マゾッホの「毛皮のヴィーナス」そのものではなく、その舞台劇化を上演しようとしている脚本家兼演出家とオーディションに遅刻してきた女優とのやりとりが原作=舞台の内容とだぶってくるという趣向。
マチュー・>>続きを読む
冒頭に「事実をもとにしたフィクション」と出るように人物の名前を変えているのをはじめとしてかなりわかりやすく脚色していると思える。
ドラマとするととにかく捏造が事実であることが明らかになってから見直す>>続きを読む
富士の樹海、というか青木ヶ原ってそんなに世界的に有名なのかな、と思った。わざわざ飛行機に乗ってアメリカから来るのだから。
アメリカにも自殺の名所みたいなものはないのだろうか。それともやはり鬱蒼とした>>続きを読む
これだけ頻繁に子供が出てくる「マクベス」というのは見たことがない。
三人の魔女の登場シーンでふつうは出てこない女の子が他にもう一人出てくるし、マクベス側の男の子が本来なら魔女のセリフをしゃべったりす>>続きを読む
ニューヨークの街角のあちこちにグラフィック・アートを描き(つまり落書きをし)、InstgramとTwitterの上でその告知をするが、けっして当人は公衆の前に姿を現さない、という独特の活動をしているア>>続きを読む
アメリカ製ゾンビ映画だと、銃でゾンビの頭を吹き飛ばす描写が定番になっているわけだが、銃の所持がおよそ一般的でない日本ではそう簡単にそこまで辿り着かない。
銃を撃つまでにハードルがいくつもあるのを逆手>>続きを読む
ちょっと成瀬巳喜男みたいに小金が足りない話題が多い。阿部寛の別れた妻子への養育費の振り込みが遅れていて、それを補うのに探偵という副業を利用してのカツアゲに報酬のピンはね、パチンコに宝くじ、果ては年金で>>続きを読む
動機のわからない、剥き出しの暴力をふるい続ける男を地方のいささか閉塞的な町に置いてどんな反応が起きるか見てみようというのかもしれないけれど、どうもこれといったことは起こらないで同じことの繰り返しなので>>続きを読む
ジョディ・フォスター監督というのが当然話題の先頭に来るわけだが、見ているうちにストーリーに引き込まれて監督がどうのというのを忘れてしまう。これは褒め言葉で、社会劇とか風刺劇であるよりサスペンス映画に徹>>続きを読む
オープニングタイトルで、脚本は縁の下のモグラもちで監督はギャラもらいすぎのバカ、といった意味で出るのにまずウケた。
脚本家=もし監督が殺されたら一番危ない人物(小林信彦流「悪魔の辞典」)、とか「脚本家>>続きを読む
メアリー・エリザベス・ウィンステッドという主演の女優さんが端正な美人でスタイルよし、芝居をしても限られた場所の長丁場が飽かせない。撮り方も丹念。
登場人物はほとんど三人だけ、ジョン・グッドマン(巨体>>続きを読む
治安を守るために銃を摘発するのが点数稼ぎの自己目的化するあたり、警察の活動のお役所仕事としての面を描いていて、マジメにもっともらしく脱線していく姿がなんともいえず可笑しい。
チャカとシャブ、どっちが大>>続きを読む
鉄の扉の向こうに恐ろしいものが…というシーンは怖い映画の定番だけれど、今回の向こうの部屋の発想とデザインは出色。
三軒の家がコの字型に並んでいる並びに妙に執着するあたりのオブセッションを自然に実物の並>>続きを読む
舞台になる研究所に飾っている画でかなり重要な役割を果たすのが、ジャクソン・ポロックのドリッピング・アートとグスタフ・クリムトの「マルガレーテ・ストンボロ=ヴィトゲンシュタインの肖像」。
ポロックの作>>続きを読む
怨霊同士をぶつけたら互いに食い合って消滅するだろう、という作戦がもっともらしいけれど何を根拠にしているのだとツッコミを入れたくなる。笑ってみるのもよしといった作り。
安藤忠信と菊地麻衣の霊能者コンビが>>続きを読む
どれだけトンデモな日本像を見せてくれるかと期待(?)して、冒頭の巨大なイノシシまがいの怪物を退治する「もののけ姫」ばりのシーンからファンタジーとしての日本を描くのかと思ったが、意外とまともに「忠臣蔵」>>続きを読む
ヒトラーが突然現代に現れて、出自がまったくのブランクになったまま周囲が勝手にさまざまな思惑を投影しておもしろがってどんどんイメージが膨れ上がっていくあたり、ちょっとコジンスキー原作、ピーター・セラーズ>>続きを読む
哲学専攻の大学院生が論文の指導教授のそそのかしで理由のない尾行をして観察の記録をつけることにし、その対象にマンションの向かいの豪壮な家に住む一流企業の若い部長を選ぶ。
尾行と、空間を隔てた向かい側の>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
