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学者夫妻の幼い息子モーグリは、連れられてきたインドの奥地のジャングルで、一人密林の奥へと迷い込んでしまった。獰猛な虎のシア・カーンに狙われ襲われるが、温厚な熊のバルゥによって無事逃げ延びる。完全に親とはぐれてしまったモーグリは、狼の英雄アレキサンダーとその妻ルーリに保護され、それ以来人間の子供でありながら狼に育てられることになる。バルゥや人間に詳しい黒豹バギーラの推薦もあって群れのみんなに仲間として認められたモーグリは、たくましく成長していく。仲間の動物に支えられ、牙や爪の代わりにブーメランでの狩りに勤しみ、一人前の狼となるべく奮闘するモーグリは、やがて、同族の人間たちと運命の出会いを迎える。キップリングの有名な原作を元にしたアニメーション。
ある学者夫妻がジャングルに熱帯林の研究のため赤ん坊を連れてやって来る。この夫妻が森に出かけている間に、子供はテントから這い出してしまい、ジャングルの動物たちは人間の子供を見て一様に驚く。かつては人間に飼われていたことのあるバギーラ(黒豹)はバルゥ(熊)とこの子供を親のところへ返そうと試みるが、ジャングルのならずものシア・カーン(虎)とタバキ(ハイエナ)は子供を餌食にしようと狙い始める。そして、子供は狼一家に迷い込み、そこで育てられることになってしまった。狼夫婦アレキサンダーとルーリにモーグリと名づけられる。
モーグリはブーメランを完璧なものにし、その使い方を練習する。木陰に隠れていたララ(狼の女の子)は落ちたブーメランを奪ってしまう。モーグリとバギーラは彼女を追う。その道中バギーラはモーグリに、ララの父親のバーミリオンは、アレキサンダーと長老の座をかけて戦うが敗れ村を出て行ったこと。また、山火事が起き、村の狼が避難しているとシア・カーンが赤ん坊のモーグリを狙って来たのをアレキサンダーが命と引き換えにモーグリを守ったことなどの過去を話す。そして、バギーラがアレキサンダーにモーグリを立派な狼少年にすると約束したとも告げる。
バルゥは、バギーラの教育方法が気に入らず自らモーグリにジャングルの掟を教え始めた。その日、村の狩り場に水牛の群れがいると報告があり、狼たちは狩に出る。モーグリも自ら参加を希望して、ララと共に待ち伏せの係になる。しかし、モーグリは一人前と思われたい気持ちから一人で水牛を倒そうとするが、反対にケガをしてしまう。その後、バギーラがモーグリを助けジャングルの第一の掟は弱肉強食だと教える。
相変わらずバギーラとバルゥの教育は続き、モーグリにジャングルでは自らを鍛えると同時に友達を作ることも必要だと教える。森の中で狼の兄弟アクルとスーラたちと狩りに出たモーグリは、弱ったレッサーパンダの子供キチを見つけ介抱する。しかし、人間ということで信頼出来ずキチは逃げ出てしまう。モーグリはキチの両親が命をかけて子供を助けたことを知り、アレキサンダーを思い出し特別な感情を抱き、シア・カーンの狩り場までキチを追って行くのであった。こうしてキチとモーグリの間に友情が生まれる。
キチも狼の村で暮らし始めるがまだモーグリ以外の狼と仲良くなれない。そんな時、シア・カーンの手先である狼たちに騙されてキチは村の外に連れ出されてしまう。この事を知ったモーグリはシア・カーンの狩り場へ急ぎ、一対一の決闘となるのだが、初めてシア・カーンに決闘を挑んだモーグリにとって相手はまだ余りにも強すぎ、窮地に立たされてしまった。バギーラとバルゥはモーグリを助けようと後を追う。間一髪のところでキチに助けられる。
ジャングルの掟をモーグリに教えようとしているバルゥは、「冷たい牙」の音を聞く。モーグリは狼の子供たちと遊ぶのが楽しくてたまらずバルゥには耳を貸さない。自らの体験からどうしてもジャングルの掟を教えようとするバルゥは、そんなモーグリに感情的になり殴ってしまう。理由が分からないモーグリは村を飛び出し「冷たい牙」があるという北の川岸に好奇心に駆られ入っていく。
