あべ

ゾンビランドサガのあべのネタバレレビュー・内容・結末

ゾンビランドサガ(2018年製作のアニメ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

最終話で全部持ってかれた。
めちゃくちゃアツいじゃん。
最後観客が逃げ出さないために今までトンチキやってきたのかと思うくらいだった。
全然推しの子より面白い。

ホール倒壊→アカペラで歌い始める→スタッフがマイクと照明復活させる→さくらの決意の曲→観客熱狂
の流れアツすぎ。
特にスタッフが「中止しよう!」ってなってからメンバーの気合い見て即行で機材復活させるの良かった。
普通に考えたらヤベェ状況だけど、それまでのトンデモ展開に慣れてるからわりと受け入れられるし、逆にその中で立ち上がるフランシュシュが引き立つ上にゾンビであることが何よりの説得力になってて、めちゃくちゃカッコよかった。
トンデモ状況を作り出すのと、キャラの意志の強さを表現する上でアニメである価値があった。

ボロボロになっても立ち上がるアイドルと、ゾンビの相性が想像以上に良くてビックリした。
ジャンルとしてはアイドルもの、世界観はゾンビ、という棲み分けができてたの良き。なんか最近この辺がごっちゃになってるのチラホラ見る。

・さくら自身のドラマ
・メンバー同士の関係性
・観客(これまでの話)との背景
・グループとしての成長
この辺が最後全部集約して見事なクライマックスを迎えるグルーヴ感が生まれてる。

フラッシュバックみたいの入れなくても、今までの人たちが会場に来るだけでそれまでの話思い出せるのいいな。人前に立つ系のラストだとこの辺都合いい。

10話終わり轢かれるヒキから急激に面白くなった。
さくらが記憶を取り戻す=なりたかったアイドルになってるというポジティブな展望を予想してたけど、それより前の記憶も蘇ってもう一段階ドラマを持ってくるのは予想外だった。

「私のせいでみんなにも迷惑かける」
の問いに対して
「あなたがいなくて成功するくらいなら、あなたと一緒に失敗する方がいい」
というアンサーをくれる仲間がいることのなんと素晴らしいことか。個人的にすげえ響いた。
情けは人のためならずじゃないけど、人を助けてきたからこそ最後は自分が助けてもらうという互助関係めちゃくちゃ良い。

なんか近いのあったなと思ったら、ユーフォの構図に近いんだ。
主人公自身にドラマがない潤滑油パターン。ひたすら組織を回すため、周囲の人間のために行動する系主人公。
ユーフォに求めてたのはこれだ。
ユーフォは、今のところくみこ自身のドラマに全然踏み込まないから消化不良だったけど、こうやって最後に主人公がこれまで助けてきた周囲の人間の手で助けられるみたいなのを求めてたんだ。

あと昭和と平成のアイドル観の違い。
どちらを肯定も否定もするわけでなく、「昭和アイドルの矜持を持ったキャラとして売る」に落とし込んだのはなるほどと思った。
結構難しい論点でケンカするけど、どちらも嫌な思いをしないいい解決。


1話のトンデモ加減と、6話以降のキャラの深掘りが特に良かった。
全体的にフリとオチがしっかりしてる。

さくら、愛、リリィはギャグみたいな死に方するんだけど、あくまで死であることに変わりはなく、ギャグ死をフリにして生前だったり死後だったりのドラマをきっちり描くという落とし方がうまい。

笑いのフリオチもそう。
轢かれるところが顕著だけど、いい話っぽい雰囲気のフリがしっかり効いてた。手法としては銀魂っぽい。

というかシリーズ全体として、前半5話がはちゃめちゃでツッコミどころ満載で進んでいくというフリで、その分後半のドラマが立ってくるというそもそもの構成になってる。

こんだけぶっ飛んだ世界観で、ちゃんとキャラに共感してドラマでアツくなるのすごいな。これだけの振り幅を扱いこなすのすごすぎ。

作画がちょっと残念なのと、ライブシーンの3Dが、、

たえがいつ記憶戻るのかなって思ってたら、とうとう最後まで戻らんかった笑
あべ

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