つっちぃさんの映画レビュー・感想・評価

つっちぃ

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システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたい(2019年製作の映画)

4.1

《システム・クラッシャー》
幼い頃のトラウマからの人間不信とヒステリー。ベニーが悪い、母親が悪いという俯瞰した感想は憚られる。善悪とは関係なくベニーは生き続ける事、心折れながらも寄り添うミヒャに頼る事
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異人たち(2023年製作の映画)

4.0

《異人たち》
うなされ起き上がったアダムはざらつく壁を執拗に撫で回す。今ここに居る自分の存在を確かめるかのように。失った過去、悔恨の過去を取り戻すかのように異界を彷徨うアダムの魂。救いのハリーは確かに
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霧の淵(2023年製作の映画)

4.5

《霧の淵》
大自然の中で生かされている"今"は"今だけ"のものではない。"目に見えるものがすべて"だった頃から"見えないもの"に気づき始めるイヒカ。極端に削ぎ落とされた言葉の中で画面に映っていないもの
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リトル・エッラ(2022年製作の映画)

3.6

《リトル・エッラ》
大好きなものは"独り占め"したいエッラちゃん。LoveとLikeが曖昧なお年頃、大親友のトミーがスティーブに取られちゃう!ゲイ・移民問題を絡めた少女の成長譚は可愛く悲しく楽しいスト
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毒娘(2024年製作の映画)

4.0

《毒娘》
スプラッタホラーと見せかけて家父長制根強い(夫/父)の"毒"に少女達が"毒"で復讐する裏に(娘/母)の女性の(自立/連帯)が流れる人間ドラマ。ちーちゃんと2人で萌花の部屋のシーンは泣いちゃっ
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ミッシング(2024年製作の映画)

3.6

《ミッシング》
愛する娘の突然の失踪。理不尽な喪失に"折り合い"を付けて行く夫婦の痛ましさ。無神経な報道、匿名のSNS。周囲を疑いつつも藁にもすがる想いは"空白"の続編という監督の意図は強烈。時折入る
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.2

《オッペンハイマー》
ごく普通の人間がごく普通の国家に翻弄された事実。これまでも続いたこれがこれからも続くであろうという懸念を破壊する力を持っている。公開懸念だったのはなぜよ。日米だけの問題では無い、
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ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)

3.7

《ゴッドランド》
デンマーク統治下のアイスランドに布教に出る若き牧師。言葉の壁と厳しい自然の仕打ちを受け打ちのめされ彼を迎い入れた無垢な温かさと愚鈍さ。

"ちっぽけな人間"を現すには十分過ぎる壮大な
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

4.5

《デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション前章》
得体のしれないものと対峙して精一杯の"正義"で立ち向かったあの頃。"絶対"と"異質"の出会いはほんの手の届く"ここ"にある。。"自分"の弱さと強
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ビニールハウス(2022年製作の映画)

3.5

《ビニールハウス》
愛する息子と暮らしたいただそれだけ。不運の連鎖で追い詰められるサスペンス。プロットありきの展開で貧困や介護はスパイス的な印象かな。よくここまでアイデア出して繋げたなというストーリー
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VOID(2023年製作の映画)

3.8

《VOID》
4つの"不条理"のオムニバス"NN4444"
個人的には"VOID"が一番。いわゆる"キモ映像"は無く"無関心""虚無"の怖さを淡々と描くカット、光、色、全てが怖い。個々の演者達のキャス
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NN4444(2024年製作の映画)

3.6

《NN4444》
4つの"不条理"のオムニバス。
無関係の外野から観れば"不条理"でも当事者からしたら"生々しい現実そのもの"なのだろうと思わせるくらい内面的なリアルさが感じられた。強権的で暴力的な優
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きまぐれ(2023年製作の映画)

4.3

《きまぐれ》
"家族"という、とある組合のお話。。心地いいけど居心地悪い、しっくりくるしモヤモヤするよ。いつまでも続きはしないのは気づいてるけど終わるのは"まだもうちょっと先"だと信じてる。"家族"は
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12日の殺人(2022年製作の映画)

3.7

《12日の殺人》
女子学生焼身殺人を追うヨアン。多くの容疑者が現れるが事件は迷宮入りに。いわゆる謎解きを期待すると肩透かしを食らうが、ヒューマンドラマとしては重厚。容疑者達に"彼女とヤッたのか"を確認
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.5

《落下の解剖学》
"事実なんてどうでもいい、大事なのは周りにどう映るかなんだ"、こと"裁判"だと悪く聞こえるけど日常生活では"ごく普通"のことなのかもしれない。誰もが全部"本当のこと"を明かしているわ
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DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

4.3

《DOGMAN ドッグマン》
幼い頃の家族からのDV、障害、貧困、叶わない恋慕。いつも愛を与えてくれたのは"犬達"だった。ダグラスとエヴリンの知的で敬意溢れる会話とは裏腹のおぞましい世界が広がる。社会
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すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)

4.3

《すべての夜を思い出す》
他愛もないほんのちょっとした出来事。覚えていることすらあやふやな記憶達。写真やビデオに残る確かにあった"あの時"。同じものを見てもみんな捉え方は違うし同じ自分だって"あの頃の
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マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

3.5

《マダム・ウェブ》
薄っぺらいヴィランとスパイダーガールズ誕生秘話の物足りなさはあるけど、過去を見る事で母の真意を知り未来を見る事で行動を変えていくストーリーは王道で良かったです。マーベル系はあまり観
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コットンテール(2022年製作の映画)