「冷たい牙」に足を挟まれたモーグリは全く身動きがとれなくなっていると、川岸に住むワニたちが近づき始める。一方、狼の村では全員がモーグリの行方を探すのに必死。バルゥが川の北岸に来てモーグリを発見しワニたちと格闘を始める。その間にバギーラがモーグリを「冷たい牙」から助け出す。モーグリは無事村に戻るが、バルゥは戻らなかった。悲しさに打ちひしがれたモーグリのところへカー(蛇)がやって来て村の外でバルゥと再会をする。
狩りに自信をつけてきたアクルは、長老の命令を破り一人で水牛を倒そうとするが反対にケガをしてしまい、体に毒が回り始める。村の掟を破った者を助けることは許されないのだが、死にそうなアクルを放っておけないモーグリは、シマハイエナの住む山へと毒消しのムラサキの花を取りに出かける。スーラ、バギーラとララはモーグリを助け、無事にムラサキの花をアクルに食べさせることができた。
村の周りに獲物がいなくなり狼たちの食料もわずかに非常食を残すだけとなってしまった。そんな時、年老いた狼ファーガスが村にやって来る。実際にはアレキサンダーに命を助けてもらったにもかかわらずアレキサンダーが死んでいることを知ってモーグリたちに自分がアレキサンダーの命の恩人だと偽りの話をする。狼たちが狩りに出かけている間に村の非常食が何者かによって食い荒されてしまい、留守番役のバッカスとモーグリに疑惑の眼差しが向けられてしまう。
モーグリとバッカスに、村の狼たちが問い詰めているところにバギーラが現われ、犯人は獲物がいなくなると出て来る魔物だと説明する。実際にはファーガスが非常食を盗んでいて、その現場に居合わせたバギーラがファーガスの芝居によって犯人に仕立てあげられてしまった。皆が狩りに出かけた後に帰ったモーグリはファーガスが犯人であったと知るが、年老いた狼を責める事ができず自ら犯人になる。その時、雷がファーガスから魔物を追い出す。
ドールたちが狼の村に近づきそうなのを感じたア・ケーラは、偵察に行く者を集める。それに早く一人前になりたいモーグリが立候補する。その途中には、いくつもの危険が待っているという。こうしてモーグリは冒険に出るのだが、心配なバギーラはひそかに後を追い、これを知ったシア・カーンは彼を狙う。モーグリは、シア・カーンの攻撃に遭い崖から転落してしまう。
バーミリオンが人間たちに追われ仲間の狼を連れて村にやって来た。アレキサンダーがもう死んでしまったと知るとここに残ろうと決心するが、彼の仲間のサンダーはモーグリを見て人間と一緒に暮らせないと言う。モーグリは人間たちが遊びで動物たちを殺していると聞かされ、実際に人間たちを見てみたいと思い、そこへ現れたのがシア・カーンの手下の猿たちだった。モーグリに人間のいるところを教えてあげるからと村の外へと誘い出すのであった。
モーグリは村の動物が入っていけないという人間の廃墟に連れてこられた。そこにはシア・カーンが待っておりモーグリに襲いかかるが、バギーラとバルゥが助けに来る。猿たちも交えて乱闘となるとバーミリオンとサンダーも助けに来て、乱闘はさらにエスカレートしてしまった。銃声が聞こえ動物たちは人間たちが来たと知り一目散に走り去るが、モーグリだけは前方を見つめ立っている。
狼たちが人間の様子を伺っていると、妹を人間に殺されたサンダーが男に飛びかかるが倒されてしまう。モーグリたちはサンダー助けようとするが、モーグルとバギーラは人間の反撃を受け、ジャングルの中に残されてしまった。この間、バギーラは自分が子供の頃、人間に捕らえられてしまったが、ある女の子のお陰で逃げ出すことができ、その少女とモーグリの目がそっくりだったと話す。二人が村に戻るとバーミリオンは仲間を連れて旅に出るところであった。
ララは父親がまた村を出てゆく事で悲しくなりモーグリに冷たく当たる。村では長老のア・ケーラの統率力が弱くなって狩りに失敗してしまいすぐに後継者が必要となってきた。スーラがモーグリの事がきっかけで他の狼たちとケンカをしたことを知り、人間である以上この村を出て行ったほうが皆のためではないかとモーグリは悩む。
