映画ケーン

リコリス・リコイルの映画ケーンのレビュー・感想・評価

リコリス・リコイル(2022年製作のアニメ)
3.2
冒頭から痺れた。
日本が平和なのはリコリスが居るから。凄く皮肉なテーマ、『ウォッチメン』や『デスノート』での「新世界」が実現された世界をやってるぞ!

と思えば、中身は押さえつけて生まれた”平和”を皮肉るものでなく、単に女の子が銃で戦うアクションがやりたいが為の舞台設定。
あれをディストピアじゃなくてユートピアとして描いてるのも気色悪い。それが高評価なのも信じられない。

かと言って銃のフェティシズムがある訳でもなく。犯罪とかはあくまで女の子を引き立てるファッションに過ぎない。だから全員がカッコ付けてて鼻に付く。

どうもアニメに良く出る「したり顔で戦うキャラ」は苦手。役と現実との距離を感じる。
それに、カット割りまくるアクションは別に見たいと思わないよ。『太陽の王子 ホルスの大冒険』『無職転生』みたいにして欲しい。あるいはペキンパーみたいに撮るか。

「旧電波塔の残骸でアニメ的に映像だけで世界観を見せてる!」と思ったら結局は内実を説明する。映像で示したものをわざわざ台詞で言う。
「過去にこういう重荷を背負った子なんです」ってのはウザいよ。もういい。

ただでさえ絵の芝居が無くて説明台詞だらけだから現実味が無い上に声優の演技に違和感しかない。全体的に会話が面白くない。
それっぽい台詞と感動的な音楽流せばOKみたいのは眠い。

なぜ事件を見た一般人が居ないのか(銃声を聞いた人も居ない)。なぜリコリスの反乱分子は居ないのか。リコリスの資金源は何か。誰がどうやって事件を隠蔽してるのか。どうやってリコリスを洗脳してるのか。
あれだけ説明台詞を吐いておきながら説明不足。しかもこれらが面白くなる元でもあると言うのに。
命令無視でクビ程度で済むのか?
リコリスに個人名は必要なの?

結局は共感出来ないどこかで見た物語。
「あ、ここらで主人公に危機が起きて…」って、展開に新し味が無いから驚きが全く無い。

萌えの為に世界が動いているから現実味のない脚本になって目的の曖昧なとち狂った悪人が描かれる。

12話のたきなの狂気と「心臓が逃げる!」って台詞は良かった。
まぁ、その後が説教臭いが。
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