Eike

ヒューマン・ターゲット シーズン1のEikeのレビュー・感想・評価

3.2
これもDCコミックからのTVドラマ化らしいですが、過去にも映像化されたことがあるようです。
2010-2011の2シーズンで終了したシリーズの第一シーズン全12話。

主人公クリストファー・チャンス(マーク・ヴァレー)はフリーランスの警備プロフェッショナルと言うか「用心棒」ですね。
危機にさらされる依頼人を体を張って守り切るのが彼の役割。
相棒は元警官のウィンストン(チー・マクブライド)と凄腕のハッカー、ゲレロ(ジャッキー・R・ヘイリー)。
必要とあらば世界中どこにでも神出鬼没の活躍を繰り広げるチャンスには謎めいた過去があって・・・。

等と書いてみるといかにも「ありきたり」で「新鮮味に欠ける」印象ですよね。
この当時のTVドラマシリーズと比較してみると例えば「Lost」のスケール感や「24」のサスペンス等とは無縁のお気楽なドラマシリーズと言っても的外れではありません。
では「詰まらないのか?」と問われればその逆。意外にも(?)とても楽しめました。
本作の命とも言えるアクションシーンはやたらとキレがいいですし、テンポも快調。
またデジタル技術の恩恵を受けた見せ場や設定にも工夫があります。
それは例えば超高速鉄道の車内や飛行中のジャンボジェット機の機内であったり超高層ビルの最上階であったりと様々。
一昔前なら「映画ならでは」であったCG映像によるスペクタクルが今やTVでも普通に利用可能になっているわけでそのメリットを最大限に生かした好例と言えそうです(予算の関係もあってあくまでTVレベルではありますが)。

しかし本作の最大の魅力は登場人物たちのキャラクターが徐々に深みを増してゆく点にあります。
正直言って主演のマーク・ヴァレーには華が足りない気もするのですが次第にタフで皮肉屋のキャラクターが徐々に板につくようになり、相棒のウィンストンとの掛け合いにも弾みがついてきます。
しかし最大の収穫はJ・R・ヘイリー扮する謎めい凄腕のハッカー、ゲレロ。
痩身で肌の荒れた冴えない風貌のこのミステリアスな人物が意外なほどの存在感を発揮し始める中盤から後半に向けて、非常にシブくてカッコイイ。
シリーズのアウトラインとしてチャンスとゲレロの秘められた過去の経緯とともに強大な敵が浮上。
それに合わせて前半のエピソードで登場した登場人物達を再び登板させる辺り(魅力的なFBI捜査官エマやキャラ立ちまくりの暗殺者バプティースなど)。
こうしたエキセントリックなキャラクターを使い捨てにしない姿勢には好感が湧きます。

肩の力を抜いて気楽に見られる娯楽ドラマとしては予想を上回る出来でついつい追いかけてしまう、そんなアクションドラマになっています。
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