悩み続けているモーグリは早朝こっそりと家を出て歩き始め、心配するバギーラとルーリは彼の後を追う。猿たちにからかわれてモーグリは猿たちと乱闘となり、バギーラとルーリが仲裁に入る。しかし、モーグリの悩みは晴れず、ルーリは母親として叱り、彼一人を残して村に帰った。彼はただ一人ジャングルを歩き回るが、村ではアクル、スーラたちが心配している。夜になりジャングルにいるモーグリを、猪たちが狙う。
こうして森の中で色々な動物たちと出会っているモーグリ、一方、村では皆が彼の事を心配しているが、バルゥに頼まれた鷲のチルが空からモーグリを見て村に報告をして安心させている。ところが、モーグリは人間の掘った落し穴に落ちてしまい足にケガを負い、気を失ってしまった。ある老人がモーグリを助けだし、山小屋連れて行きケガの手当てをして、その間モーグリはルーリの夢を見る。チルはモーグリを見失ってしまい、村でもチルの連絡を皆が待っていた。
山小屋で一晩をボギーと過ごしたモーグリは、この老人が悪い人間ではないと気づき、襲ってきたドールたちを一緒に追い払う。翌朝、モーグリは初めて人間の食べ物を口にして感激し、動物たちの恐れる火を間近に見た。再びドールたちが群れをなして二人を襲い、ボギーとモーグリは応戦。狼の村からは皆がモーグリを助けるためにやってきてドールたちを撃退してくれた。そして、モーグリは村へ戻るのであった。
村の狩りでモーグリはおおいに活躍して成功に終わった。モーグリがもう一人前になったと知ったルーリは、その夜、彼を独り立ちさせるため巣から追い出してしまう。突然のことでモーグリは驚くが、自分でもその時がきたのだと認識する。そこで造ったねぐらは、ボギーと一緒に過ごした山小屋に似たものであり、村の狼たちはもの珍しさに集まって来るのであった。
ジャングルでは長い日照りが続き、動物たちはイライラし始めている。沼も干上がり水かさの減った川だけが唯一の水飲み場となった。象のハーティが、川の水が減り平和の岩が現れれば水辺の休戦に入り、お互いに争わないのがジャングルの掟であり、そうしなければ皆死に絶えてしまうという。しかし、シア・カーンはそんな事には従わないと主張して、モーグリとにらみ合いになってしまった。
シア・カーンはモーグリに襲いかかろうとするのだが、ハーティがジャングルの掟を破るのではないかとシア・カーンを踏み潰そうとする。シア・カーンは恐れおののいて逃げ出す。その後、ハーティは昔の話を動物たちに聞かせる。かつてジャングルでは全く争いのない平和なところであった。王であった象のターはとても忙しかったので、虎に裁判官の役を与えたが、そのことがジャングルに災いをもたらす結果となったと皆に話して聞かせた。
ジャングルの中でワナにかかった鹿を助けたモーグリを狼たちは、せっかくの獲物を逃したと非難する。ジャングルの掟は弱肉強食、生きるためには相手を倒さなければならないと知っているはずのモーグリだが、なぜかそうできなかった。森の中で助けた鹿を見つけ、近づいていくと、鹿はモーグリめがけて突進してくる。他の狼が助けに入ろうとするのを止め、モーグリは一人で鹿を倒すが心の中ではそれ以上の戦いがあった。
ララはひそかにモーグリに片想いを続けるが、モーグリはそんな事は全く気づいていない。そんな二人は初めてケンカもしない楽しい時間を過ごした。スーラはララに好意を抱いていて、長老のア・ケーラもそのことは知っているが、ララはスーラのことなど相手にもしない。ララがジャングルにいると突然ワニに襲われてしまい、スーラが助けに入る。そんな時、チルがはぐれ狼ブントの一味がこちらに向かっていると知らせにきた。
村の狼たちはブントをどうするかを話し合う会議を開き、まず見張りを立てることにした。しかし、見張りたちが油断をしている間にブントは村に入り込み、ララを人質にとる。この村で自由に狩りをさせる、行動には干渉しない、ここで暮らすことなどをア・ケーラに認めさせた。その後、ブントの後をつけたバギーラは、ブントとシア・カーンが仲間同士であることを知る。
