亘さんさんの映画レビュー・感想・評価

亘さん

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ニッポン無責任時代(1962年製作の映画)

3.7

植木等が結局最後まで素性が分からないのに、最後の最後で全てが丸く収まるというまさかのデウスエクスマキナ。ドタバタ・コメディなんだけど1962年・東京の大企業でサラリーマンという職業は当時としては大衆の>>続きを読む

フェート/双生児(2007年製作の映画)

2.3

『女神の継承』のバンジョン・ピサンタナクーン監督と『心霊写真』のパークプム・ウォンプム監督のタッグ作品!と期待して見たけど、まぁそうなるよね・・・っていう感じ。シャム双生児の話って悲しい話ばっかりだな>>続きを読む

異人たちとの夏(1988年製作の映画)

3.5

すっごい久しぶりに見るとバブル時代の風味が強すぎて「こんなんだったっけ?」って思った。
主人公原田の話は1988年で、亡くなった両親のいる浅草はその約30年前の1950年代。アンドリュー・ヘイ監督作は
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異人たち(2023年製作の映画)

4.2

山田太一が初めて私的な事を盛り込んだ名作『異人たちとの夏』を浅草からロンドンを舞台に移した本作は、主人公の設定をゲイ(本作に敬意を表して敢えてこの表現にします)にする事で、現代人らしい心の内を丁寧に描>>続きを読む

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)

3.7

著名人のウイルスを体内に注入して他人と繋がる『アンチヴァイラル』、他人の意識を乗っ取り殺人を企てる暗殺者『ポゼッサー』、自身のクローンに罪をかぶせて正気を失っていく『インフィニティプール』と、3作続け>>続きを読む

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)

3.5

『エクソシスト』シリーズ『死霊のはらわた』シリーズとかここ最近70~80年代オカルト映画のリメイクが流行ってて食傷気味だったけど『オーメン・ザ・ファースト』はいい出来だったと思う。
ダミアンが生まれる
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アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.5

今年ベスト級にいい作品だった。間違いなく見に行って良かった。プロレスの事を知らなくても全く問題はないので、気後れなく見てほしい。
1960年代~1990年代はアメリカや日本国内でプロレス団体が乱立して
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.3

この映画、確かに事前に少しでもオッペンハイマーについて、或いは核開発の背景や赤狩りについての予備知識がないと辛いかもしれない。物理学の知識や専門用語は勿論、余りにも淡々と核開発に描かれていて、当本人で>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

4.0

杉咲花ってちゃんと演技見た事ないけど、普段TVでみてるような幼くて可愛らしい印象とは真逆のこんな演技出来るんだ?ってビックリした。「嫡出子推定制度」は今年の4月1日から民法改正により施行され、離婚後3>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

1.1

自分のフェティシズムを持て余してる人間の群像劇なのに、全部台詞で説明しちゃうのはどうかと思う。登場人物が全員ちょっとずつ社会にフィットしてないので、唯一稲垣吾郎だけがまともなんだけど、まともな人物を孤>>続きを読む

ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語(2023年製作の映画)

3.3

ザ・ウェス・アンダーソン!っていう映画だったなぁ。映像は全編くすみカラーのお洒落な飛び出る絵本みたい。超早口でヘンリー・シュガーという男の人生が語られるんだけど、40分くらいなのでサクっと見れる。
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DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

5.0

近年のベッソン作品、トンデモSFかシリーズのアクションものかしかなくて苦手だったんだけど、これは久しぶりに超面白いベッソンだった。

事故を起こしたトラックにはモンローの女装をした男、荷台には数十頭の
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.5

今日はアカデミー賞授賞式で、良くも悪くも映画やエンタメの興行収益に大きな影響を与える日。本作『アメリカン・フィクション』も5部門にノミネートされ脚色賞を受賞した。白人が作った賞を本作が受賞したのは快挙>>続きを読む

殺人者(2013年製作の映画)

3.0

殆ど台詞がない寡黙な殺人者の役を、その表情のみで演技するマ・ドンソク。こちらは「カン・ホスン事件」が元になっているそうだけど実際の事件と映画の内容が合ってないので実話ベースを言っていいのかどうか。>>続きを読む

罠 Deep Trap(2015年製作の映画)

2.0

今ではちょっとレアなキモいマ・ドンソクが見られる。『新感染 ファイナル・エクスプレス』までは割と悪役が多かったイメージあるけど、この人はコメディ路線より何を考えてるのか分からない不気味な役の方が合って>>続きを読む

テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)

5.0

33年前とは思えない傑作ロードムービー。女性にとっての不自由の国アメリカを象徴するフェミニズム作品。この作品を見た当時はジョディ・フォスターの『告発の行方』を見ていたので重い気持ちで見たのを思い出す。>>続きを読む

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア(1997年製作の映画)

5.0

1991年公開のリドリー・スコット監督作『テルマ&ルイーズ』の片翼と言ってもいい本作、何度見てもじんわりくるラストの後味がいい。

脳腫瘍のマーティンを骨肉腫のルディは意気投合して「天国で海の話をする
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犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

2.5

犯罪都市も3作目となると、かなり脚本を練らないといけなかったんじゃないかな?と思ったけど、練ってるっていうかとっ散らかった印象。韓国警察vs中国マフィアvs日本ヤクザと入り乱れるのにありきたりな話で途>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.7

