エピソード08
まぼろしの緑

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あらすじ
都内の渋滞解消の切り札として建設が進められている、首都環状20号線。その作業を何者かが妨害しているとの通報があり、遊馬・野明・ひろみの3人が派遣されることになった。行き先は、東京近郊の鬼降村。その名を聞いて、ひろみは昔読んだ民話の中にその名前が登場していたことを思い出す。それは確か、鬼と心優しい娘の物語で、早世してしまった娘を見て乱暴な鬼が心を入れ替え、娘を偲んで供養する、というものだったはず。気の弱いひろみは、その内容を考えただけで、今回の事件は鬼の祟りかも知れない、と想像してしまうのだった。
野明や遊馬は一笑に付すが、三人が到着した所は、まさにその伝説の地。そして、そこで彼らが見たものは、無惨に破壊された工事現場であった。一同はとりあえず現場責任者から事情を聞くが、原因は不明。近在の者は御神木を切ろうとした祟りだと噂しているという。しかし遊馬たちは現場からレイバーの足跡を発見し、やはり祟りなど迷信だと確信する。
翌朝行動を始めようとする彼らの前に、近所の農作業用レイバーと土地成金のレイバーが立ちはだかり、警察は手を引け、と脅して実力行使に訴えてきた。野明は無視して応戦するが、今度はそこに、少女が操縦する小型レイバーが割り入ってきた。
あきらめて、事の真相を語り出す土地成金。聞けば半世紀前、太平洋戦争の終戦直前に村人が供出した貴金属類を、当時の村長や神官とグルになって、戦後の混乱のドサクサに紛れて御神木の下に埋めたのだと言う。もう、今となってはそんなものはいらないが、死んでしまった村長や神官の名誉のために、これらを人の目にさらしたくなかったのだと。
少女は、村を守ってきたケヤキが切り倒されるのを嘆いてのことだった。
事件は無事に解決したが、このままでは御神木が道路のために切られてしまうことに変わりはない。そこで野明たちは、近所の山の頂上にこの木を移植、村人たちの喝采を浴びながら村を後にしたのだった。