パワードケムラー

ONI ~ 神々山のおなりのパワードケムラーのレビュー・感想・評価

ONI ~ 神々山のおなり(2022年製作のアニメ)
4.0
 グレートヒーローと呼ばれる伝説かつ最強の神“雷神”に憧れる元気な女の子“オナリ”と、体は大きく力持ちだが不思議なことばかりの父親“ナリドン”。そんな二人が住む神々の山と戻り橋が隔てる鬼の森が衝突する鬼月を間近に控え、奇跡の力“奇”を目覚めさせるためにオナリは特訓するが......
 クレイアニメーションやフェルトアニメーションを想わせるような温かみのあるCGアニメに加え、スタジオジブリの『となりのトトロ』や『もののけ姫』、『千と千尋の神隠し』に影響を受けたであろう日本の童話をモチーフにした不思議な世界観が広がるのが面白い。また、日本の妖怪と神の境界の曖昧さを活かして河童やなまはげに付喪神が愛らしい姿で登場するので飽きさせない(海外ではスピリットと訳されがちなそれらをはっきりとゴッドと訳しているのも興味深い)。巨石信仰や巨木信仰といった自然崇拝と多神教が混じった描写も素晴らしい。
 日本語吹替版の声優陣も実力派揃いの豪華メンバーで、世界観にうまく没入させてくれる。アニメーションスタッフも含めて実力派が揃っているので、ずっと観ていられる。キッズ向けではあるが、オナリの成長とナリドンの父親としての眼差しが大人も作品世界に引き込んでくれる。続きが早く観たい作品。