英雄的ではない、泥くさい人間味ある男の物語。
個人として分かり合うことは比較的容易だが、集団として分かり合うことは非常に難しい。そんな現実が描かれていたと感じた。
シローが英雄であれば、ジオンと連邦も分かり会えるはずだと理想を貫き、軍内部から世界を変えて戦争を終結させたかもしれない。しかし実際には全てを置いてアイナと2人だけで生きていくことを選んだ、ただの一人の男だった。散々「あまちゃん」と言われてきたが、現実を見て最後にはそんな甘い世界はないと諦め、一番大切にしたいアイナだけを選んだのだろう。
でもそれで良いのかもしれない。
誰か一人抜けたところで軍(社会)は機能し続ける。それなら自分の一番大切にしたいモノを第一に考え生きればいい。世界(組織)を変えることは難しくても、自分の生き方を変えることは自分次第で容易なのだから。