toppanさんの映画レビュー・感想・評価

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湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)

3.9

どこか憎めないけど圧倒的に頼りないダメ夫。
いじめに耐える娘。
複雑な事情を抱える末娘。
登場する人物は、皆どこか心に弱さを抱えていて、
それが、お母ちゃんの清々しいまでのたくましさを一層際立たせる。
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グレート・ビューティー/追憶のローマ(2013年製作の映画)

3.6

何もかもが見せかけで「そこは人生の彼岸」という
セリーヌの『世の果ての旅』の引用から始まるこの作品。
華麗なるパーティー、ローマの美しき芸術品・音楽・建築・調度、
折り重なる波のように押し寄せる「美」
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ファーゴ(1996年製作の映画)

3.5

見終わったあとに味わうこの感覚。。。
子どもの頃に何度か味わった
イタズラがやばい感じに振り切れてしまうあの感じに似てる。
例えば、ふざけて友人を目掛けて転がした雪玉が
斜面を転がるうちに巨大な岩のよ
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モーターサイクル・ダイアリーズ(2004年製作の映画)

3.3

若き日のチェ・ゲバラの南米大陸縦断旅行記。

作品の中心に置かれている旅は
一青年としてのゲバラが、後に革命家として変容していく
人生の旅路のプロローグだったのかもしれないが、
作品の冒頭とラストで繰
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千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)

4.0

学生のときに初めて見た時は、
愛と成長をテーマにした世界観のあるファンタジーとして
響いたし、改めて見ると、
労働にまつわる自我と欲望のコントロールに対する
警鐘として響いた。

名前を奪われるのは、
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シャイン(1996年製作の映画)

4.5

統合失調感情障害を患う天才ピアニストの
デイヴィッド・ヘルフゴッドとその父にまつわる人生の物語。

父に従順に支配されることで才能を伸ばすも
その父に反対され、アメリカに渡る機会を逸する幼少期ー。
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繕い裁つ人(2015年製作の映画)

3.7

ゆっくりと丁寧に紡がれる映画の雰囲気そのものが、
「ファスト」ファッションを始めとした、
世の中のスピードとそれにまつわる軽薄さを浮き彫りにするようだった。

時間をかけて結晶した大切な物事を守り抜く
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ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013年製作の映画)

3.2

タフなカネの亡者の溢れるバイタリティを、
コミカルに、エネルギッシュにこれでもかというほどに浴び続け、
後味よく「いろんな意味ですげぇ」とポジティブになっちゃう映画。

3時間という大作なので1.5倍
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はじまりのうた(2013年製作の映画)

3.2

音楽を通して主人公ふたりの人生が交錯し、
音楽によって失意と喪失の彼方からそれぞれの人生を取り戻す物語。

柔らかくサラサラとして女性の感性によく刺さりそうですね。
男の私には少しライト過ぎたかも。
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アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)

4.2

「さえない中年のおっさん」が板についた主人公レスターが、
あろうことか自分の娘の友人に欲情することをきっかけに
様々な抑圧を解き放ち、自分の人生を取り戻していく。
そのレスターの変化が最初の歯車となっ
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ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)

3.8

主人公アンディは、無実の罪で収監された刑務所の中で
その朴訥で寡欲な性格と元エリートバンカーとしての実務能力ゆえに
自然と周りの人間に小さな幸福をもたらす交流を重ねていく。
次々に巻き起こる良いことも
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キングスマン(2015年製作の映画)

3.5

同じスパイ映画でも『007』や『M.I.』シリーズとはまったく違う。
なぜならエンターテイメントに振り切った
今までにないぶっ飛んだ地平を切り拓いたスパイ映画だから(笑)

「スーツは男の戦闘服」とい
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ダラス・バイヤーズクラブ(2013年製作の映画)

3.6

破天荒で、気まぐれで、チンピラじみたカウボーイの主人公のロイ。
快楽に溺れる生活の中で患ったHIVを克服すべく
自ら納得する薬を調べつくし、脱法ルートで入手したかと思うと、
終いには薬の怪しげな売買を
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人生、ここにあり!(2008年製作の映画)