結局真相は藪の中・・・みたいなそれぞれの視点から1つの事件を描いた芥川龍之介方式の映画は多いけど、裁判で登場人物の証言から複雑化するのが妙にリアル過ぎた。

まず冒頭のサンドラが学生から受けているイン
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.0

ポスターだけで勝手にホラー映画だと思って見に行ったら韓国宮廷歴史モノのサスペンス映画だった。17世紀の朝鮮王朝時代に実際にあった事件「仁祖実録」を元にしたフィクションで、盲目の鍼師が目撃した皇太子殺人>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

3.5

世の中的にキャンセル・カルチャーが吹き荒れている。旧ジャニーズ、宝塚、ビッグモーター等等。過去の愚かな言動により批難し排除する事で、そこに全く関係ない人は安心を得られるんだろうか?という投げかけにも思>>続きを読む

ジョン・バティステ:アメリカン・シンフォニー(2023年製作の映画)

4.0

ピアノのイントロの1音めで誰が弾いているのか分かるアーティストは数少ない。ジョン・バティステの大きな手から奏でられるピアノの音はとにかく優しい。オーガニックで温かさを感じる、その人は一体どんな人なんだ>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

2.8

なんというか、良くも悪くもA24ぽいなぁ。ものすごいどシンプルなストーリーでこれで2時間は長かった・・・

オレゴン州の河の近く、女が土に埋まった人骨を見つける所から始まる。掘り進めていくと二つの人骨
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

5.0

予告からファンタジーなのは薄っすら思ってたけど本編は全然違っててビックリした。久しぶりに心を揺さぶられる大傑作に出会えた。
無垢な者が冒険を経て世界を知り、自己の道を切り開くという内容は古典的ではある
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サンクスギビング(2023年製作の映画)

3.5

ここ最近のイーライ・ロス作品では面白かった。ちゃんと真面目にスラッシャーしてた。
日本でも定着してきた感謝祭のブラックフライデー・セール。ショッピングセンターに買い物客が殺到し惨事が発生。1年後にその
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

最後の最後、大好きなニーナ・シモンの「Feeling Good」が流れた時点で号泣。この歌の歌詞に大きな意味がある。
まず、ニーナ・シモンがどういうシンガーだったか。Netfix『ニーナ・シモン 魂の
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Renaissance: A Film by Beyoncé(2023年製作の映画)

5.0

最新アルバム『Renaissance』を引っ下げ全34曲その全てを堪能するツアーの全貌、という単純な事ではなかった。それはビヨンセのパフォーマンスだけではなく、彼女の「仕事」をつぶさに見守るような映画>>続きを読む

コカイン・ベア(2023年製作の映画)

1.0

こんな映画がレイ・リオッタの遺作になるとは・・・。1985年にあった実話を元にした話なんだけど、これ3500万ドル(今日のレートで50億円)もかかってんの?!熊のCGってそんなに高いのか・・・『ゴジラ>>続きを読む

DASHCAM ダッシュカム(2021年製作の映画)

1.0

車の中から即興のラップを配信する「バンド・カー」のラッパーのアニーは、コロナでロックダウンしているLAにウンザリして、元カレ・ストレッチの住むロンドンにアポ無しで訪問。ところがストレッチは宅配で生計を>>続きを読む

伯爵(2023年製作の映画)

3.0

チリの実在したピノチェト大統領がもしもドラキュラで250年生きてたら・・・っていう話なんだけど、250年も生きてるから歴史上の色んな登場人物が出てきて面白い。

長い独裁政権で失政した大統領は生きるの
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ブラックサン(2023年製作の映画)

2.5

『エクリプス』に出てくる盲目のシスターの話。ファティマの泉とか聖少女の話は好き。皆既日食でマリア様からの幻影を見た少女が、大人になりある教会へ赴きやがて終生誓願を迎える。しかしその教会にはある秘密がか>>続きを読む

エクリプス(2017年製作の映画)

2.5

『ブラック・サン』とセットだと気が付かず後から『エクリプス』を見てしまった。スペイン・マドリードで本当にあった事件を元にしていて、エンドロールで実際の写真が出てくる。地元警察は一体何を目撃したんだろう>>続きを読む

バレリーナ(2023年製作の映画)

3.3

孤独な女が唯一の親友であるバレリーナの為に復讐をする話なんだけど、「n番部屋事件」を思わせる内容で結局は誰の救済にもなってないような・・・
ヒロインがやたら強いんだけどアクションがちょっとガチャガチャ
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VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.0

ギャスパー・ノエ来日舞台挨拶付きプレミア先行上映。まさかの塚本晋也監督も登場したっぷりと対談を聞いた。上映直前にノエ監督から「皆泣いて!泣かなかったらこの映画は失敗」と言っていたけど、見終わった直後は>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

1.0

各メディアでも賛否が割れる本作、色んな人が各々考察してると思うけどその考察を見る前の自分の感想としてはマイナス1.0どころかマイナス10億くらいかもしれない。率直に言って酷い。大まかなストーリーライン>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.6

弘法も筆の誤り、猿も木から落ちるみたいな、完璧な暗殺者が単純なミスをしたらヤバかったって話。逆ジョン・ウィックみたいだった。

パリである人物を狙撃しようとして、何故かミスってしまう殺し屋。そのせいで
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