べべし

BEASTARSのべべしのレビュー・感想・評価

BEASTARS(2019年製作のアニメ)
4.0
『自分たちの世界を守るため、一匹のオオカミが立ち上がる』

生物は肉食獣と草食獣の2種類で分かれている世界。
名門校・チェリートン学園である日肉食獣に草食獣が「食殺」される事件が発生した。被害者は演劇部に所属していた羊のテム(cv大塚剛央)だった。最も疑われていたのは、最も演劇部で力の強いハイイロオオカミのオス、レゴシ(cv小林親弘)であった。
しかし、レゴシは気弱な性格と友達想いの性格から真犯人を見つけるために奔走する。そんな中、レゴシは真っ白なドワーフうさぎのハル(cv千本木彩花)に恋をするー
青春や種別の葛藤に苦しみもがきながらも”正しい生き方”を追い求め続ける。

私はフルCG作品に抵抗があり見るまでにもかなり時間がかかってしまいました。実際に動物が非常にリアルに描かれておりアニメーション特有の”愛らしさ”があるとは言えないためとっつきにくいと感じる人も多いのではないでしょうか。

しかし、そのとっくきにくさこそが本作の魅力の一つだと見終わって感じました。人間の世界がそのまま動物たちの世界になったら、どのような問題が起き学生はどのような悩みをかかえるのか、非常にリアルに描かれています。
恋愛、部活、勉強、いじめなど、学生だからこそ抱える悩みに、種別ごとに持つ特性が加わることでオリジナリティが非常に高く、これまでにありそうだったけどなかった、共感性も高い物語だと思います。
アクション作品とは異なり、学園サスペンスと位置付けられるとは思いますが、主軸の食殺事件含め、常に「命」について考えなければいけないという点で非常に見応えもあります。

また、作画は次第に見慣れるものですね(『CLANAD』とかその代表例ですよね…)今はレゴシがイケメンに見えてしかたないです。個人的にはレゴシの親友、ジャック(cv榎木淳弥)がめちゃくちゃ可愛く見えて好きです。
CGだからこそ、アニメーションだとどうしても作り物感が出てしまうところがより一層リアリティを高めているんだと気付きました。
尻尾や動物の特性などの細かいディティールも魅力の一つですね。

OPのALIさんのジャズテイストの楽曲とクレーンアニメーションのような映像もすごく魅力的ですね、、、なんだか見ているだけで自分がおしゃれな人物に思えてきちゃいます笑

ただの動物アニメではなく、メッセージ性の高くどのような人の心にも刺さること間違いなしの傑作です!



本作で重要なテーマの一つである「種族間での関係性」は今日本でも問題になっているLGBTにも繋がるようにも思えます。
食殺事件と同じくらい大きなテーマに、肉食獣と草食獣の恋愛があります。
他にも種族を超えた友情や絆が描かれており、「平等性」を求めて登場人物たちも苦しみもがきます。
少し余談になってしまいましたが、日本でもみんなが生きやすい社会に1日でも早くなれる日を祈っています…
べべし

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