ジョニーがジェシーと再会したら、きっとこんなことを伝えるんじゃないかな。
ジェシーへ。
君が好きな「オズの魔法使い」に登場するカカシやブリキのロボットみたいに、僕たちは誰しも自分に重大な欠落があると信じて疑わないよね。
そんな僕らはまるで、エメラルドシティに行けばオズがきっと足りないものを授けてくれると思い込んで、いつまでもたどり着けない虹を追いかけて歩いてる旅人みたいだ。
でもね、君に読んで聞かせた何冊かの本の中の、「星の子供」という本のことを覚えているかい?
読みながら僕が思わず涙ぐんでしまったあの本のことだ。
あそこに書いてあったことは本当に本当のことさ。
つまり、僕たちはもともと、人生という大いなる冒険を楽しむために勇気を出してこの星へとやって来た旅人だったんだ。みんな、ここへやって来た時にはすっかり忘れちゃってるけど。
この大いなる冒険は僕たちに実に様々な夢を見せてくれる。
決して美しい夢だけじゃない。
自分は一人ぼっちで、誰からも気に掛けて貰えない、まるで価値の無い欠落だらけの存在なんだというような悪夢でさえも時にはとてもリアルに見ることが出来る。
でも、そんな悪夢に思えるような孤独ですら、実はここへやって来る前から僕たち自身がずっと心待ちにしていた大切で意義深い冒険の一つなんだ。
僕たちには、いつでもそれを体験する準備が出来ている。
君と歩いた美しい森のことを覚えているだろう?
僕たち人間もあの時見た森のように、てんでばらばらに生えている一本一本の木の集まりに過ぎないように見えるね。
でも、久しぶりにL.Aで再会したあの時、君は僕に教えてくれた。
地中に埋まった菌たちがチューブを創って全ての木を繋いでいるんだって。
君は何もかも知っているんだね!
木々と同じように、僕たちは意識も出来ないような心の深いところでみんな本当は繋がっていたんだね。
君が僕を手こずらせてきた理由が今は良く分かる。
僕たち大人がとうの昔に忘れてしまった大事なことを君はよく知っていて、大人が君を慰めるために口にする繕いごとを「ぺらっぺら」だと揶揄していたんだって。
ありがとう。
君のおかげで僕はようやく思い出すことが出来た。
この星へやって来た理由を。
君が僕のラップトップに残してくれたメッセージを、今でも楽しく聞いているよ。
"C'mon, c'mon, c'mon,......"
この先にどんな予測も出来ない未来が待っていようと、前へ、前へ、前へ・・・
↓とても印象的に使われていた、ドビュッシーの「月の光」
https://youtu.be/CvFH_6DNRCY