dramaticaさんの映画レビュー・感想・評価

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オーソン・ウェルズの フェイク(1975年製作の映画)

4.5

アートワールドの傲慢さを痛烈に茶化しながらも、古今東西の映画的技法をこれでもかと披露しつつテンポの良い軽みを帯びさせる離れ業で練り上げられた傑作中の傑作。宇多丸のオールタイムベスト入りにも納得した。ラ>>続きを読む

セブンス・コンチネント(1989年製作の映画)

4.5

シーンごとに律儀にブツ切りになる編集、淡々と破滅に向かってゆく生活、まるで、ベルトコンベアに運ばれていくように終わりへと進んでいく映画=人生の時間の中で、時折垣間見せる感情の爆発が、とても悲しく、怖い>>続きを読む

ビルビー(2018年製作の映画)

3.5

非常にシンプルな物語でありながら、降りかかる困難から逃げに逃げまくるモンタージュが最高に楽しい。

小さな悪の華(1970年製作の映画)

4.3

美しい少女でありながら、ランジェリー姿になると人生の辛酸を嘗め尽くしたような表情を垣間見せるアンヌと、どこまでもあどけないロールのキャスティングが天(悪魔)の配剤のような映画を生み出した。名作。

映画ドラえもん のび太の宝島(2018年製作の映画)

2.0

要は『ワンピース』をドラえもんでやってみました的な映画で、それなら『ワンピース』を観ればいいのでは、と。行動の一々に因果性が希薄なため、物語の都合にキャラクターを奉仕させている典型的な例になってる。>>続きを読む

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)

3.0

人に忘れられた時に訪れる2度目の死、というと『ワンピース』のDr.ヒルルクのセリフになるが、それそのままの映画である。短編のアナ雪とも一貫したストーリーを持ち、オラフ=ミゲルを軸とした生活共同体の再興>>続きを読む

キング・コング(2005年製作の映画)

4.5

僕らはキング・コングにはなれない。コングほどの腕力も、自由も、孤独も持っていない。だが、僕らはキング・コングを作る想像力と、技術を与えられた。ビルの上で咆哮するコングに拍手を送らずにいられようか。傑作>>続きを読む

ブラックパンサー(2018年製作の映画)

3.5

船でのパレードめいたダンス、儀式中の一糸乱れぬプロトコル、博物館での殺戮シーンがアガった。キルモンガーの造形が弱いのが弱点か。

シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

4.3

水を媒介とした出会いと別れ、サリー・ホーキンスのコミュニケーションとしての手話=ダンス、色彩、音響、すべてに情動を揺さぶられて涙止まらず。大傑作。

キラー・スナイパー(2011年製作の映画)

4.2

最高だ!フリードキン!フライドチキンのようにこの傑作を髄までしゃぶり尽くすべし!

リバーズ・エッジ(2018年製作の映画)

2.0

結局「壊れた若者たちの暴走」とかいうクソ下らないクリシェの再生産でしかないのでは。例えば原作の元ネタ映画(『リバース・エッジ』ティム・ハンター監督、1986年)にしたって、デニス・ホッパーにより若者の>>続きを読む

二重生活(2016年製作の映画)

2.0

M2で修論のテーマが決まってないのはヤバいし、教え子に尾行を強要する教授のブラックぶりもヤバい。朝にいきなりおっぱじめる冒頭の場面と、どこでもいつでもバツの悪そうな門脇麦の表情はちょっとよかった。

ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

主に結末部が気になった。最も気になるのは、レイモンが実は子供を虐待する人間なのではないかということだ。仮にも実の子供を手離してしまっている以上、そこには何らかの事情が垣間見えるし、少なくともレイモンが>>続きを読む

バッド・バディ! 私とカレの暗殺デート(2015年製作の映画)

2.5

この世には2種類の映画がある。アナ・ケンドリックが出ている映画と出ていない映画だ。これは前者だ。ただそれだけでいい。

デトロイト(2017年製作の映画)

4.2

ストーリーなどを全く知らないまま観た。これは面白い!群像劇かと思いきや、明けない夜をめぐって暴力が自己増殖してゆく戦慄のドラマ。救いのない『ゲット・アウト』、『悪魔のいけにえ』の変奏ともいえるような感>>続きを読む

