エピソード30
謎の刺客・弥勒兄弟

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あらすじ
ビーナスの腕とともにバイヤー達をオークション会場に運ぶ豪華客船に乗り込もうとする蛮と銀次だったが、ビーナスの護衛の者たちに見つかり 、結局、強引に飛び乗ることとなってしまう。
先行した銀次は上手く飛び移れたのだったが、遅れた蛮が飛び移ろうとしたその瞬間、護り屋の弥勒夏彦の長刀が一閃!
蛮はその刃にかかり海に没してしまうのだった!!
「蛮ちゃん! 蛮ちゃーーーーん!!」
我を忘れてそう叫び蛮の後を追おうとする銀次。と、その襟首を掴んで動きを阻んだのは赤屍であった。 彼も『失われた腕』の運び屋として雇われていたのである。
「あなたには私の相手をしていただかなくては。こちらも仕事ですのでね」
そう言って銀次に襲いかかる赤屍。 けれどその戦いの最中、赤屍は嬉しそうに銀次に語りかけ続け、そして
「自分以外の者には倒されたくないから」
と、こう忠告するのだった。
「敵を……一人だと思わない事。いいですね?」
その言葉を聞いた直後、船の縁の柵を乗り越えて何とか逃げ出す銀次。
そして赤屍はその後を追う事はしないのだった……。
その後、銀次はいるはずのない蛮を探して船内を叫びながらやみくもに駈け回るのだが、当然、蛮が見つかるはずも無く、最後にはプールサイドで途方に暮れてしまうのだった。
「やっぱりいない……。オレ、一人っきり? そして、ここはどこ?」
と、その目の前にソフトクリームが差し出される。
「よかったら、どうぞ。兄の分なんだけど、どこかに消えちゃって。溶けちゃったら、もったいないから……」
そうして銀次に優しく語りかけるその青年は、弥勒雪彦と名乗るのだった――。
© 青樹佑夜・綾峰欄人・講談社 / チーム奪還屋