ブントとその仲間は他の狼を倒し獲物を奪い、掟を無視した狩り場荒らしを続けている。その目に余る行動に村の狼たちは実力で追い出そうと決めた。しかし、ブントにはシア・カーンがついていると知っているルーリは、ア・ケーラに会い無血でことを解決するにはハーティの協力を得るのが一番だと話す。こうしてルーリ自らハーティに頼み、ブントとその仲間は村から象たちによって追い出された。
長老ア・ケーラは年のせいで体も自由に動かせなくなり、それに伴って村の狼たちはそれぞれに行動し始め、いよいよ村の統制がとれなくなった。またシア・カーン、タバキ、猿たちが狼の狩り場に頻繁に現われ荒らし始めていた。モーグリとバギーラはア・ケーラのために狩りに出るが、そこでもシア・カーンとタバキが現われ獲物を横取りしようとする。石を投げることを覚えたモーグリは見事シア・カーンを撃退するのであった。
猿のログとその一味はモーグリの家をバラバラに壊してしまった。モーグリ、カー、そしてバルゥはログを捕まえ誰が指示をしたかと聞くと、狼の村の次のボスを狙うダスティの父サガがブントをかくまっていてシア・カーンもサガに協力していると言う。モーグリはルーリに相談すると、混乱を避けるため他の狼たちに知られぬように解決しなければならないとア・ケーラ、スーラ、モーグリに話し、ルーリ自ら指揮をとることになった。
いよいよモーグリたちは行動を始めた。ララはダスティに近づき長老ア・ケーラの容態が悪くなり後継ぎの件でサガと相談したいと話し、ルーリとアクルはシア・カーンの行動をうかがっている。一方、バギーラとバルゥは密かにルーリを援助しようとチルにブントの居場所を探すように手配をした。そして、ある夜ア・ケーラの家が何者かによって襲われ、ブントたちも動き始める。
ルーリが決断する時がきた。彼女はまずモーグリに石の牙を見つけて来るよう指示し、その夜ブントたちが隠れている冷たい寝床へと急ぐ。カーはシア・カーンを、バルゥはタバキをそれぞれ巣から出られないようにし、バギーラもモーグリたちの後を追った。闘いはルーリの指示通りブントをやっつけることに成功する。村に戻ったルーリはこのままでは村の統制が失われてゆくだけだと感じ、モーグリにバーミリオンを呼び戻してほしいと頼む。
モーグリはバーミリオンの住む高原に来て事情を話すと、バーミリオンは村のリーダーとして最もふさわしいのはルーリだと指摘する。モーグリは驚くが、なぜ今までそのことに気づかなかったのだろうと思い、一人で村に帰った。そして、村の会議でア・ケーラがルーリを後継ぎに推薦し皆の賛成を得て、新しいリーダーが決まる。またア・ケーラは村の相談役としてこれからも皆と協力していくことになった。
10年に一度しか咲かないというモーワの花が咲き、その時には何か良いことがあると言い伝えられている。村に侵入したハイエナを追っ払ったバギーラがケガをしたので、モーグリはあの山小屋へ薬草を取りに行き、そこでボギーと再開した。ボギーの孫で美しい目を持つメシュアと出会う。薬草を持って村へ戻ったモーグリは、翌朝早くメシュアに会いに山小屋へ向かうのであった。
メシュアはモーグリに人間の言葉を教え始める。森の連中は最近のモーグリの行動が変だと気づき始める。ある日メシュアのところへ急ぐモーグリを見たタバキはシア・カーンに報告し、彼の後を追う。モーグリと楽しく時間を過ごしたメシュアは森の中へ一人で木の実を採りに出かけたのだが、そこでシア・カーンとタバキに襲われてしまう。悲鳴を聞いたモーグリとボギーはメシュアを助けに走り出す。
シア・カーンとメシュアの間に割って入ったモーグリはシア・カーンに向かって行き、メシュアからシア・カーンを遠ざけようとするがモーグリは崖から落ちてしまう。ボギーがそこへ来て介抱していると再度シア・カーンが襲ってきて、モーグリがナイフで切りつけてシア・カーンを追い払う。しかし、ボギーはケガを負い、モーグリとメシュアは荷車でボギーを村にある家まで運んで行き、初めて人家に足を踏み入れることになった。
