パワードケムラー

TIGER & BUNNY 2 パート1のパワードケムラーのレビュー・感想・評価

TIGER & BUNNY 2 パート1(2022年製作のアニメ)
4.0
 第1作目のテーマを踏襲しつつ、能力者である“NEXT”差別やヒーローは誇れる仕事なのかといった悩みや、ヒーローとは何かという哲学を後輩ヒーロー達との交流を通して深掘りしている。特にタレント活動する先輩達への批判などヒーロー精神に強いこだわりを持つも、それが空回りして人を傷つけたり、ポイント稼ぎに必死になったりとしている地方の期待を背負っている新人“Mr.ブラック”や、NEXT差別と復讐の怒りに燃えて周りを信用しない“ヒー・イズ・トーマス”、ステージママによる過度な束縛で精神的に不安定な“マジカル・キャット”など、過去に虎徹やバーナビーらヒーロー達が乗り越えてきた普遍的な問題に直面する後輩達に先輩になった彼らがどう対処するのかが興味深い。

 また、前作のヒーロー達の精神性もバディ・システムを利用して深掘りされており、それによって前作まではドライな印象の強かったゴールデン・ライアンの悩みや不安感や後輩を前にうまく接することのできないドラゴン・キッド、前作では出番は微妙だったロックバイソンと折り紙サイクロンの絡みによる世知辛いヒーローの立場等も深掘りされていた。また、実写化を意識してか、CGなどの等身やデザインも変更され、キャラクタービュジュアルも桂先生よりになっている。

 彼らの葛藤と新しいヒーロー達との関係性を構築していく中で、そこに本格的に関わってくる正体不明の犯罪組織“ウロボロス”の存在がどう関与するのか非常に期待が高まる。