3.0

《コットンテール》
静かな底に何か言えない/見せられない秘密が滾っているケンとトシ。リリー・フランキーと錦戸亮の親子の距離感が実に秀逸。

ロードムービーの体裁で次第に解れていく心情を描くがところどこ
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52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)

3.8

《52ヘルツのクジラたち》
苦しいほど、悲しいほど、その声は微かに聞こえなくなっていく。"家族"の呪いに囚われながらも愛されたいただその想いだけで。。長く伸ばした髪、隠せない痕、申し訳無さそうな髭。気
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ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版(2000年製作の映画)

4.0

《ヴェルクマイスター・ハーモニー》
穏やかな街に現れた巨大鯨の見世物興行。"無知"の民を扇動し暴動を起こす"プリンス"。多くのメタファーが少ないセリフと長回しで描かれる映像世界は難解にも見える作品自体
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ソウルメイト(2023年製作の映画)

4.2

《ソウルメイト》
物語的は安定の号泣ストーリーかつキム・ダミの圧巻の演技!初回オンライン試写で観た時それほどに感じませんでしたが劇場スクリーンで見返すとやっぱりいいですね。サイズというか音響というか没
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このハンバーガー、ピクルス忘れてる。(2023年製作の映画)

3.8

《このハンバーガーピクルス忘れてる》
2人ずつのシチュエーションでのどーでもいい会話劇の塩梅が実に絶妙!イマイチ伝わらない時更に細かく伝えようと思う程更にどーでもいいことの説明に陥る"今何の話してたん
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テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)

4.5

《テルマ&ルイーズ》
日頃の憂さ晴らしにヴァカンスに出かけた2人。羽目を外し予期せぬ方向へ進むクライムロードムービー。世間知らずだったテルマがだんだん頼もしくなる姿は良いのか悪いのか。クソ男達をやっつ
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ミレニアム・マンボ 4Kレストア版(2001年製作の映画)

4.2

《ミレニアム・マンボ》
退廃的ムード漂う新世紀2001年。当時の自分を"彼女"と三人称で呼ぶ10年後のビッキーの今は描かれない。ざらりとした画面に舞う原色の妖しいライトと真っ白な雪景色の対比が美しく切
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

3.6

《ボーはおそれている》
人は生まれ落ちたときから逃れられないものに囚われて"いる"。果たしてそれは"いる"と思わされているのか。"いる"と思っていたいだけなのか。。。幼い頃からのトラウマに塗れた息子の
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記憶の居所(2023年製作の映画)

3.7

《記憶の居所》
日々の生活の中にある"記憶"。あの時"体験/経験"したことは"事実"だが、今ここにある"記憶"は自分というフィルターを通し堆積したかけがえのない"真実"。はっきりとした記憶、断片的な記
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一月の声に歓びを刻め(2024年製作の映画)

4.3

《一月の声に歓びを刻め》
人に言えない辛く深く染み付いた心の傷はやがて自らを責める鈍器と変わる。被害者が責任を感じてしまう不合理さ。丁寧な正月準備、伝統の太鼓の音、忌まわしい印を焼き払う。何も解決する
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ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.2

《ストップ・メイキング・センス》
40年前のライブめっちゃクール♪デビッド・バーン足元アップからの1曲目、1人づつメンバーが増えていき楽曲に幅が生まれていく様はもう"世界創造"。強めのリズム隊でメッセ
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瞳をとじて(2023年製作の映画)

3.5

《瞳をとじて》
撮影の途中で姿を消した主演俳優を探す物語。"映画の力"では直接的なら"想いを信じる"お話。断片的なシーンで折り重なる"画"の美しさはさすがですが、ビクトル・エリセじゃなかったらどうなの
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.0

《夜明けのすべて》
目に見えない痛みや辛さを"分かろうとする"こと。自分も辛くても"できる限りの手助け"をしてあげたいと思ってほんの少しでも行動すること。しば漬けだったり洗車だったりそれが伝わるだけで
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熱のあとに(2023年製作の映画)

4.0

《熱のあとに》
それが狂気かどうかは周りが決めることは出来ない。"受け入れられる"事を求めない愛の何と無敵なこと。エゴのひと言で済まされない説得力は 橋本愛 の怪演ゆえ、間違え無く彼女の代表作となるだ
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マリア 怒りの娘(2022年製作の映画)

3.7

《マリア 怒りの娘》
うず高いゴミの山で獲物を探し廻る子供達。ショッキングな世界があたり前のようにマリアはただ前に進む、進み続ける。"ママ"を探す為に。"貧困社会"と断ずる観る目には"こちら側"の優越
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エル・スール(1982年製作の映画)

4.5

《エル・スール》
子供の正義と大人の事情は、なんと静かで激しく穢く美しい。1987年初見時は実生活でも父との関係がエストレリャに近く刺さりまくりだった作品が今アグスティンの目線で観ている不思議さ。初聖
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ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

4.0

《ゴースト・トロピック》
仕事帰り最終電車で寝過ごし家まで歩くことになったハディージャ。普段歩かない深夜の道で出会う人達とのプチ・ロードムービー。"ゆっくり歩く"ことでいつも見ていない/見えていない人
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Here(2023年製作の映画)

4.5

《Here》
建設労働者ステファンはベルギーを引き払いルーマニアに帰郷しようと冷蔵庫を片付ける為に作ったスープを友人達に配る。森で出会った食堂の中国系看板娘は"苔"の研究者。草木のざわめきを聴き驟雨に
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