人間の村に運ばれてきたモーグリはメシュアの家で生活を始める。まず、村のガキ大将をやっつけたり、脱輪していた荷馬車の手助けをしたりと人間の村の居心地は悪くない。メシュアの母マリーは昔ジャングルの中で行方不明になってしまった息子ナトーがモーグリでないかと思う。その夜モーグリはアクルとバギーラが彼を探しているのに気づき家を抜け出し再会する。しかし、人間のことをもっと知りたいモーグリは、もう少し人間の村で過ごすと決心する。
村の人々を集めてブルディがジャングルの話を始める。モーグリはその話がでたらめばかりだと指摘しブルディオを怒らせてしまう。その結果シア・カーンをモーグリがやっつけると皆に約束してしまった。ボギーはモーグリに火の点け方、ナイフの使い方を教え込み、モーグリは一層たくましくなる。夜になるとブルディオに指示されたコブラがモーグリを襲うが、マングースのリッキが見事撃退してしまう。
ブルディオはコブラが殺されたことについて、モーグリが呼び寄せた大きな化け物狼による仕業だと村中に言いふらしている。メシュアの家では母マリーがモーグリに人食い虎との決闘をやめるように説得するが、彼の決心に変わりはない。しかし、決して無茶をしないと皆に約束する。そして、ア・ケーラ、バギーラ、バルゥたちの協力を得て作戦を練り始めたモーグリだが、偵察していたチルからシア・カーンが姿を消してしまったと報告に来た。
カー、バルゥたちは必死になってシア・カーンの隠れ場所を探す。そして、カーが洞窟に潜んでいるシア・カーンを見つけると作戦は実行に移された。まずバルゥが洞窟の前に豚を獲物として送り込みシア・カーンを満腹にさせて、モーグリが水牛を連れて呼び出す。決闘の始まりを見ている動物たちは息をのむ。崖に追いやられたモーグリは見事シア・カーンをかわし崖から突き落とし、遂にとどめを刺した。
村の水牛を追ってきたブルディオと村人たちはシア・カーンの死体の横に立っているモーグリに出会い、モーグリはこの人食い虎をしとめたと報告する。しかし、この事実を信じたくないブルディオは理由をつけて自分の手柄にしようとし、そのうえモーグリを呪われたジャングルの化身だとレッテルを貼り村中に言いふらす。村にいられなくなったモーグリはメシュアたちに別れを告げ、暖かく迎えてくれたバギーラたちと皆の待っている動物の森へ向かうのであった。
平和なシオニーの森に何百匹の腹を空かしたどう猛なドールが向かっているとチルが知らせる。ルーリは狼たちを集めどう対処したら良いのかと会議を開き、結局長老ア・ケーラの意見通り狼の名誉にかけて闘うことに決まった。ルーリすぐに攻撃部隊を編成し、女や子供たちを安全なところへ移し、またモーグリをカーのところへ良い知恵はないかと聞きに行かせる。カーは昔ジャッカルたちが群れをなしてやってきたが自滅した時のことをモーグリに話すのだった。
いよいよ決戦の時が来た。ドールの軍団がシオニーの森に近づいた頃、モーグリが木の上からからかい、挑発を始めた。こうして十分ドールたちを怒らせ夕方まで時間を稼いだモーグリは、崖の隙間を目がけて木々を飛び跳ねる。そこには蜂が巣をつくっておりモーグリは走り抜けると同時に岩を砕いて蜂を怒らせる。怒った蜂はドール目がけて突進し、ドールは崖から落ちる。しかし、この難を逃れたドールは数多く、それらは川を渡るが、待っていた狼に見事撃退された。
シオニーの森に動物たちの歌の季節がやって来た。皆恋人を連れたって歌いに出かけていく。スーラもアクルも例外でなく、モーグリはひとり淋しく森を歩く。こんな彼に同情するのはバギーラだけで、モーグリに昔の話を始め、狼の夫婦がいかに強い絆でつながれているかを説明する。そんな時に森に人間の村からマングースのリッキがモーグリに緊急の知らせを持ってやって来た。
モーグリはメシュアたちの家に来たが扉には板が打ち付けられ中には誰もいなかった。ブルディオと村長のアブドラが共謀し、ボギーたち一家には狼の悪霊がついていることにして、家族全員とモーグリを殺し、家財、家畜、それに畑を奪い取ってしまおうというのであった。そして、一家は誘拐される。この事実を知ったモーグリは森の動物たちと一緒にメシュアたちを助け出すために人間の村に向かう。
