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ポトフ 美食家と料理人のtsuraのレビュー・感想・評価

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)
4.1
食べること。それは生きること。

映画の大半を調理と食事で紡ぎながら、その料理によって強い絆で結ばれたドダンとウージェニーを通して食の美、人生の旨味と苦味。エスプリを堪能。

至高の一作であった。

ガストロノミーの解釈、そしてそれを表現するトラン・アン・ユンの研ぎ澄まされた感性、知性が映像から愛の様に溢れている。

調理場面は流麗且つシームレス。
(冒頭、友人たちとの午餐会の調理はアクション映画かと見紛うほど圧巻の一言)

食事場面では食器にフォークやナイフが当たる繊細なところまで捉える。

そして料理の本質に向き合う様に音楽はエンドロール以外なく徹頭徹尾自然の音(或いは自然に奏でられる調理中の音)と寄り添う。

これがまた何とも心地良い。
日本人の肌感覚としては揚げ物が揚げられる動画で垂涎ものなのと同義なのだろう。

それを自然に表現する演者も優秀過ぎる。
ドダンを支える美食家仲間は和やかだし、メイドの姪っ子役の女の子に至ってはほとばしる才気をも感じる。

しかしジュリエット・ビノシュだ。

彼女でこの作品が料理のアクセントかと見紛うくらい味を引き立て、画面を緊張感あるものに引き上げてくれる。

この映画が放つ人生と愛という名の芳醇な薫りを存分に味わってほしい

それにしても、お腹は空くし、料理したくなる映画だった🧑‍🍳🍽️
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