幸あれ(2023年製作の映画)

1.0

ホラーに仕立て上げるための無駄な設定、登場人物たちの奇怪な行動があって然るべきなのかもしれないが、それが物語にうまく作用していない。ミイラ取りがミイラになるラストのためとはいえ、「孫」を主体とするより>>続きを読む

潜水服は蝶の夢を見る(2007年製作の映画)

3.0

左目しか機能しない視界を、この映画でしかできない唯一無二のカメラワークで丁寧に表現している。洒落たイメージと、どうしようもできない現実とのギャップ感は虚しいが、彼が愛された存在であることは確かであり、>>続きを読む

SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)

3.0

胸糞悪いドキュメンタリーではあるのだが、なぜ中年男性ほど少女を対象に性的搾取しようとするのか、という点で興味深い。必ずしも彼らがペドフィリアだというわけではないところにも闇深いものがあり、それは処女崇>>続きを読む

青い春(2001年製作の映画)

3.0

無軌道なヤンキーの日常とTMGEの相性の良さがあり、松本大洋のシニカルな作劇がちゃんと踏襲されている。松田龍平が醸し出す雰囲気と、新井浩文のベタ過ぎるほどのキャラクターとの対比が、妙な青春感を生み出す>>続きを読む

恐怖の報酬(1953年製作の映画)

3.0

爆発物を載せたトラックを運転する、という単純なドラマではあるのだが、だからこそ常に緊張感がある。金のために命を賭けてしまう男達の末路には虚しさしかなく、だからこそラストはあの形でなければならなかった。

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

2.0

父と娘の穏やかな休暇の様子をひたすらに活写するが、なんとなく距離感が不安定になったりして、これが二人にとって最後の旅行であることがぼんやりと示唆される。とはいえ、それを読み取れとばかりにはっきりと描写>>続きを読む

ゴジラ FINAL WARS(2004年製作の映画)

1.0

中盤あたりでゴジラ対歴代怪獣達のバトルが挟まれるものの、X星人とミュータントによる争いばかりが映し出され、一体何を観させられているのか分からなくなってくる。アクションの質は悪くないが、これをゴジラ映画>>続きを読む

ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS(2003年製作の映画)

2.0

モスラとメカゴジラの共闘は熱いし、昭和ゴジラシリーズ常連の小泉博の起用によって、物語としての繋がりが見えて、往年のファンへのサービスもある。ただやはりメカゴジラの設定が馬鹿馬鹿しいせいで、どうにもスト>>続きを読む

ゴジラ×メカゴジラ(2002年製作の映画)

1.0

メカゴジラが人気なのはわかるが、なぜ毎度こうもトンデモSF感しか生まず、子供騙しな物語になってしまうのか。強力な武器があるはずなのに、それをなかなか使わずに相撲のようなバトルを繰り広げるので退屈だ。他>>続きを読む

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(2001年製作の映画)

2.0

オカルト調の演出で三怪獣の登場に説得力を持たせたのは良いが、とにかく新山千春の演技がウザったく、物語に集中できない。怪獣同士のバトルは迫力があり、白目ゴジラがもたらす恐怖と、モスラの犠牲によって覚醒す>>続きを読む

ゴジラ×メガギラス G消滅作戦(2000年製作の映画)

3.0

大量のトンボ怪獣や、水に沈む渋谷など、挑戦的とも言える特撮へのこだわりを感じるし、メガギラスのグロテスクな造形も面白い。SFのアイデア、女隊長を中心とした物語にも重厚さがあり、なにより初めて人類がゴジ>>続きを読む

ゴジラ2000 ミレニアム(1999年製作の映画)

2.0

特撮とCGのバランスの良い融合はリアルな描写を実現しつつ、なおかつ古き良きスーツアクションも楽しめるとはいえ、UFOやそこから生み出される宇宙怪獣がパッとしないせいであまり面白味がない。ゴジラを畏怖す>>続きを読む

風の丘を越えて/西便制(ソピョンジェ)(1993年製作の映画)

3.0

芸の道の厳しさ、あるいは楽しさ、あるいは孤独、あるいは絆。そういったものがすべて表現されているところに、パンソリが印象的に使われるので、同じような唄でも場面によってまったく違う聴こえ方がする。韓国でブ>>続きを読む

アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)

2.0

どこかCGに手抜き感があり、物語もずっとフワフワとしていて掴み所がない。敵対していた兄弟が共闘する胸熱さはあるが、それもギャグ展開が邪魔をしている気がするし、決定的なものがないのが惜しい点。

アクアマン(2018年製作の映画)

3.0

タフネスさを活かした格闘ながら、縦横無尽に水中を泳ぎ回るしなやかなバトルは楽しめるが、海底王国の未来都市感やパワードスーツなどの世界観が絶妙にズレている気がして、なかなか作品内に入り込めない。マーメイ>>続きを読む

震える舌(1980年製作の映画)

4.0

親ならば大なり小なり子供の病気や怪我に相対し、精神を擦り減らす経験をするものだが、子役の怪演とリアルな闘病描写によって、自らのその経験が呼び覚まされて、心に重くのしかかってくる。そういう意味で、観るべ>>続きを読む

三つ数えろ(1946年製作の映画)

3.0

物語が入り込み過ぎていて、真相が暴かれるラストもミステリにおける種明かしのセオリーからは掛け離れており、結局どういうことなのか理解が追いつかなかった。だがボガートのハードボイルド感、洒落た会話、フィル>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