モーグリの正体は大猿だと企てるブルディオは森へ狩りに出かけるが、バギーラたちの手でさんざんな目に遭う。一方、村ではボギー一家を火あぶりにするための準備が進められていた。モーグリは村に忍び込むがなかなか一家の居場所がつかめない。リッキが村中を走り回ったあげく一家が閉じ込められていた家を探し、モーグリがその家に忍び込みメシュアたちと会うことができた。
モーグリはボギー一家を村からの脱出に成功する。また同じ頃、ブルディオとガロがようやく村に戻って来て、ジャングルには化け物猿がたくさんいて村が危険だと得意の大ボラを言い村人を扇動した。「呪われた家族を火あぶりにしよう!」と叫ぶ人々は、メシュアたちを連れ出そうし、もう逃げ出したと知ると後を追いかける。森の動物たちはこの追手を阻むと同時に、血に飢えた悪魔となってしまった人々の村を潰す。そしてアクルたちがボギー一家をカニワラの町へ送ることとなった。
モーグリは無性にメシュアに会いたくなりカニワラの町へ出かけて行く。そこは彼が初めて見る大きな町であり、どうメシュアの居場所を探して良いかも分からず、とうとう腹が空き水を飲んで飢えをしのぐ状況になってしまった。そんな時に現われたのがブルディオの相棒だったガロ。ガロは口巧みにモーグリに近づき、モーグリも食べ物の誘いに乗ってしまう。モーグリはガロが彼をサーカスに売ろうとしているのを知らず、満腹のまま眠ってしまうのであった。
ガロはモーグリを仲買人のジョンに売りに渡した。そして、ジョンはさらに大きな町にあるサーカスへと馬車を走らせる。オリの中で目を覚ましたモーグリは必死で外に出ようとするがままならない。バールを見つけオリをこじ開けたモーグリは追って来たジョンと犬を振り切り脱出に成功する。こうしてカニワラの町に戻った彼だが、メシュアを探す術もなくジャングルへ淋しく戻って行くのであった。
シオニーの森は雨期でもないのに大雨に見舞われた。久しぶりに雨が止んだ頃ララが子供を連れて散歩をしながらモーグリやバギーラのところを通りすぎて行く。しかし、その先は大雨で地面がゆるんだ崖。モーグリたちが気づいた時はすでに遅く、子供たちは崖から落ちて少し下がったところでとどまっている。今にもまた崩れそうな崖からモーグリたちは必死になって子供たちを助けることに成功した。
森に飼ってある水牛の群れにハイエナが荒らしに来ていると聞かされた長老ア・ケーラは自らハイエナを追い払いに出かける。しかし、老いた体には無理があり三匹のハイエナの反撃を受け重傷を負ってしまった。ララたちは手厚い看病をするが、自分の最後を悟ったア・ケーラは自分の死に場所へ歩いて行く。モーグリは彼の後を追う。長老はモーグリに早く人間の元へ戻るように言うと息絶えた。
シオニーの森には平和な日々が続いている。蛇のカーが200回目の衣替えのお祝いに行くモーグリ。そのお礼に象の踊りを見ると願いが叶うということを知らされ、さっそくハーティに会いに行き、象の踊りを見る。やはりモーグリはメシュアに会いたくて、彼女たちがかつて住んでいた今は誰も住まない村へ出かけて行くのであった。メシュア一家もモーグリを探しにその誰もいない村に来ていた。
メシュア一家はここに三日いてモーグリに会えなかったらカニワラへ帰ると決めていて、必死に彼を探していた。しかし、モーグリは現われなかった。町へ帰る途中メシュアは猿にさらわれ、そこに現われたのがモーグリだった。メシュアとモーグリは再会を喜ぶのだった。メシュア一家はその村でもう一度生活を始めようと決心する
シオニーの森の全ての動物たちがモーグリに最後の挨拶をするために広場に集まり始めている。それぞれがモーグリの思い出を語り、出て行って欲しくないとの声も聞こえたが、モーグリはメシュアたちと新しい村を築き始めるのであった。
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