びたみんさんの映画レビュー・感想・評価

びたみん

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愛、アムール(2012年製作の映画)

4.0

ミヒャエルハネケ監督作品。

老夫婦の最期を描いた傑作。
不必要なシーンは撮らない、説明的なシーンも撮らない、ワンカットでできるシーンはワンカットで、などが初期作品以上に徹底されていて、円熟味を感じる
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ベニーズ・ビデオ(1992年製作の映画)

3.8

ミヒャエルハネケ監督作品。

イヤーな映画だった。
ビデオ好きな少年が罪を犯したのにもかかわらず、誰からも裁かれない。そして自分自身もその罪に苦悩する様子がない。なんならエジプトへ旅行へ行ってしまう。
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.7

ウェスアンダーソン監督作品。

毎度同じく、本作も映像美、映像のからくりや仕掛けが楽しい。こんな演出ができるのか、こんな仕掛けができるのか、と驚きの連続で楽しい。

ただ、セリフの応酬や情報量の多さで
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マグノリア(1999年製作の映画)

4.3

ポールトーマスアンダーソン監督作品。

「ゼアウィルビーブラッド」「ブギーナイツ」は鑑賞済みだが、どちらもあまりハマれず。ただ、本作は素晴らしい傑作だと感じた。

本作の良かったところを上げようと思え
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おもひでぽろぽろ(1991年製作の映画)

4.1

高畑勲監督作品。

ただ主人公が懐かしい思い出を回想するだけの映画だと思っていたら、意外にも、複雑で歪な構造をしたジブリらしくない映画だった。

前半は、回想シーンが多い。家父長制や、古い価値観が色濃
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ホーホケキョ となりの山田くん(1999年製作の映画)

4.0

急に高畑勲作品が観たくなり、今まで観ていなかった本作を鑑賞。

暖かく優しい傑作だった。
日常の尊さや、なんてことはないことへの愛が詰まった高畑監督らしい作品。

フェリーニを思わせる幻想的なシーンと
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墓泥棒と失われた女神(2023年製作の映画)

4.0

アリーチェロルヴァケル監督作品。

「幸福なラザロ」は個人的にあまりハマらなかったが、本作は監督特有の不思議な感触を楽しめた。

アドベンチャー、コメディの膜に覆われた、切ない喪失の物語として、面白か
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長江哀歌(ちょうこうエレジー)(2006年製作の映画)

3.8

ジャジャンクー監督作品。

監督の作品は本作が初鑑賞。
なんともヘンテコな作品だが、面白かった。ただコンディションの問題で後半ややうとうとしてしまったのが残念。

大胆で荘厳な画作りで、ドラマティック
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チネチッタで会いましょう(2023年製作の映画)

3.4

ナンニモレッティ監督作品。

うーん、微妙な作品だった。
なかなか自由奔放な演出がひかる、モレッティらしい作品ではあるのだが、ちょっと演出が古かったり、コメディ要素もあまり個人的にはハマらず、面白くな
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親愛なる日記 レストア版(1993年製作の映画)

4.2

ナンニモレッティ監督作品。

これは面白い!ヘンテコで愛すべき傑作映画。

3話構成の日記をベースにした映像エッセイ。虚実入り混じり、ゆるい笑いもところどころに。
しかしなにより、映像感覚が最高。1話
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枯れ葉(2023年製作の映画)

3.8

アキカウリスマキ監督作品。

良い。
やっぱり、いつものカウリスマキ。

何も考えずに観ていたが、鑑賞後、なにか暖かいものが心に染み渡る。
研ぎ澄まされた、どこまでも純粋な映画だった。

ウクライナ戦
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風櫃(フンクイ)の少年(1983年製作の映画)

3.9

侯孝賢監督作品。

初期の侯孝賢のテーマや作家性が観やすい形で集約されている傑作だった。

田舎から都会へ、出会いと別れ、少年から大人へ、という様々なイニシエーションを丁寧かつ繊細に描いている。そして
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息子の部屋(2001年製作の映画)

4.2

ナンニモレッティ監督作品。
とても良い映画だった。素晴らしい。久しぶりに感動できる映画に出会えた。

初めて観るナンニモレッティ監督作だったが、なかなか独特の作風ではある。
このシーンの次にこのシーン
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吸血鬼ノスフェラトゥ(1922年製作の映画)

3.4

シネヌーヴォで鑑賞。
満席の映画館で、ピアノの生演奏というこれ以上ない贅沢な環境で鑑賞。

さすがに100年以上前の映画なので古さは感じさせるが、吸血鬼のフォルムや、陰影の濃い映像など、見どころはいっ
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それから(2017年製作の映画)

3.4

ホン・サンス監督作品。

今まで観たホン・サンス作品のなかでは、あまり面白くなかった。
どうでもいい痴話喧嘩は毎度のことだが、本作はなぜか惹かれない。
タクシーでの雪のシーンなど、印象的なシーンは多い
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セックスと嘘とビデオテープ(1989年製作の映画)

3.7

スティーブンソダーバーグ監督作品。

面白かった。
落ち着いた、抑制されたトーンが全編通底しており、まるでヨーロッパ映画(ベルイマンなど)を想起させる雰囲気が魅力的。ビデオや精神分析などのモチーフを巧
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彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)

3.8

アスガーファルハディ監督作品。

正直、話が込み入っていて後半よくわからなかった。登場人物が嘘ばかりつくので、色々な方向に感情が揺さぶられ、話を理解するのに苦労した。
考察やレビューを色々読んで、やっ
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童年往事 時の流れ(1985年製作の映画)

