少女と女の境目に立ち、性交渉という行為に何かを覚えたイザベルの思春期を壊れんばかり繊細に、かつ挑発的大胆に描いた傑作。
イザベルという女性の二面性をこうもうまく表現できるかと驚く。
地下と地上とを繋ぐエスカレーターを使った演習が特に印象的で、
表と裏の顔を繋げているようだった。
とはいえ、高校生と売女は表裏ではなく、あくまで少女と女という、どちらもイザベルの表であること。
それが後半部分によくわかるのだが、真の彼女の姿にはたどり着けなかった。
それはとてもいい意味だと思った。
男と女は一生わかりあえぬもの。
俺には節々に散りばめられた彼女の視線の先にあるもののニュアンスはわかっても、すべては読み取れなかった。
すべてわかったら、こんなにも恋はしていないだろうと。
それゆえに、ラストの女と女の掛け合いはより魅力的。
シチュエーションは最高だし、
あのシーンこそ、
少女と女の境目ど真ん中にイザベルはいる。
目を覚ました彼女の表情。
少女なのか女にのか。
客に預けるおしゃれさもいい。
それからなによりこの作品は
イザベルを演じた
マリーヌ・ヴァクト
なくして成立しなかった。
少女が着飾った瞬間に
その美しさと妖艶さに目は奪われる。
内容の良し悪し関係なく、
この作品は彼女が写っていれば
画になるほどだった。
これでオスカーなかったら、
すべて疑うわ。
女の人は一生わかんないわ。
こういう作品好きな人は圧倒されるだろうね。
p.s.
事後、ベッドに黒い下着姿で
タバコを吸うイザベルは
俺の中では芸術だった。
行為にはなにも感じない。
ただ思い返すとまたしたくなる。