ほんの少し目を離したうちに娘が誘拐されてしまうという絶望から始まるこの作品は、誰を疑えばいいのかわからなくなるほど状況が二転三転するド級サスペンス。愛する娘を取り戻すため父親が決めた覚悟はいつしか狂気になり、被害者と加害者に、被害者が加害者にへと立場を強引に変えてしまうという構図が面白い。平行展開する事件を紐解く警察からの視点は、真相に迫るたび新しい謎を呼び、伏線を張って行くため最後まで油断できません。キャスト陣の熱演勝負は熾烈を極め、新境地のヒュー・ジャックマンも素晴らしいが、見れば殴りたくなるほどの容疑者役を演じたポール・ダノが素晴らしく、一番印象深い。想像外の真犯人と事件の真相。誰の視点で迎えるか？それによって変わるような結末の解釈も複雑で楽しい。
