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時代革命のtsuraのレビュー・感想・評価

時代革命(2021年製作の映画)
4.4
まさに必見。

2019年の全世界に衝撃を与えた民主化運動、大規模デモを追ったドキュメンタリー作品。

もとは逃亡犯条例改正案への反発、本土中国への身柄送還、そして一国ニ制度が守られない社会への反発、中国の社会主義政策を香港で行わないことが約束されている(50年は資本主義を採用)筈なのに一向に改善どころか中国色が強まり遠のく民主化、出来レースな選挙制度への反発…まさに枚挙に暇がなく遂に市民の怒りが沸点を超え大爆発、国際社会に計り知れぬ衝撃をもたらす大運動へと発展したのだが、そのエネルギーや原動力となった要因も具に読み解きながら、前線で発信続けるこの市民達の闘いに明け暮れる日々はアクション映画よりど迫力。事実はまさに小説より奇なりである。

香港で過ごす人々の自由とは、ナショナリズムとはを、様々な人がこのデモに立つ背景も盛り込み視点追いかけているのだが、あまりに国を想う熱量が日本と違い過ぎて最早唖然とする他無く、ただ圧巻の描写と人々の真摯な想いに、心を平常にして見届けるなど到底私には出来なかった。

ぬるま湯に浸かり過ぎてふやけてしまい遂にはその桶の中で寝食すらしてしまいそうな怠惰と放蕩を繰り返す日本。
この長い人類史を俯瞰するとこの国は社会的なバランスがどう考えても崩れてきている。それどころか政治は腐敗し根幹が揺れ続けている国家に未来など無いのは明白である。

この作品は確かにかなり偏重しているが、それでも民主化を勝ち取る為に闘い続ける姿に嘘は無い筈だ。
その中でこの日本に住む私達は彼等に何を思い、感じるだろうか。
国を持ち、少なくとも(一応の体裁上は)自由を享受出来ている私達はそれを噛み締めなければならないのだ。
この作品は左右の思想に関わらず様々な世代が触れるべきだと思う。

「be water 」潰えても水になれば何処かでそれはまた繋がっているのだ。
このスローガンに生きる彼等はもっと強くなる筈だ。
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