しばいぬたろう

世界最速のインディアンのしばいぬたろうのネタバレレビュー・内容・結末

世界最速のインディアン(2005年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

『世界最速のインディアン』('05)
The World's Fastest Indian / ニュージーランド、アメリカ合衆国 / 英語

1000cc以下のオートバイの最速記録保持者バート・マンローの実話を基にした作品。
彼が1967年に樹立した記録は、今でも破られていないという。


1960年代、ニュージーランドの田舎町に住む変わり者のおじいさんバート・マンローは、愛車(オートバイ)を改造して最速記録に挑む挑戦を続けていた。
バートの夢は、ボンネビル・ソルトフラッツで開催されている大会に出場し、記録の更新をすること。
近所の子供と夢を語り合い、やっとの思いでアメリカに渡り、開催地へと向かう。


本作は実在の人物バート・マンローの伝記映画にあたるわけだが、いろいろと脚色はあるらしい。
個人的には、設定年齢67歳とあるが、どう見ても75歳過ぎのおじいさんにしか見えないため、そこから怪しい物語ではあった。
しかし物語自体はかなり面白い。
悪いことを考えないいい人しか登場せず、邪な嫌な展開がなく、気分良く鑑賞できる。
主人公のおじさんが、地元や道中で女性といい関係になる展開はあるが。

おじさんのセリフがまた良い。
ネイティブアメリカンや未亡人、おかまの人、若者、お偉いさん(?)などなど、登場人物に対して次から次へとジョークを連発するのだが、それが全然嫌味になっていない。
何より、ニュージーランドの地元からアメリカ移動中、大会会場などの全てにおいて良い人しか登場しない。
なぜこんなにも良い人しかいないのだろうか。
平和な映画で、安心して楽しく鑑賞できる。

自分は吹替で鑑賞したのだが、本作ではイギリス俳優のアンソニー・ホプキンスがニュージーランド英語にも注目したいところかもしれない。
もともとイギリスのパン屋出身の俳優のため、ニュージーランド訛りの英語は得意だったのかもしれないが。

最初にバートとレースした地元の暴走族に対して、「情けない連中だ」と思ったが、彼らがバートを見送るシーンでは、「情けないと思ってごめん。あんたたち最高に良い奴だ」と思い直した。
また、レース会場の責任者の一人に有名なレーサーのお名前がいた気がする。

映画らしくご都合よく、山あり谷ありで物語が展開されているが、自分は嫌いじゃない。
寧ろとても面白かった。
アンソニー・ホプキンスも子供と共演すると、子供の良さを引き出して、いい味をだす素敵な俳優だ。
『羊たちの沈黙』のシリーズで、アンソニー・ホプキンスが苦手になった人にも、本作に関しては偏見意識を持たずに、ぜひ鑑賞してほしい。
しばいぬたろう

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