映画ケーン

ハッピーシュガーライフの映画ケーンのレビュー・感想・評価

ハッピーシュガーライフ(2018年製作のアニメ)
2.6
描いているもの自体はかなり面白い。ぶっちゃけ演出、脚本、コンテ、作画、動きとかが全体的にダメでモノローグ、説明台詞、回想が多いんだけど、そこに描かれるテーマが興味深い。

最近は是枝裕和を始め「家族」を扱った作品が増えた。それは多分学生運動やヒッピーの革命が失敗に終わり、外に向かっていたものが内側へ、世界全体の幸せじゃなくて、目の前の幸せこそ大切にしようよ、って考え方に変わったんだと思う。
しかしそこに、金平糖の様に甘い、ままごとの様な愛をぶつける。不景気で、ネットの影響で気が短い人が増えて、イライラした大人が多くてどうして幸せな家族が築けられるというのか。一昔前はマイホーム・マイカーがあって、世界に誇るジャパニーズブランドがあって、誰もがそれに貢献し、それを誇り、そこに向かっていった。でも、それが全部潰えた今は正しく「同情するなら金をくれ」状態。子供を養う金と時間がどこにあると言うのか。
全体的な作りを見ると作り手がそこまで考えてるとは思えないけど、現実の影としてここに写し出されているのは確かではないか

「だから、その技術的に劣っている部分、技術的な幼稚さが『ままごと』の様に見えて逆に怖い」って観始めた頃は思ってたけど、流石にキツい。「ほら〜、残酷でしょ〜」「病んでるでしょ〜」ってしたり顔な演出。テーマ性以外が壊滅的で、これを12話観せようとしてる作り手が一番凶悪説。
テーマの掘り下げがあるのかと思えば何もなかった。狂ってる様に”見せてる”時点で作り手は「普通の愛の姿」を持った人で、表現として成立させるなら上っ面のサスペンスじゃなくてテーマの掘り下げをすべきだし、作り手の叫びであるなら自ずとそうなるはず。
そうなってないと考えると、今作は結局は共感を仰ぐ商業作品で「今の若者の叫び」でも無く、”大人達が”我々若者に向けて作った作品でしかない。残念。
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