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哀れなるものたちのtsuraのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.3
男性のクリシェには聴き飽きた。
女性が女性である所以。

大胆、辛辣、魅惑的だけど挑発的。
なのに狂おしい程に愛おしく切ない。
まさに骨の髄まで、物語の奥底まで堪能、心酔。
本当に楽しかった、大満足の大、大傑作!

肉体と精神が乖離したベラ。
「子供」から大人へと成長する過程を世界を知る事で愛を知り自らを知り、切り拓いていく。
人生を"もう一度"踏み出していく大冒険はやがて本来誰もが持つべき権利へと繋げ深層心理や生きる事についての意味について深く探求の旅へと向かう。
それはリプロダクティブ・ヘルス・ライツに転換してミソジニストの男性を徹底的に指摘する。
それがこんなにも痛快な表現になろうとは。

そして観客は今作を通して、人生という旅を今再び見つめ直す時なのかもしれないと感じる筈だ。世界の欺瞞と希望、偏見と対峙しながらもその意味を模索する。
フランケンシュタイン的な物語が生み出す生きる意味と探求。

そんな八方に散った材料を大胆に紡ぎ切り取る英断、圧倒的な迫力あるメッセージへと変貌を遂げた物語に完全ノックアウト。

本来のフェミニズムの意義を感じる作品だったのではないだろうか。

もはや素晴らしいとしか言えない。

最後になるが本作を見た今、バービーがこの夏大ヒットしたとはいえプロダクション・デザインは圧倒的に本作の方が上だろう。

そして、エマ・ストーンの最高に素晴らしい演技は2度目のオスカーを獲る権利があると言わざるを得ない、それくらい素晴らしい演技だった。
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