映画ケーン

戦闘妖精雪風の映画ケーンのレビュー・感想・評価

戦闘妖精雪風(2002年製作のアニメ)
4.7
とんでもないアニメを観た…


「雪風が・・・敵だと言っている——」

徹底的に説明台詞・説明のシーンを廃し、敵が不明瞭であるからこそ生み出されるリアリティ。激しい戦争と静かな物語。
全てのメカデザインが神がかってる。これを超えるメカデザインがあるのか。

所謂アニメ芝居じゃない堺雅人が良い。
俳優はマイクに声を取ってもらい、声優はマイクに声を吹き込む。だから堺雅人の芝居だけハッキリ聞こえないしもごもごしてる。でも、それが逆に内に秘めて感情を外に出さない主人公の表現になってる(後半は上手くなってるんだけど)。澄んだ声も良い。

一般市民には全く知られず、信じさえされない戦い。何の為に戦うのか。
自分を人間だと思い込んでしまったジャム。良く知りもしないジャムを攻撃して、果たして本当に敵なのか。戦う意味はあるのか。
どこからどこまでがジャムなのか。
ジャムに似て行く雪風、人間に似て行くジャム。

歪んだ音楽が『沙耶の唄』のあの何とも言えない恐怖を彷彿とさせる。するりと抜ける空気の様な妙な爽やかさとぬめっとした恐怖、壁に頭を貼り付けられた様なトリップ感のある世界の果ての音。

最終話は『マブラヴ オルタ』並の絶望。

でもやっぱり良く分からない事が多い。原作読もう。
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