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トラップ 凍える死体 シーズン1のEikeのレビュー・感想・評価

3.1
アメリカのエンターティメントが世界を支配して長くなるが、それらの影響を受けた作り手がどんどんと前線に出て来た結果、世界標準の作品が各国で発表されるようになってきている。
そしてストリーミングサービスというメディアの登場により、それらが一気に世界に向けて配信されることも珍しくなくなっている。
本作Trappedは2015年に放映された10エピソードから成る北欧、アイスランド産のミステリドラマ。
既にシリーズ化された「成功作」と言えそう。

首都レイキャビクから離れたシグルフィヨルズルは北部の港町。
その港近くの漁場で無残な遺体が発見される。
頭部や四肢が切断され身元不明のその遺体の状況から事件の可能性が高まり、地元警察の署長アンドリは入港した大型客船から遺棄された可能性を疑います。そのため乗客に下船することを禁じ、また船は足止めされることに。
規模が大きくなる捜査に対し、この地の警察のスタッフはアンドリを含めてたったの3名でどう考えても無理があります。
しかし近づく冬の嵐の影響で首都からの応援は何時到着するか分からず、アンドリは部下であるヒンリカとアウスゲイルと共に懸命に捜査に当たるのだが徐々に明らかになる真相はやがて町に深い影を落としていく…。

10話と言うのは長すぎるのではと思ったが登場人物たちのキャラが馴染むとそれほど苦にならなかった。
やはりドラマは登場人物に魅力が無くてはいけない。
それにしても冬の夜に見るのは中々に辛いドラマであった。舞台はアイスランドでも僻地と言える小さな港町。
大型客船の寄港はあっても地元に特に大きな産業がある訳ではなく、小さなコミュニティの雰囲気が強い場所。

画面がとにかく白い(笑)。
室内シーンを除くと屋外シーンの画面の半分以上は氷か雪ではないかと思うほど凍てついた北欧の風景が実に寒々しい。
おまけに冬の嵐が街を襲う展開が用意されており、一層冷えて来る雰囲気。
損壊された遺体やヌードシーンなどもカジュアルに描かれていることもあって本作がアダルト向けの作品であることは明らか。
ただ、オープニングこそ猟奇的だったりしますが、物語が進むに連れてミステリーとしては小さなコミュニティ内の人間関係や利害が絡んだ地に足の着いた内容であることが判明してきます。
作り手の腕の見せ所はその時点までに視聴者の関心を主人公であるアンドリの言動に集めることが出来るかどうか。

アメリカや英国製の見栄えのするスタイルの作品ではありませんがじっくりと視聴するには中々に味わい深い作品になっておりました。
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