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おしゃれキャットのWILDatHEARTのレビュー・感想・評価

おしゃれキャット(1970年製作の映画)
4.5
『ファニー&クール☆スウィンギン・ロードムービー!』


古来、この世で一番スウィングしてる奴等といえば猫!と相場が決まっている。
フランス産スウィンギン・キャッツどもの勇姿を堪能出来る、これぞ知る人ぞ知るディズニーの隠れた名作の一つであろう。


自由をこよなく愛するダンディさすらい猫オマリーが夜な夜なジャズってる野良猫どものリーダーを指して呼ぶ"Scat Cat"(スキャット・キャット)というニックネームの音感の小気味良さ。ノリが黒くてカッコいい!
その仲間のプレイヤー達が"swingers"(スウィンガーズ)ってのもまたイカす!

彼奴等(キャッツら)のプレイに痺れること請け合いだが、山の手の白猫ダッチェスの子猫達も負けちゃいない。

中でもブラウン子猫トゥルーズのやんちゃな活躍ぶりがとても楽しくて、"Groovy, Mama, groovy!"と踊るダッチェスに合いの手を入れたかと思えば一発トランペットを吹き鳴らし、疲れて眠りに着く頃にはあの決めゼリフ

"♪Oh, yeah......♪"

ってまさにサッチモ(ルイ・アームストロング)!
きっと「What a Wonderful World(この素晴らしき世界)」ばりの素敵な夢を見てるんだろう。(因みにこの映画はサッチモのこの曲のヒットから3年後に創られている。映画「グッドモーニング、ベトナム」でとても印象的に使われているあの名曲である)



さて、彼らパリの下町に棲み着く野良猫達はやはり多民族共生国家であるフランスを語る上で決して無視することの出来ない移民のメタファーであろう。
ヨーロッパのクラシックやフランスのシャンソンしか知らなかった生粋のセレブであるダッチェス親子が、移民(特にアフリカ系)が持ち込んだジャズとその野性的で自由な生き様に触れ、移民の男性をファミリーとして迎え入れて共生への道を歩み始める・・・という素敵な寓話がサブテキストとして物語の背景に流れている様に感じられる。

ジャズの音楽的な自由さと、共生社会のモデルを人間に明示して見せる猫の自由奔放な生き方が重ねられた語り口もとっても秀逸で楽しい。

こんなにも粋な、イカした猫どものやり方なら我々人間だって真似してみたくなるもの!

名曲「Everybody Wants To Be a Cat」(誰もが猫になりたい)が心地よく響くのは、猫のように自由になって種族(人種)の垣根を越えたい!という我々皆が思い描く共生の夢がそこに込められているからであろう。

軽妙洒脱でいかにもディズニー・クラシックらしい作風である。

そんな訳で、吾輩も生まれ変わったら猫になって毎晩スウィングして、口ずさんでキメてみたいのだ。
♪Oh, yeah......!♪


↓みんな猫になりたいのさ!「Everybody Wants To Be a Cat」
https://youtu.be/i0Hg2tTfHxY
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