Yuichi

ぼっち・ざ・ろっく!のYuichiのレビュー・感想・評価

ぼっち・ざ・ろっく!(2022年製作のアニメ)
4.8
他者とのコミュニケーションが不得意な少女、後藤ひとりが自己の他者とのコミュニケーションが不得意な少女、後藤ひとりが自己のアイデンティ
ティを獲得するためにギターを初める。09年の「けいおん」とは異なる、自分の素の姿を他人にさらけ出すことが出来ない女の子のバンド活動を描く。主人公後藤ひとりは、本当の自分の姿、本音、思想を他者に知られることを拒む。空気読みのような人間関係が当たり前になった現代社会を象徴するようなキャラクターである。彼女のように学生時代を一人で過ごしてきた人ではなく、有人を持ってきた人にも感じられる、本音をさらけ出せる仲間の不在、互いが互いを支えあう居場所の不在。漂白された社会の中で自分の立ち位置を確立するには当たり障りのないキャラクターを演じなくてはならないという息苦しさ。本作はバント活動という非合理的な集団活動を通じて、後藤ひとりが自分自身の素の姿を容認し、自らを必要としてくれるリアルな居場所を獲得する物語である。

押し入れという自分を守る殻から外に出る事、厳しい現実の中にしか本当の楽しいことは存在しない。
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