3.0

聖女か悪女か。後者であろうことは明白ではあるのだが、それでもどこか彼女に奇跡が起きているような錯覚をさせる。それは宗教を信じるか信じないかという根源的なテーマゆえの作劇が充分に成功しているからだろう。>>続きを読む

ちはやふる ー結びー(2018年製作の映画)

3.0

もはや千早ではなく太一の物語になっているが、団体競技だからこその熱い展開によって、ようやく作品らしさが出てきた。賀来賢人が全体の雰囲気をすべてさらっているものの、各キャラクターに人間味が加わって、感動>>続きを読む

ちはやふる 下の句(2016年製作の映画)

2.0

詰め込み過ぎた一作目と比べて、今度はダラダラと冗長な描写が多く、物語がどこに向かっているのかという核の部分が曖昧なままストーリーが進む。競技かるたの団体戦のシーンは熱い展開を見せるものの、結局は対クイ>>続きを読む

ちはやふる 上の句(2016年製作の映画)

2.0

千早というキャラクターに広瀬すずが合致しておらず、他のメインキャラも上白石以外は原作から掛け離れているように思われる。地区大会をクライマックスに持ってくるために色んなエピソードを省略した結果、物語とし>>続きを読む

ブロウ(2001年製作の映画)

2.0

一般人からすれば波瀾万丈な人生なのかもしれないが、映画としての起伏に乏しく、最愛の娘にすら見放されるくらい感情移入の隙がない。ジョニーの演技の質は言うまでもなく、その確かな存在感があるおかげでなんとか>>続きを読む

ローン・レンジャー(2013年製作の映画)

3.0

コメディックなキャラクターを演じるジョニーの存在感と、西部開拓や大陸横断鉄道といった舞台設定を充分に活かした物語は楽しい。前半では頼りないローン・レンジャーに魅力を感じられないのが難点だが、後半ではち>>続きを読む

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)

3.0

「ペンは剣より強し」と言うが、写真はジャーナリズムにおいて爆弾並の威力を持つ。だからこそ、もう少しドキュメントとしてのアプローチが欲しかった。もしくは物語として地元民との交流や、彼の心の変遷を濃密に描>>続きを読む

悪徳の栄え(1988年製作の映画)

3.0

実相寺的と言える撮影・照明の不安定さの中で、清水紘治の安定した台詞回しが映える。サドの原作を劇中劇として、それが現実に侵食していく構造美と、それに反して悪徳趣味な描写のオンパレードで、我々の歪んだ欲望>>続きを読む

旅立ちの時(1988年製作の映画)

3.0

政治的テーマがまったく機能していないが、家族を取るか、夢・自由・青春を取るか、という究極の二択を迫る上で、必要な設定だったのかもしれない。リヴァーの精緻で瑞々しい演技が良過ぎて、細かい粗などどうでもよ>>続きを読む

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(2013年製作の映画)

3.0

ジャームッシュにかかると、ドラキュラ映画もホラーではなくなり、オフビート感のある演出は彼らが長く生きることの虚しさを映し出す。だからこそラストは期待外れだったが、全体的な音楽センスはやはり抜群で、物語>>続きを読む

プロジェクトX トラクション(2023年製作の映画)

3.0

各々どういう動機で戦闘をしているのか、いまいち分かりにくいせいで中盤あたりまで退屈な時間が続くが、敵だった相手とバディを組むという設定は新鮮。全盛期のようなスピーディーなアクションは難しくとも、立ち回>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.0

タイトル通りテンポよく「首」がポンポン飛んでいくが、ラストでそれすら茶化す、たけし流のコメディらしさがある。とはいえギャグに振り切るわけでもなく、歴史スペクタクルとまではいかない中途半端な時代劇になっ>>続きを読む

ニル・バイ・マウス(1997年製作の映画)

2.0

描きたいテーマは分からなくもないが、あまりに私的なアプローチであることと、焦点が絞り切れていないことで、シーンごとの衝撃はあるのにぼんやりとした物語になっている。そして全体的にどこかで見たことがあるよ>>続きを読む

アルファヴィル(1965年製作の映画)

4.0

感情・思想が統制された未来都市という設定は、ゴダールの感情・思想を浮き彫りにするための最適なアンチテーゼとなっている。そこに来訪する主人公は我々と同じ視点で謎めいた世界を体験する、という意味で非常に親>>続きを読む

劇場版 機動戦士ガンダム00(ダブルオー)-A wakening of the Trailblazer-(2010年製作の映画)

2.0

TVシリーズで最大の敵を倒してしまったため、新たな敵として異星人を登場させるという斜め上のアイデアによって、もはやガンダムではないSFホラーになっている。メイン四人の活躍もごちゃごちゃとした戦闘シーン>>続きを読む

機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(2024年製作の映画)

3.0

前半はただただ男女の恋愛がこじれるだけで、ある意味SEEDらしいとは思いつつも、観たかったものはこれではない、というような気にさせられる。だがそれらも策略として暴かれ、アスラン登場と共にキラ、シンらオ>>続きを読む

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(2021年製作の映画)

3.0

令和のガンダムとあってMSによる戦闘シーンは目を見張るものがあるが、キャラクター描写に囚われ過ぎているせいで全体的に物足りなさを感じる。導入としてのバランスが悪いわけではないが、もう少し物語としての区>>続きを読む