3.9

舞台は、精神病棟の元患者が境遇を同じくする人たちで組織する共同組合。
薬漬けにされ、無気力に単純作業にいそしむ組合員が、
新たに組合に赴任してきたネッロとの出会いにより、
自分たちの個性を活かした労働
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ライフ・イズ・ビューティフル(1997年製作の映画)

4.6

暗い悲劇の歴史を明るいキャラクターに乗せて描くことで、
戦争の悲惨さをコントラスト豊かに際立たせるストーリーが巧妙。

どうしようもなく重いテーマをこんなに
軽やかに、でもしっかりと描ける映画は
もう
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君の名は。(2016年製作の映画)

3.5

映像美とキャラクターが織りなす
みずみずしさが清涼感たっぷりで
すがすがしく一気飲みできる作品。

新海誠監督の真骨頂である絵の透明感と、
詩的なモノローグが存分に散りばめられる演出が目新しい。

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かもめ食堂(2005年製作の映画)

2.8

ライフスタイルをはじめとして、
世界観・空気感をただただ楽しむ映画(?)
と言ってしまっていいのでしょうか。

登場人物のそれぞれの人生がかもめ食堂を交点として交わることで、
それぞれの大切な何かに気
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あん(2015年製作の映画)

3.9

互いに心に小さな傷をもつ3人の
淡々とした日常が「どらやき」を巡り
交差し、静かに動きだすお話。

明るくチャーミングなキュラクターでありながら、
どこかその目に暗さを纏う徳江さん(樹木希林の表現力の
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チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)

4.0

ダウン症の少年マルコの温かい笑顔が印象的。
ルディの感情豊かで自らの信念にまっすぐなところが素敵すぎる。
それゆえに一層切ない。

ダウン症の方に対するアンケートによると
ダウン症の方々は健常者よりも
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パーフェクト ワールド(1993年製作の映画)

4.1

遠い思春期の頃の出来事ー。
姉が借りてきたこのビデオを迂闊にも一緒に見たら、
頬杖をついた手に涙が溜まるほどに泣けて、
自分の背後にいた姉にその醜態を晒すことができず
不自然に背中で会話をせざるを得な
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チェンジリング(2008年製作の映画)

3.5

『アメリカン・ギャングスター』のように警察腐敗をテーマにした
ノンフィクションに目新しさは感じなかったけど、
時代と、渦中の人物が女性であったことを考えると
称えられるべき強いひとだよね、やっぱり。
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おみおくりの作法(2013年製作の映画)

3.4

さっぱりで淡々とした塩味あらすじにまどろんでいたら、
パンチの効いたラストにすっかりやられました。

不器用で愚直な男がコツコツを積み上げた先に、等身大に報われる話って
年を重ねるごとに効いてくるよな
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GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)

4.3

シンギュラリティやらトランスヒューマニズムやらが
現実的な可能性を帯びてきた今、見返されるべきと思ってたら、
まさかのハリウッドでの実写化。

人間の定義とか、未来にあるべき哲学とか
脳内トリップの糸
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ブラック・スワン(2010年製作の映画)

4.0

ナタリーポートマンの狂気的なまでの演技と
現実と幻覚の混濁するストーリー展開に完全に当てられました。

純文学ばりの天才の苦悩や執念の先の境地と、
『ファイトクラブ』『ビューティフル・マインド』のよう
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この世界の片隅に(2016年製作の映画)

3.6

「戦争」という暗く悲劇的に描かれがちなテーマを
みずみずしい日常に、ファンタジーをスパイス的に振りかけて
柔らかく紡いでいる感じが今っぽいし、新しい。

『ライフ・イズ・ビューティフル』もすんごい素敵
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セッション(2014年製作の映画)

4.2

常人がなかなか到達できない高みを
巧みな映像の中に垣間見るような気分になれる。

ヘタレて常識の範囲に好んで留まり続ける凡人の自分としては、
常識をジャンプできる天才の努力や才能にただただ憧れと尊敬。
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怒り(2016年製作の映画)

3.9

俳優陣の演技がとにかく圧巻!
おかげでクライマックスには見てる
こっちの感情がかき回されまくり。

あの昂ぶる感情は、
言語化すれば確かに『怒り』なんだろうけど、
人を信じることの難しさと絡まりあった
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