TapioKettunenさんの映画レビュー・感想・評価

TapioKettunen

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ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)

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アイルランドの宗教・歴史・政治的対立を念頭に観る映画。

感情という、一見曖昧で衝動的なものが、問い直しや分析を通じて自覚され、他者や社会との接続点が見えてくる——その過程が子どもたちの対話の中で丁寧
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蜘蛛の巣を払う女(2018年製作の映画)

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OPから最後まで構図がキメキメで美意識の高さが伺えた。まるで写真集かのような洗練された画作りで、美術品的な見応えがある。
一方でストーリーは単純で、人物描写や主題性の掘り下げは物足りない。
表現を優先
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トラフィック(2000年製作の映画)

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単に警察や政府の視点にとどまらず、売人や消費者、国家、家庭といった複数の立場を横断的に描いている点が印象的だった。ドラッグをめぐる構造が一国の問題にとどまらず、複雑に絡み合っていることが自然と伝わって>>続きを読む

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

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お互いに憂いを抱えながら過ごす、近いようで遠い二人。
穏やかな生活に思えても時間は着実に流れていて、停滞は常に自分が起こしているもの。
時間が経てば環境も価値観も変わっていくから、かつてと同じように同
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パリ、テキサス(1984年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ライ・クーダーのギターが心地いい
現実から逃れようとする男は赤色の帽子をかぶって歩く。赤色のシャツを着て赤信号を進み、赤色の女を目指す。
現実に向かう二人は緑の服に身を包み、赤い陽が落ちて緑のライトが
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帰れない山(2022年製作の映画)

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原作読了のうえ観賞、概ねニュアンスが同じで安心して見られた
主人公の髭の長さが山(友)との距離感を間接的に表現している
本人たちの視点ではグッドにもバッドにも傾かないお話なのが良い

ザ・マスター(2012年製作の映画)

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上手くいく筈がないがなぜか惹かれ合う二者のジレンマ。
複雑に渦巻く心の闇を "共感は出来ないように" 描写したPTAと、1人の人物として体現したホアキンが素晴らしい。
セラピーに対しての疑問が徹底的に
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カモン カモン(2021年製作の映画)

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自分に向けられた質問には答えず、ひとに尋ねてばかりなのは、外の世界や他人こそが一番の逃避先だから。
感情を表現する方法は沢山あるのに、安易に言語化にだけ頼っていては、突飛な言動に裏打ちされる複雑な感情
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眺めのいい部屋(1985年製作の映画)

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イギリスの階級社会を念頭に置きながら見る映画。
心情描写が巧みで良い。
ダニエル・デイ=ルイスの俯瞰性と、従姉の人間臭さが好き。

あの頃ペニー・レインと(2000年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

張りぼての絆で辛うじて繋がっているバンドも、理想の中に子供を繋ぎ止めようとする母親も、名前すら捨てて逃避を続ける少女も、誰もが見失っている愛は夢の中ではなく、すぐそこの現実に転がっている。
肝心の愛は
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正しい日 間違えた日(2015年製作の映画)

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正しいも間違いも常に連続していて、気の持ちようや偶然から紙一重の差で結果が決まっていく。人生ってそんなものなんだろう。
ヒジョンの抱える哲学や、相手の気持ちを綺麗な言葉にして返してあげる懐の深さが好き
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枯れ葉(2023年製作の映画)

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隣国からの不穏な影が密やかに伸びつつあるのを感じながらも、目の前にあるのは疲れた生活。
会食のシーンで色が溢れるのが良い。
画面のシュールさも友人も、二人の距離感も犬もマドラーも可愛かった。
無表情で
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ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ドレスの品位や美しさを守ることが彼にとっての全てであり愛なのだが、弱った時にだけ母親からの庇護欲が顔を見せる。
アルマという女性は自分の愛を押し付けるが、彼女の存在こそが彼を弱らせ、そこへ優しい母親と
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