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少女は卒業しないのtsuraのネタバレレビュー・内容・結末

少女は卒業しない(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

bittersweet
この形容詞が好きだ。
そしてこの言葉で表現できる感情も含めて。

廃校が決まったある高校の"最後の卒業式"を通して少女達の心の機微を追った群像劇。

あのときの微睡みも、言葉に出来なかった痛みも涙も笑顔も全てこの作品は抱き締める様に私を包み込んでくれた。
"エモい"が横溢した、とでも表現すればこのぐちゃぐちゃに掻き乱された感情を伝えられるだろうか。

それくらい人生の中では通過点の筈なのに、センチメンタルな情景が観るものを襲う。

本当に胸を引き裂かれてしまう想いだった。
青春はなんてbittersweetなのだろうかと。


山城まなみ、後藤由貴、神田杏子、作田詩織
彼女達を通して感じるあの頃抱いた葛藤であり痛みであり…それは確かに既視感の有る産物なのだろう。
だけどそれは私が、そして見た夫々に刻まれた紛れも無く夫々の青春の瞬きなのだ。

雑然と組まれた様なディテールもその奥にはキチンと他者の目線と本人達の心情も夫々がシームレスで且つ的確に配置、整列されていて、それが産み出すグルーヴとでも言おうか…この作品の"変拍子的なリズムの流れ方"は素晴らしかった。

そしてラスト、答辞を読む河合優実は物語を一気に引き締めて圧倒的な感動を呼び起こすと共に、この映画を一気に数段上のレベルまで引き上げてしまった。


間違いなく年間ベスト候補。
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