これまで300作品以上のアニメを見てきたけど、まだアニメにこんな魅せ方があったんだと驚かされた。
この作品、マジで凄いです。
ジャンルとしてはミステリー、サスペンスにホラーが少し混ざったものだが、この作品最大の魅力は何と言ってもタクシーが繋ぐ群像劇だろう。
主人公であるタクシー運転手の小戸川が乗せる客は(当たり前だが)それぞれ何の関係もない人たちばかり。その何の関係もなかったはずの点と点が次第に結ばれていき、ひとつの事件に繋がる展開に鳥肌がたった。
また本筋となるミステリー以外にも、本作ならではの特徴がいくつもある。
そのひとつが、日常の闇に切り込む毒っ気。
これは単に裏社会の人間とかだけではなく、例えばスマホゲームへの時間と金の浪費、理解のできない若者の言動など多岐にわたる。この毒っ気が作品のリアリティを上げ、またそれに共感し笑ってしまうポップさを生んでいる。
だが、これが人の出てくる作品であればリアル過ぎて嫌気がさしたり重苦しくなりすぎるところだったろう。
そこを愛らしい獣人キャラにしたり、テンポのいいオチのある会話劇を織り交ぜることで、見事に親しみやすい大衆向けの作品にしてみせた。
そして、この作品ならではの衝撃のラスト。
ただのミステリーではない。ただの群像劇でもない。複合的に作り上げられたからこそ生まれた唯一無二の傑作だ。
それとこれから見る人、見た人はアニメだけでなく、YouTubeでオーディオドラマが無料公開されているので是非そちらも聞いてほしい。
アニメで映されなかった別の場所での会話を聞くことができ、考察のヒントになるような＋αの内容となっているので、アニメとオーディオドラマを交互に見てもらえるとより楽しめるだろう。