4.0

シネマメンバーズで、5月末に配信終了だと知り、あわてて入会、鑑賞した。
沁みる映画だった。傑作。

最近、「侯孝賢の映画講義」という本を買った。少しずつ読み進めているが面白い。個人的に、侯孝賢よりエド
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正しい日 間違えた日(2015年製作の映画)

4.0

ホン・サンス監督作品。

やっぱり癖になる。前半と後半で似た話をやる構造だが、その構造に頼り切っているわけでもない。

流れるような展開に、なぜか釘付けになってしまうカメラワーク、長回し。
なんだか癖
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別離(2011年製作の映画)

4.3

アスガルファルハーディー監督作品。

めちゃくちゃ面白かった。これはすごい。
イラン映画はキアロスタミぐらいしか観たことがなかったが、本作を観て、また改めてイラン映画に興味を持った。

二転三転するス
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マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

3.9

トラウマや心の傷を正確に描いている映画は少ない。そんな中で本作は絶妙なバランス感覚で、それらを描き切っている。

心の傷は、深い穴のようなものだ。
時間が経っても、その穴は埋まらないし、一度穴ができて
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トキワ荘の青春 デジタルリマスター版(1995年製作の映画)

4.0

市川準監督作品。
金宮さん、おすすめしていただきありがとうございました🙇‍♂️

市川準監督の作品は初鑑賞。面白かった。
正直前半は、エピソードとも言えない、トキワ荘の住人の日常の断片が綴られていくの
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珈琲時光(2003年製作の映画)

4.0

U-NEXTにまた入りました。料金が高いので入っては抜け、入っては抜けを繰り返しています。
皆様よければU-NEXTで観れるおすすめ作品があればご教授下さい。

さて本作。侯孝賢監督作品。
言うなれば
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逃げた女(2019年製作の映画)

3.8

ホン・サンス監督作品。

いつものホン・サンス、そして面白い。
3人の友人に会うだけのシンプルなストーリー。この構造自体、美しく心地よい。
ローファイで控えめな音楽、ズーム、画作り、全ての要素が心地よ
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はちどり(2018年製作の映画)

4.0

キムボラ監督作品。

エドワードヤンの「ヤンヤン」を強く喚起させる傑作だった。カット割やゆっくりと流れていくストーリー、あるいはラストの手紙による終幕など、「ヤンヤン」との相似は多い。

静かで静謐に
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コード・アンノウン(2000年製作の映画)

4.0

ミヒャエルハネケ監督作品。
ハネケ監督にハマり中。

長回し、1シークエンスワンカットの独特の演出で進行していく群像劇。
社会問題や格差、差別、コミュニケーション不全などを断片的な映像の羅列で語られて
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パリ13区(2021年製作の映画)

4.0

ジャックオーディアール監督作品。
「ナミビアの砂漠」に影響を与えた作品とのことで鑑賞。

とても面白かった。
パリを生きる3人の群像をポップかつ繊細に描いている。物語のテンポも良く、ツイストも至る所に
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ファニーゲーム(1997年製作の映画)

4.0

ミヒャエルハネケ監督作品。

ハネケらしい恐怖演出、メタ演出が詰まりに詰まった傑作。 
映画についての映画でありながら、現実の問題も含めたハネケらしい方法論が爆発している。
面白いとは一言には言えない
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カップルズ 4Kレストア版(1996年製作の映画)

3.9

エドワードヤン監督作品。
鑑賞は2回目。以前はDVDで。
今回は綺麗になった映像に劇場という最高の環境で観た。

やはり面白い。都市に住む人々の群像と喧騒を流れる様なリズムで描き出している。印象的なラ
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ヤンヤン 夏の想い出(2000年製作の映画)

4.8

エドワードヤン監督作品。
何年かぶりに再鑑賞。再レビュー。
前回はあまり楽しめず眠気に襲われた。
しかし、今回2回目の鑑賞で、本作がとても好きになった。理想の映画と言ってもいいぐらい素晴らしい映画だと
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ピアニスト(2001年製作の映画)

3.8

ミヒャエルハネケ監督作品。

大変面白かったが、ハネケ監督らしく、今回も素直には楽しまさせてくれない。

身構えていたほど多くはなかったが、過激描写の数々は、やや辟易したし、賛否が分かれそうだ。過激シ
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セブンス・コンチネント(1989年製作の映画)

3.9

ミヒャエルハネケ監督作品。

前衛映画、実験映画にぎりぎりまで接近しつつも、面白い傑作。
DVDについていたインタビューでも、「映画は音楽に近い」と監督は発言していたが、たしかにそれもうなずける作風だ
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草の葉(2018年製作の映画)

3.7

ホン・サンス監督作品。

人生の断片を切り取りながら、人生の縮図にもなっている、ホン・サンスらしい構造が光る小品。

白米のように、変に刺激のない心地よい映画だった。さすがに一定のテンポで進んでいくの
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トスカーナの贋作(2010年製作の映画)

3.8

アッバスキアロスタミ監督作品。

面白かった。キアロスタミらしい、実験精神やしっかりした画作りもありつつ、それまでのキアロスタミ作品にはなかったフランス・イタリアらしい会話の応酬が繰り広げられ、新鮮。
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ウエディング(1978年製作の映画)

3.0

ロバートアルトマン監督作品。
アルトマン作品は大好きなのだが、この作品はあまり乗れなかった。集中力が続かず、楽しめなかった。最近、昔と比べて映画に対する集中力が減退してきている気がする。

結婚式をめ
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ライク・サムワン・イン・ラブ(2012年製作の映画)

4.0

キアロスタミ流のギャグ映画?

アッバスキアロスタミ監督の日本を舞台にした映画にして、遺作。

キアロスタミらしいカットの端正さや、雰囲気は舞台が日本でも健在。
なんでもないシーンでもとにかく魅せてく
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