イグアン52

天元突破グレンラガンのイグアン52のレビュー・感想・評価

天元突破グレンラガン(2007年製作のアニメ)
5.0
ジーハ村の村長、アダイ村の司祭、ロージェノム、アンチスパイラル、自分よりも大きな存在、世界。それらが口々に言う「これはお前たちのためを思ってのことだ」。狭い檻に閉じ込めて、はみ出し者は消される。何が真実か、何が本物かも分からぬまま生まれ、ぬるま湯の平穏に浸かり続けて死んでいく。そういう抗い難いものにカミナは一発「そんなんクソつまんねーよ」とぶちかましてくれました。偉い人の言う事は信じられない、そんな世の中で生きる僕らが欲しい言葉をくれるのが彼でした。事あるごとに立ち止まってしまうシモンをぶん殴ってもう一度前を向かせてくれたアニキは死に、それでも日々は続いていく。
そこでシモンは一つの答えを見つけます、「俺は俺だ」これって認めるのが怖い事でもあると思います、間違いも全部自分に責任がのしかかってくるって事ですから、そんな生き方学校では教わって育ってないし。
自分でこう生きると決めたシモン、指針を示し続けてくれるアニキ、今と過去の二重螺旋は捻じれ混ざり合い、「俺を誰だと思ってやがる」の口上はついに宇宙へ、銀河中へ轟くことになります。そんな男が最後の最後に口にしたのは「誰でもない」。ただの穴掘り、ただの男、独りだったところから「何者かに」なろうとした男が再び一人になって出した結論は「何者でも」なかった。このセリフのおかげで前を見ながらも気楽にやっていいんだなって、丁度いい人生との向き合い方を教えてくれた気がしました。
アニキは僕らの心の中にいつもいます、良い話とかではなくそういう「やっちまおうぜ」って自分は心のどこかにいる。けれどそれを出すのは色々な意味で難しい世界になってしまっている。だけどそんな世の中で自分という存在を見出して生きるために、自分の心の声に、本当は持ってる熱い魂にちゃんと気付いて認めて、そいつと一緒に生きていけ!そんな熱い、でも熱いだけじゃない真実味のある物語を超銀河級の熱量で描いて下さった今石監督、中島かずきさん、ほか制作陣の皆さんに心から感謝したいです。
シモン、受け取れぇぇぇいっっ!!!!!!!!!
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