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プラネテスのakariのレビュー・感想・評価

プラネテス(2003年製作のアニメ)
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めちゃくちゃ面白かったです。オープニングテーマが「そして」という歌詞から始まるのが良すぎます。人類には長い歴史があって、そして宇宙へ到達した。もしくは宇宙があって、そして人類が誕生した。そんなふうに長い長い時の繋がり感じられました。
宇宙のごみとしてさ迷っていた遺体を回収したタナベ。地球に、家族の元に戻りたがっていた彼の心をタナベは読みとりました。その優しさに目頭が熱くなりました。第4話、ハチマキが初めて「タナベ」と呼んでくれたシーンがとても良かったです。ハチマキの冗談にみんなで笑う雰囲気に心が温まりました。「Please save Yuri!」こんなの泣く。ユーリもフィーもかっこいいし、他のデブリ課のみんなもとても魅力的で好きになりました。デブリ課が存続することになった時ちょっと嬉しそうにしていたエーデルちゃん好きです。タナベとユーリがハチマキの実家に遊びに行くのが良い展開でした。意識し合うハチマキとタナベが可愛い。九太郎とユーリの出会い、そしてユーリの変化が印象的な回でした。正解である必要なんてないのだと思いました。宇宙にいると、世界の広さに気が遠くなることがあります。そうなると自分が働く意味がわからなくなってしまいます。だけど、私たちは生きている。私たちを取り巻く環境がある。だから目の前のこととどうにか向き合っていくしかありません。
宇宙やテロのお話はもちろん、ハチマキとタナベの恋愛も興味深い作品でした。ハチマキがクレアと付き合っていたことを知って嫉妬するタナベが可愛かったです。かませ犬すぎるチェンシン、声が好きです。2人のターニングポイントとなる第14話の終わり方は神がかってたな…。“夢を追う”はポジティブな言葉に聞こえるけれど、それにはいつでも“叶わないかもしれない”という不安が付きまといます。タナベと付き合って自分だけの人生ではなくなった時、ハチマキはずっと無視してきたそれと向き合いました。そしてその不安がハチマキの夢にまた火をつけます。宇宙では皆命を懸けていると感じる度にひやっとしました。野心のため、宇宙のために生きるには他の全てを捨てるというハチマキの選択にも納得できました。自分のための選択に他の人を巻き込むのは辛いから。「素晴らしい人生だから、自分を愛する勇気を持とう」ハチマキの夢への真っ直ぐさが伝わるエンディングが好きでした。
明るくて強く見えたタナベの白紙の遺言状に涙が出ました。憧れの宇宙では色んなことがありました。大事な人ができて、その人は目の前からいなくなりました。戦争に巻き込まれて命を知りました。彼女もまた迷い苦しんでいたことにハチマキが気がつく瞬間が切なかったです。タナベの言いたかった愛は、全てのものを愛することではありませんでした。愛する人がいれば、愛することを知っていれば、人と人は繋がれる。私たちはその長く大きく繋がったものを宇宙と呼びますが、ほんの小さな私自身も宇宙の一部なのかもしれません。「この世に宇宙の一部じゃないものなんてなくて、俺ですら繋がっていて、それで初めて宇宙なんだって」ハチマキとタナベが久しぶりに再会して紡ぐ言葉の一つ一つに泣きました。最終話、伝説のしりとりプロポーズ最高すぎた…。「よっしゃ、お前の負け」このシーン何回でも見られます。ハチマキやタナベたちが関わってきた人のその後を見て、本当に宇宙が繋がっているのを感じられ、最後の最後まで感動しました。
地球にある国同士の争いや格差は月からはどう見えているでしょうか。私たちが満月をただ綺麗だと思うように、月から見た地球もただ一つの星に見えます。
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