Eike

1899のEikeのレビュー・感想・評価

1899(2022年製作のドラマ)
3.1
ジャンル系のNetflix発オリジナルシリーズとしてはStranger Thingsと並ぶ完成度と言われるドイツ産の「Dark」のクリエイターチームが放つ新シリーズ。

物語は主人公である女性があるビジョンを幻視しながら意識を取り戻すシーンから始まる。
このシーンは米国産ヒットドラマ「LOST」そっくり。
時は1899年。イギリスの港を出港した大型客船「ケルベロス」はNYを目指して大西洋を進むものの船長を含むクルーたちの胸中には暗い影が差しております。
というのも同じ会社の客船「プロメテウス」がやはり同じ航路でNYを目指していたのが数か月前に消息を絶っていたため。

そんなある日、まだ導入されて間もない通信機器が突如救難信号をキャッチ。
それが消息を絶っていたプロメテウス号からの物だと判明し、船長は航路を変更。
しかしようやく発見したプロメテウス号は何とも不思議な様子。
その船内は異様に荒れ果て、乗客・乗員が一人も見当たらない正に「幽霊船」状態。
そしてその時から奇妙な出来事がケルベロスでも起き始めて…。
果たして一体何が起きているのか…。

これは賛否あるだろうな。しかし面白かったのも事実である。
事の真相は一応最終話のエンディングで明かされておりますがだからと言ってすんなり完結している訳では全くない。
その意味ではとりあえずは世界観・雰囲気を楽しむのが得策と言う点は指摘しておいても良いかと。
そしてその点に関して言えば中々に見どころが多い。

特に感じるのはデジタル技術の恩恵。
この大海原を航行する大型客船も荒れ狂う嵐などを含めて客室などのセットのシーン以外は全てCGで作られているのだ。
それこそ少し前ならハリウッド製の大作映画ばりのクオリティで映像が作られているのは正にデジタル技術の進歩とその移植が容易であるおかげ。
フィクションにおいて「リアルである」ことは必ずしも最重要の要素という訳ではないでしょうが、本作の場合、この大型客船を取り巻く環境がリアルであることはとても「重要」。
ネタバレはまずいので止しますが本作はこのリアルさがあって初めて成立している面もある内容なのです。

それと個人的に「幽霊船」にはロマンを強く感じるのでこの導入部あたりのゾクゾクした雰囲気は文句なしに楽しめました。
ただ、中盤以降、ミステリー部分の謎解きに関しては加速度的に「トンデモ度」が高まっていく展開。
なので誰もがすんなりとこの物語を咀嚼できるわけではないでしょう。
その意味では「観客を選ぶ作品」であると言えるでしょうか。
しかしSF/ホラーといったジャンルは何よりもイマジネーションを駆使した内容であるべしという気がいたします。それは言い換えれば「何でもあり」と言うことであります。
その意味で、どうせエンターティメントならたまにはこれ位冒険してみる作品があっても良いのだと思います。
Eike

Eike