コールドスリープによる長期間の宇宙旅行、というのはSFの背景には使われても、その一生を費やしてもまだ足りない長い長い時間を正面からドラマの中心に置いた作品というのはちょっと覚えがない。
コールドスリ>>続きを読む
数々の怪異現象の趣向や演出がもうすごい多種多彩でヴォリュームたっぷりで、ほとんどホラー・シーンのフルコース状態。
見たことあるようだなと思わせるシーンでも、舞台になる家、それも一般住宅のイギリスらし>>続きを読む
サメ映画、といっても午後のロードショーでやる荒唐無稽比べみたいなのではなく、ここでのサメそのものは大きめだけれどふつうです。
すぐそこに岸が見える岩礁に辛うじて逃れたヒロインに一難去ってまた一難とい>>続きを読む
公開当時はロシアのドーピング問題によるオリンピック不参加が決まったのによく公開された、と思う。ロシアの問題が浮上したのは偶然だろうが、一種痛快ですらある。
この中のセリフでは一番ドーピングが進んでいた>>続きを読む
ときどき入る空撮(ドローンか?)以外、携帯かスマホで撮った映像が大半を占める、というか今更それだけ日常的にカメラで撮られて記録されているのだな。エイミーも特に前半は何でもない女の子だったのだし、たぶん>>続きを読む
赤狩りをする側としてマッカーシーやニクソンといった政治家より、元女優のコラムニストのヘッダ・ホッパーを主にジョン・ウェインなどが加わるハリウッド内部の協力者たちを前面に立てている。
反共ヒステリーは冷>>続きを読む
四季が全部入っていて、ずいぶん長い時間をかけて撮影したと思しきドキュメンタリーだけれど、まさか築地→豊洲移転でこうも大揉めに揉めている中の公開になるとは作り手は思っていなかったのではないか。
ああいう>>続きを読む
デビューした1962年からツアー活動をやめてスタジオにこもった音楽作りに転換する66年までの足かけ5年に絞って構成していて、わずか5年なのだが、なんという激動期だろうと思わせる。
一方で63年のケネ>>続きを読む
飛行機のエンジンが鳥を吸い込んで左右両方とも止まってしまいハドソン川に着水するまでわずか208秒しかないので、どうやってドラマ化するのだろうと思っていた。
そうしたら、すでに事故が起きた後から話を説>>続きを読む
元は30年前の原田眞人監督脚本のテレビ用映画(2時間ドラマとはまた違う、アメリカだったら劇場公開することもあるような作り)「盗写 1/250秒」なのだそうだけれど、それほどの時代の違いは感じではない。>>続きを読む
怪獣映画のこれまでの積み上げをふんだんに取り込んでいるのはもちろんだが、ベトナム戦争末期に設定しているとは聞いていたけれど、これほど「地獄の黙示録」色が強いとは思わなかった。戦闘ヘリが隊列を組んで海上>>続きを読む
ずっと年上の恋人の手紙が死後も届き続ける、という出だしは不気味でもあり興味をそそりもするのだけれど、真相がわかってからの引っ張り方があまり工夫がない上に、こういう意思の伝え方ってどうよと結構ひっかかる>>続きを読む
正体が当人にもわからなかった元スパイの正体がわかったところから始まるわけで、アイデンティティの源をスパイとしての経歴から肉親にシフトしていて、その分わかりやすくもあり平凡にもなった。
アテネのデモを>>続きを読む
画がなんだか平板でスタジオドラマみたい、回想の使い過ぎも就活の展開の緊迫感を削いだ。
芝居をやっている学生が主人公で何度も舞台の場面もあるのだから積極的に映画中劇に過去の経緯を投影してするくらいの工>>続きを読む
始まってしばらくは刑務所の話かと思うような雰囲気で、いい歳をした男たちが制服制帽でうるさい監視つきでなんだかおぼつかない手つきで材木細工をしている。
やがて職業訓練校だとわかってくるのだが、こういう木>>続きを読む
監督がウリ・エデルというのが意外だった。
ドイツ出身で麻薬に溺れる14歳の少女を実録に基いて描いた「クリスチーネ・F」、現代版「神曲」の「ブルックリン最終出口」、過激派組織の経緯を実録に徹して描く「バ>>続きを読む
予告編見た感じでは、負傷した夫を追ってくる悪党どもから夫と幼子を守る女性の話、だと思ったら、そうには違いないのだけれど、助っ人を頼んだ男と、悪党の首領とがヒロインと昔関係があってという事情の方に話がい>>続きを読む
エスピオナージものというのは陰鬱なものになりやすいのだけれど、とにかく家族を守る、信義を重んずる、腐敗は許さない、といったまっとうな価値観が渋いトーンの中にも全体に通っていて意外なくらい娯楽作として楽>>続きを読む