父親の居ない楊過は、父の義兄弟である郭靖に育てられていた。さらなる武術の修行の為、郭靖は全真教に楊過を入門させる事に…。
入門した楊過を待っていたのは、修行とは名ばかりの虐めの日々。琴の音色に誘われ森に入った楊過は謎の老人と出会う。
全真教を逃げ出した楊過を助けたのは、小龍女と共に暮らす老婆だった。いつしか二人の間に親子にも似た感情が生まれつつあった。
孫ばあやを失った悲しみを乗り越え、楊過と小龍女の師弟関係が始まった。楊過の数奇な運命が今再びここから始まる。
古墓派の奥義を究めるべく、修行を始めた楊過と小龍女。その道は険しく、いつしか二年の月日がたった、二人の修行は最終局面を迎えていた。
生死の境を彷徨う小龍女、そこに再び古墓派の奥義を狙う李莫愁が姿を現す。玉女心経を守る為、小龍女は古墓を永遠に封印しようとするがそれは楊過と小龍女の別れを意味していた。
手を取り合い棺に入ってゆく小龍女と楊過。迫り来る李莫愁に死を覚悟する二人だったが、そこで見たものは古墓に関する驚くべき秘密だった。
古墓からの脱出を果たした楊過と小龍女は修行を始める。おだやかな日々の中、互いを想う気持ちを募らせていくが、二人の関係を根底から打ち崩す事件が起こる。
思わぬ誤解から姿を消した小龍女を追い求めて、楊過もまた終南山を後にした。そして腕のたつ女武芸者の噂を聞きつけた。
李莫愁から逃れ、辿り着いた街で出会った美しい女性。その怒りと悲しみに満ちた瞳に心惹かれる楊過であったが、その女性には暗い過去があった。
完顔萍に小龍女の面影を重ねる楊過であった。だがその淡い想いも李莫愁の非情な攻撃の前に儚く砕け散る。そして辛い別れが待っていた。
再び小龍女を探し求め、旅に出た楊過は華山に迷い込んだ。生あるもの全てを拒絶する死の世界、不気味な影が楊過に迫る。
記憶を無くしていた欧陽鋒だが、かつて天下一を争った洪七公に対する敵愾心だけは忘れていなかった。崋山の頂上吹雪の中で死を賭けた二人の戦いが果てしなく続く。
国中の英雄達を招いた集会が郭夫妻によって開かれる事になった。引き寄せられるように会場に向かった陽過は、そこで思いがけず父の秘密を知る。
モンゴルの王子クドゥンに対して天下の英雄達は色めきたち、我先にと壮絶な戦いが展開される。その会場に小龍女が姿を現した。
再会の喜びに浸る楊過と小龍女であったが、師父と弟子という関係が見えない壁となって二人の間に立ちはだかる。それはクドゥンや金輪法王よりも手強い相手であった。
固く結ばれた楊過と小龍女の手は、みんなの冷たい視線にさらされても離れることはなかった。だが卑劣な金輪法王らの手によって郭芙がさらわれた事によって二人の運命は大きく変わってゆく。
金輪法王の野望は小龍女との束の間の幸せも楊過の未来も奪い去った。だが、瀕死の重傷を負った楊過はそこで思いがけない人と再会する。
忍び寄る李莫愁の影、万一に備え三人は一見の鍛冶屋を訪ねた。そこには忌まわしい記憶から逃れようと無心で鉄を叩き続ける不思議な老人が居た。
鍛冶職人として世を忍び、忌まわしい記憶を封印してきたふう鉄匠。だが楊過によってその封印は解かれ、悪夢は逆流しようとしていた。
人跡未踏の秘境に突然現れた館。そこには全てが謎につつまれた不気味な空間があった。楊過はそこで小龍女そっくりの美女を見かける。
絶情谷に咲く可憐な花、情花。だが、その花びらの裏に潜む棘には猛毒が隠されている。一度は危機を脱した楊過だったが、今度はその棘の中に落とされてしまう。
楊過を救う為必死で解毒剤を探す緑萼。だが、公孫子の手により楊過ともども地下深くに閉じこめられてしまう。そこは凶暴なワニの待ちかまえる死の池であった。
秘境の空間に広がる絶情谷の館には封印された忌まわしい過去があった。苦悩の皺に刻まれた老夫人の口から今恐ろしい事実が明らかにされる。
小龍女がまとった新婦の婚礼衣装。それは公孫朱に苦しめられた苦悩と怨念が染み出したような織り。小龍女を助け出そうと懸命な楊過であったが、次第に情花の毒に犯されてゆく。
絶情谷からの脱出を計る楊過と小龍女。それは二人にとって過酷な運命からの脱出でもあった。だが情花の毒が消えない限り、楊過は迫り来る死から逃れることはできない。