サファリ(2016年製作の映画)

4.0

なんというか、南北問題や、環境の問題、人間倫理の問題を考える映画なのだろうが、キリンの一連のシークエンスが衝撃的すぎてほとんど吹き飛んでしまった。あれはすごい。キリン。

苦い銭(2016年製作の映画)

4.0

"資本主義国"中国のブルーカラー階級を描いた映画。もちろん日本で「MADE IN CHINA」を着る我々にも決して無関係ではない。だけれども、あんな個人的な諍いをよく撮れたなぁとか、地味だけど素朴で可>>続きを読む

花筐/HANAGATAMI(2017年製作の映画)

4.0

鈴木清順亡き今、こういう”キてる”映画を撮れるのはもう大林だけだなぁと思いました。

わたしたちの家(2017年製作の映画)

3.5

二重化する家が、だんだんと重なり合うのか重ならないのか、微妙なバランスのスリル。大げさなことは起こらず、派手な音響は皆無ながらも、トンネルから抜けるサナの画や畦道に連なる電信柱の構図など、ハッとする場>>続きを読む

カルロス(2010年製作の映画)

4.0

パーティーで懐からポロっと落ちる拳銃!革命を現実のものとしようとした人々が、どう考え何を成し、何を成しえなかったのかを地に足をつけた描写力で再現した傑作。

オルエットの方へ(1970年製作の映画)

4.0

ドラマとして切り取られ、画面に映る部分が映らない部分を喚起する素晴らしい映像。ウナギと馬の見事な役者っぷり!

イル・ディーヴォ 魔王と呼ばれた男(2008年製作の映画)

4.4

この映画で戦慄すべきは、アンドレオッティが直接何かを教唆したり指示したり、身内に向けて明言したりするような描写は一切ないということだ。アンドレオッティがあの恐ろしい表情をした途端に人が陸続と死に、あた>>続きを読む

映画 中二病でも恋がしたい Take On Me(2017年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

詰まる所、幻想を幻想によって乗り越える物語だ。テレビシリーズ第1期は、中二病という幻想によって親の死という現実(もまたより多くの人に共有された幻想にすぎない)を乗り越え、第2期では恋愛という幻想に中二>>続きを読む

パズル(2013年製作の映画)

4.0

『回路』以来の飛び降りシーンから始まる残酷劇は、画面の美しさ、外連味あふれるショットのつながりによってただの露悪に終始しない気品を持たせる。内藤瑛亮の最高峰。

ニーチェの馬(2011年製作の映画)

4.3

この映画は端的に言えば「絶望」についての映画であり、どん詰まりの絶望をこれでもかと見せてくるのだが、それをはるかに凌駕する馬の美しさがあり、この馬がいる限りこの家族は幸福なのではないかとすら思えてくる>>続きを読む

神々のたそがれ(2013年製作の映画)

4.5

通俗性を画面から完全に排することに成功したひたすら贅沢な3時間であり、阿片窟に迷い込んだような困惑と疲労を抜けると、この映画の誕生を祝福せずにはいられなくなるだろう。

アワーミュージック(2004年製作の映画)

4.0

芸術は人間が負い(負わせ)続けた痛みを乗り越えうるかの問い。

コングレス未来学会議(2013年製作の映画)

4.5

資本主義の裏面としての麻薬めいた娯楽と、テクノロジーの帰結としての人間の消滅。それを超えた先に人間/映画は存在しうるか。

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

3.2

ジョイ役のアナ・デ・アルマスとアナ博士役のカーラ・ジュリが抜群に可愛かった。役者は脇に至るまでさすがの演技といった感じで、世界観の作り込みも気合いが入っている。しかし、体を使ったアクションに関しては致>>続きを読む

ディストラクション・ベイビーズ(2016年製作の映画)

4.0

これは「骨」のある映画だ。一介の蛮族でしかない柳楽優弥演じる泰良が、喧嘩の場数を踏むごとに動きが洗練され、高みへと登っていく様子が清々しささえ帯びる。脇の菅田将暉演じる裕也と小松菜奈演じる那奈の卑俗さ>>続きを読む

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