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プリシラのRのレビュー・感想・評価

プリシラ(2023年製作の映画)
3.8
個人的には「エルヴィス」より良かった(バズ・ラーマンの過剰に過剰を重ねる空疎な演出が苦手なので...)
今観れば結構アウトなエルヴィスの一面も描いており両作観て補完できる感じかも。。
髪や服にまで注文をつけ理想の女を作り上げていく様は「めまい」のジェームズ・スチュアートを連想するほど歪な関係性。

主演のケイリー・スピーニーはヴェネチア女優賞も納得の実に繊細な演技。現在26歳のようだけど冒頭は本当に14歳に見えて、エルヴィスに言い寄られるたび周囲の大人と同じく気まずい想いが...

なぜ今ソフィア・コッポラがプリシラを描くのかといえば、“世間からは恵まれたように見られている女性の孤独”というのは彼女自身の一貫したテーマだから。
エルヴィスの七光りで「裸の銃を持つ男」にでてた人というレンズを通して半笑い的に語られていたプリシラの実像に迫ろうという意志が全編に漲っており、初期作「ヴァージン・スーサイズ」や「ロスト・イン・トランスレーション」の切実には及ばないまでも観るべきところの多い力作だった。

終わり方が思った以上に呆気ないが、いくらでも湿っぽく語れるその後をあえて描かず、一つの年代が過ぎ去っていくのをただ眺めるしかないという余韻も悪くない。そこでかかる誰もが知るあの曲のオリジナルヴァージョンも絶品。
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