Eike

ゴッドレス 神の消えた町 シーズン1のEikeのレビュー・感想・評価

4.2
Netflixのオリジナルシリーズ。
全7話からなる「本格ウェスタン」。

日本の「時代劇」と同様、「西部劇」も長らくアメリカの映画・TVのメインストリームからは外れた存在になっている。
その大きな理由として現代の視点から娯楽性を提示することが容易ではなくなったこと(PC的な見地からも)と、やはりプロダクションにコストがかかることも一因であると思われる。
特に2時間程度の映画で手を出すことはかなり難しくなっているのではないだろうか。

対してこのGodlessはNetflixのシリーズドラマとして制作されており、全7エピソード、各50分~70分のランニングタイムとなっており、物語を構築する上で十分な尺を与えられている。
さらにCGを含めたデジタル技術導入も積極的に利用している模様。
その結果、「本格西部劇」の様相を残しつつも現代性も付与されてアップデートされた娯楽作となっている。

それでも昔ながらのお馴染みの西部劇の復活を標榜しているという訳ではなく、C・イーストウッドの「Unforgiven」以降のNeoウェスタンらしく、リアリズムがスタイルよりも重視されている雰囲気が濃厚。
そのため、クライマックスを除けば殊更に派手な展開もなく、かつての「西部劇」のように善と悪を単純化して描写することを避けている面もあって、娯楽としては若干インパクトに欠けるきらいもある。

その反面、多彩な登場人物たちを複合的に描き、また彼らの交流についても尺をとって彼らの交流に流れるニュアンスを犠牲にはしていません。
細かな人物描写を積み重ねることで西部劇としてのフォーマットに安易に流されず、「人間ドラマ」になっております。

物語の構造としてはコミュニティの住人たちと無法者の集団とのクライマックスの死闘へ向けた過程を描いているだけとも言えるが、急がずじっくりと登場人物たちのスタンスが描かれていて、ドラマとして見応えあるものになっており、結果的にエンタティメントとしても満足できるものに仕上がっている。

ロケの効果はさすがで主人公が身を寄せる町から離れたヒロインの牧場の描写では常に遥か彼方まで広がる草原、遠くの急峻な山並み、そして地平線が写し込まれており、「西部」の匂いが立ちあがってくる様です。
また凶悪ギャング集団が駆る馬たちが土煙を上げて彼方より町へと近づいてくる様を遠景でとらえるなど、ビジュアル面でもしっかりと西部劇の魅力を強く打ち出しており、デジタルの薄い「絵」が氾濫する昨今では貴重/贅沢であり、強い印象を残す。

西部劇と言うことで若い世代、そして女性陣にとっては余り食指が動かない作品と思われるかもしれませんが中身はむしろ逆。
極端に男性陣が少ない町を自らの手で守るために銃を取る女性陣の壮絶な死闘が描かれており、中々新鮮な印象であります。

主演のジャック・オコーネルとミシェル・ドッケリーのケミストリーも生きておりますが極悪人役のジェフ・ダニエルズのカリスマ性にも求心力があり、見応えあります。
Eike

Eike